【巨人】サバイバルキャンプだ!松崎、嘔吐離脱から23分後に復帰で猛アピール 

2016年11月8日6時0分  スポーツ報知
  • インターバル走の途中で体調を悪くした松崎
  • ゲームノックから復帰した松崎

 若手の強化を図る由伸巨人の過酷なサバイバルが本格化してきた。秋季宮崎キャンプ3日目の7日、ランニングメニュー中に松崎啄也捕手(24)が離脱。球場外で吐くほどの体調不良に陥ったが、20分後に復帰し、特守、居残り練習まで10時間のフルメニューを消化した。キャンプ参加中の若手にとっては来季1軍の第一関門ともいえる場。離脱は来春の1軍入り絶望を意味するだけに、最終日の18日まで限界を設けず猛練習に打ち込むことになる。

 顔色真っ青のまま、松崎がグラウンドに飛び出した。嘔吐(おうと)を伴うリタイアから、わずか23分後の志願復帰だった。「ランニングの分を他の練習で取り返さないと…」。体調不良の中、今キャンプの位置付けと自分の置かれた立場を考えた。来季の1軍挑戦権をかけた戦いの真っただ中。リタイアするわけにはいかなかった。

 午前11時。野手陣は陸上部さながらに走っていた。心肺機能強化を目的とした100メートル、90メートル、80メートル各10本のインターバル走。設定タイムがあり、遅れても容赦なく次の笛が鳴る過酷なメニューだった。遅れ始めた松崎は90メートル走後に集団から消えた。右翼ポール付近から外に出て、青ざめていた。終了後、おぼつかない足取りでベンチへ。連日の10時間練習。ついにリタイア1号か…とざわめき始めたその時、ミットを持ってグラウンドに現れた。

 「生きてれば大丈夫です! 救急車で運ばれなければいいんですよ!」。空元気だったが、奮い立った。復帰後はキャッチボールにゲームノック。ゼリー1つを口に入れ、ブルペン捕球、強化ティー打撃、フリー打撃、特守に居残り練習…体調不良から7時間以上、ハードにメニューをこなした。

 今キャンプは長野、亀井、内海ら実績者がレベルアップを図った昨秋とは、意味合いが異なる。杉内を除く全員が1軍未経験者を含む10~20代。個の能力値を上げ、1軍レベルの力を示すことが求められる。若手の競争と強化は、長嶋巨人が79年オフ、静岡・伊東に精鋭を集め、後の中心選手となる中畑、篠塚、松本、淡口らを鍛え抜いた「地獄の伊東キャンプ」を思わせる。離脱すれば自ずと来春の1軍は遠のく。状況を理解しているからこそ、松崎は自らにムチを打ち、復帰した。

 捕手の参加者は宇佐見、田中貴を含め3人。小林誠に追いつき、追い越す飛躍を期待されており、由伸監督は「そう思ってくれなきゃ困るし、そうでなければやめた方がいい。小林も今のままでいいとは思っていないだろう」と高次元での争いを求めた。捕手に限らず「ここでやっている選手が1人でも2人でも出てくれば、その代わり誰かが下に行く」と全ポジションで若手の突き上げを待望した。

 離脱寸前だったルーキー捕手は大声を張り上げ、キレキレの動きを披露。活気ある練習風景に、指揮官も「声もアピールの一つ」とうなずいた。日没後、松崎は「体調? バリ悪いです」と本音をこぼしたが、気持ちで10時間練習に耐えた。厳しい鍛錬に耐え、1軍レベルの力を付けろ―。由伸監督のメッセージに、若武者たちが全力で応えようとしている。(宮脇 央介)

 ◆松崎 啄也(まつざき・たくや)1992年1月20日、栃木県生まれ。24歳。作新学院高3年時は4番として同校を31年ぶりに夏の甲子園出場に導く。作新学院大を経て、日本製紙石巻でプレー。15年ドラフト8位で巨人入団。長打力と誰からも愛される明朗さが長所。174センチ、90キロ。右投右打。あだ名は「しげる」。

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