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米大統領選先物、クリントン氏勝率予想が上昇

2016/11/8 8:01
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 【シカゴ=野毛洋子】8日の米大統領選投開票を前に、米アイオワ大学の大統領選先物市場で、民主党大統領候補ヒラリー・クリントン氏の勝利予想が高まっている。米連邦捜査局(FBI)が同氏の私用メール疑惑を払拭した6日時点で、勝率予想は74%と、メール疑惑が再発した10月28日以前の水準に戻した。

 逆に共和党大統領候補ドナルド・トランプ氏の勝率予想は28%に下げ、メール疑惑で得た勢いを消した。ただ今回は「史上最も読みにくい選挙」といわれ、予想は当たらないとの指摘もある。

 同市場の年初来推移をみると、私用メール問題が勝率予想に大きく影響していることがわかる。7月5日にFBIがクリントン氏の私用メール問題について不起訴を表明した時点で、同氏の勝率予想は95%まで上げた。その後60~80%の間で推移したが、10月に入り28日にFIBが私用メール問題の再捜査を公表するまでは90%台が続く場面もあった。

 大統領選先物市場だけでなく、このところ株式や債券市場が大統領選を材料に動いている。経験豊富なクリントン氏の政策はトランプ氏に比べ明瞭とみられることから、不透明要因を嫌う市場は私用メール疑惑の払拭を好感し7日の株式市場は反発した。アイオワ大学の先物市場はこういった先を読もうとする市場の機能を利用したものだ。

 同先物市場の取引最高価格は1枚当たり1ドル。例えばクリントン氏が選挙で勝利すれば、同氏先物の価格は1ドルになる。74セントで買った投資家は1枚につき26セントの利益を得る。反対にトランプ氏を28セントで買った投資家は、同氏が勝てば72セントの利益を得る。取引価格が勝率になり、市場参加者1人につき投資上限は500ドルだ。

 同市場は1988年に登場して以来、大統領選の一般投票結果を100%的中させている。アイオワ大学は「取引はお金を出す意見で中身が伴うため、世論調査よりも予想精度は高い」(ジョイス・バーグ教授)とみる。

 ところが、今回に限って先物市場の勝利予想は当てにならないとの声が聞かれる。予想市場をウオッチするバージニア大学のデイビッド・レブラング教授は「先物価格はトランプ支持者の意見を反映していない」と話す。例えば、直近の市場参加者はトレーダーや大学関係者など20~40歳の経済的に余裕のある白人が多く、トランプ氏を支持するブルーカラーは不在だと指摘する。

 同教授は過去20年間の大統領選が驚きの少ない内容だったのに比べ「今回はトランプ氏がすべてのルールを壊した。世論調査も先物市場も予想は当たらないだろう」と、トランプ氏の勝利を予測している。

 各大学の選挙予測もまちまちだ。州別の世論調査を分析するスタンフォード大学の予想によるとクリントン氏の勝率は99%と高い。一方、アメリカン大学で大統領選予想を研究し過去30年間的中させてきたアラン・リックマン教授はトランプ氏勝利を予想する。

 歴史から計れないのが今回の大統領選だ。

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