会計検査院は7日、国の2015年度決算の検査報告を安倍晋三首相に提出した。税金の無駄遣いや不適切な経理処理だと指摘したのは455件、1兆2189億円。指摘額は過去2番目の多さだった。預金保険機構が管理している資金のうち1兆964億円を、使う見込みのない「余裕資金」とみなしたことが全体を押し上げた。
全体の指摘額は前年度(1568億円)の7.8倍に上る。これまでの最多は09年度の1兆7904億円だった。
今回、全体額の約9割を占めたのが、預保機構の「金融機能早期健全化勘定」の利益剰余金。預保機構は整理回収機構を通じ、経営の悪化した金融機関の優先株を買い取る形で公的資金を注入してきた。業績が回復した金融機関は優先株を買い戻して公的資金を返済し、そのお金が同勘定に利益剰余金としてたまる。支援した金融機関が仮に破綻した場合、利益剰余金を預金の保護に充てる仕組みだ。
利益剰余金は15年度末で1兆5991億円だが、検査院は預金の保護などに必要な資金は約5千億円で十分と試算。残りは余裕資金だとして、預保機構を所管する金融庁に国庫への納付など抜本的な改善策を求めた。
次いで指摘金額が多かったのは、社会福祉協議会が低所得者らに資金を貸す制度を巡り、貸し付けに使われていないなど必要性の低い資金が多く積み上がっていた事案(約272億円)だった。