香港独立派議員の資格剥奪 共産党機関紙「核心利益への挑戦」と主張も習近平指導部には危機感
【北京=西見由章】中国の全人代常務委が香港基本法の解釈を示し、「本土派」の議員2人の事実上の資格剥奪を決めたことで、香港の民主派や司法界からは強い反発の声が上がった。中国側がこうした強硬な措置を取る背景には、香港や台湾で独立志向が鮮明な「第三勢力」が若い世代に支持され、勢力を拡大していることに対する習近平指導部の強い危機感がある。
2014年の大規模街頭占拠デモで発起人を務めた香港大法学部准教授の戴耀廷氏は7日、フェイスブックで基本法の解釈に対する声明を発表した。
今回の解釈は基本法の事実上の改定であり、また香港政府が2人の議員資格取り消しを求めて司法審査を申し立てた高等法院(高裁)に代わって判断を下したとして、「基本法や中国の憲法が付与した全人代常務委の権力を逸脱している」と指摘。「中国や香港の法律が有意義だと信じられる人はいなくなる」と非難した。
また香港独立を主張する新党「香港民族党」も同日、「中国が香港の主権をのっとり、司法の独立を維持することは困難になった」と批判した。
「中華民族の偉大な復興という中国の夢」を掲げる習近平国家主席が目指すのは「台湾問題を解決し、祖国の完全統一を実現すること」(同氏)だ。ところが今年誕生した民主進歩党の蔡英文政権は「一つの中国」の原則を認めず、対台湾政策が手詰まりとなる中、“足元”の香港でも独立論が広がりつつある。