本記事ではそうしたSurface Studioや、同時に発表された新しい周辺機器Surface Dialについての特徴を動画や写真を利用して紹介していきたい。実際に触って見てわかったのは、Surface Dialはくるくる回して様々な操作できるので快適に操作できること、さらにはSurface Pro 4、Surface Bookで利用した時には若干動作が異なるということだ。
超高解像度、超高精細な28型PixelSenseディスプレイを採用しているSurface Studio
Microsoftが発表したSurface Studioは、28型の液晶ディスプレイを採用している、AIO(All-In-One、液晶一体型)PCとなっている。最大の特徴はディスプレイにある。Surface Studioに採用されているのはMicrosoftが"PixelSenseディスプレイ"とよんでいる、28型の4,500×3,000ドット(192dpi)の超高解像度、超高精細のディスプレイだ。数字からもわかるように、4K(3,840x2,160ドット)を越える解像度を実現しており、表示品質の高さが最大の特徴となる。実際、会場で4Kの画像を表示させてみたが、きっちり細かいところまで表現することができており、解像度の高さが実感できた。ディスプレイは10点マルチタッチに対応しているほか、Surface Penと呼ばれる1048階調の筆圧検知の機能を持つデジタイザーペンが利用できる。
▲4500×3000ドットという超高解像度、超高精細な28型液晶を採用しているSurface Studio
なお、PCとしての実体は台座部分に入っており、その間はMicrosoftがゼログラビティヒンジと呼んでいるヒンジで接続されている。今回展示されていたのは、CPUにCore i7-6820HQ(クアッドコア)に単体GPUとしてGeForce GTX 980M(メモリ4GB)、32GBメモリ、2TBのハイブリッドHDD(128GBのSSDをキャッシュとして使えるHDD)というハイエンドスペックで、4,199ドル(日本円で約42万円)という価格の最上位モデルだ。
▲CPUはCore i7-6820HQ(クアッドコア)、メモリ32GB
▲背面のポート、USB×4、イーサネット、MiniDisplayPort、SDカードスロット、イヤホン端子
さて、そのゼログラビティヒンジだが、操作性は非常に良好。垂直状態から接地面から20度の状態まで傾けることができる。28型のディスプレイという大きく重い部品を支えているヒンジというと、固めのヒンジを予想するかもしれないが、動画を見ればわかって頂けるように片手でも楽々と折りたたみ、楽々と持ち上げることが可能になっている。実際筆者もこの時ほとんど力を使っておらず、簡単に上げ下げできることが特徴となっている。これであれば女性でも簡単に上げ下げできると思うので、液晶の重さが心配という人も安心して利用できるだろう。
▲ディスプレイが倒れる様子
▲ヒンジを倒して、戻す様子。片手で軽々できる
くるくると軽快にPCを操作することができるSurface Dial、キーショートカットの割り当ても可能
Surface Studioもう1つの特徴は、Surface Dialと呼ばれる新しいホイール形の操作デバイスがオプション(99ドル)で用意されていることだ。Surface Dialは、本体とのデータのやりとりはBluetooth LEを利用して行われている。裏面はゴム素材になっており、摩擦だけで本体に吸着する。弱い吸盤のようなモノだと思っていればよい。このため、最も倒した状態の20度やその前後の角度であれば問題ないが、ディスプレイを立て気味にするとずり落ちてしまう。▲Surface Studioの操作デバイス。キーボード、ペン、マウスは標準添付、Surface Dialはオプション
▲Surface Dialの裏側、単なるゴム素材で、若干の吸着能力はあるが液晶に角度をつけるとずり落ちる
Surface Dialの動作は、Windowsの設定に用意されている"Wheel Setting"で設定することができる。標準ではボリューム、スクロール、ズーム、アンドゥ、輝度、カスタムツールが用意されており、メニューに割り当てて利用することができる。ズームの機能を使えば、Google EarthやWindowsマップなどの地図アプリケーションを利用してズームやズームアウトをしたり、Webブラウザのズームなどを行うことができる。動画を見てもらえばわかると思うが、スムーズにくるくる回すことができるので、軽快に操作することができる。
▲Surface Dialの設定はWindowsの設定ツールで行う。設定にWheel Settingという項目が追加されている
カスタムツールでは、ホイールにWindowsのキーボードショートカットを割り当てることができる。例えば、Alt+Tabを割り当てるとホイールを回転させると、タスク切り替えのメニューが表示され、ホイールを利用してタスクを切り換える事ができる。このように、キーボードショートカットで実現されている機能であれば、割り当てることが可能なので、標準では実現されていない機能であっても、ユーザーの工夫次第で割り当て可能だ。
▲ホイールでGoogle Mapの拡大縮小を行っているところ、軽快に操作できる
さらに、標準でプレインストールされているUWPアプリのSketchableを利用した場合には追加の機能を利用することができる。具体的にはブラシの色(HSBとRGB)、ブラシの太さ、アンドゥーなどが割り当てられている。特にブラシの色や太さなどの機能はWindowsのキーショートカットにはない機能で、Sketchable独自の拡張とみられている。つまりこうした機能を利用するためには、ソフトウェア側が追加の機能をサポートしている必要がある。
現状ではAdobeのクリエイターツールであるCreative Cloudのアプリケーションはこうした拡張機能をサポートしておらず、現時点では利用することができない。ただし、Microsoftの説明員によればAdobeに働きかけを行っているという説明がされていたので将来は対応される可能性があるだろう。
▲Sketchableでのホイールの動作状態、ホイールの周りにメニューが表示される
▲実利用環境では右手のペンでイラストを描きながら、左手でホイールを操作する
▲アンドゥーの機能をSurface Dialで行っているところ
バッテリー容量が増えていたSurface Bookの新しいパフォーマンスベース
このSurface Dial、Surface BookとSurface Pro 4でも利用することができる。ただし、Surface DialをSurface Studioの画面上に置いた時にはその周囲にメニューがでる形になっているが、Surface Pro/Surface Book上に置いた時にはメニューはホイールの周りには表示されず、ホイールの近くに表示されることになる。画面がSurface Studioほどは大きくないSurface Book/Surface Pro 4では実用的ではないと判断されたということだろう。このため、Surface Book/Surface Pro 4でSurface Dialを使う場合には、タブレットの横に置いて使うなどの使い方の方が現実的だろう。
▲Surface Bookの新モデル
▲Surface Pro 4にもWheel Settingのメニューが用意されている
▲Surface Pro 4では画面にSurface Dialを置いてもホイールのメニューはホイールを置いたのと別の場所に表示される
▲こちらはSurface BookでSurface Dialを置いたところ、やはりメニューは別の場所に
▲Surface BookやSurface Pro 4ではこのようにして使うのが現実的な使い方
なお、MicrosoftはSurface Bookのパフォーマンスベースを強化したモデルを発表しているが、その実機も展示されていた。Microsoftでは新しいパフォーマンスベースの特徴は、GeForce GTX 965Mというより高性能なGPUを採用していることと、バッテリー駆動時間が30%延びていることだと説明している。
実機で確認してみたところ、パフォーマンスベースのバッテリー容量は昨年のモデルでは51Whになっていたが、今年のモデルでは61Whに容量が増えていることがわかった(いずれもデザイン容量ベース)。
▲Surface Book(2016年モデル)のバッテリー容量。2015年モデルの18Wh+51Whから増えており、18Wh+61Whになっている
▲GPUはGeForce GTX 965Mが搭載されている
タブレット部分は昨年モデルと変わらず18Whとなっているので、バッテリー駆動時間が増えているのは、ソフトウェア部分による見直しと、トータル(タブレット+パフォーマンスベース)でバッテリー容量が約14%増えていることが貢献していると考えることができるだろう。30%も駆動時間が増えるかどうかはともかく、ハードウェア的に考えれば少なくとも約14%は増えると考えることができるので、少しでもバッテリー駆動時間を延ばしたいと思うユーザーであれば、新しいパフォーマンスベースを搭載したSurface Bookの2016年モデルは要注目だ。