政務活動費(政活費)の不正で3割の議員が辞職した富山市議会の補欠選挙が…
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政務活動費(政活費)の不正で3割の議員が辞職した富山市議会の補欠選挙が、投開票された。新顔25人が立ち、13人の議員が誕生した。
当選した人の多くは、政活費や議会の改革を訴えた党や無所属の候補だった。政活費のずさんな使い方とあきれた釈明の連続に、市民の憤りが現れた結果といえるだろう。
残念なのは投票率が26・94%と低かったことだ。
街頭では「議会には何も期待しない」といった声も聞かれた。もちろん政治不信を招いた主因は議会にある。だが不正が長年続いたことは、有権者の関心の低さと無縁ではない。議会が再生を果たすよう、市民は厳しい視線を注ぐ必要がある。
まずは政活費の不正使用を防ぐ具体策だ。富山市議会が今月まとめた案によれば、使途を点検する第三者機関を設け、今年度分から領収書をインターネットで公開するという。
先に不正が問題化した兵庫県議会などで実施済みの対策にとどまる。政活費は3カ月ごとに会派に定額が支払われるが、不正使用の一因とされる前払い方式をなぜ改めないのか。完全な後払いに切り替えるなど、もっと踏み込んでいくべきだ。
ほかの地方議会も他人事ではない。領収書のネット公開にさえ及び腰の議会が今なおほとんどだ。最低限の取り組みとして検討してもらいたい。
一部には議員も生活が苦しいから、という声がある。
白紙領収書で得た政務活動費を私的流用したとして辞職した共産の大阪府議は、議員報酬の減額に伴う困窮を理由に挙げた。自民の元富山市議長は、「議員年金の廃止で老後が不安になった」と弁明した。
身勝手というほかない。政務活動費は、調査研究やその他の活動に必要な経費の一部を、報酬とは別に支給するものだ。これでは12年の法改正で、政務調査費の使途を広げ、政務活動費としたのは失敗だったとすら思える。地方議会では議員の厚生年金加入を求める動きが広がるが、政活費のあり方を正さない限り市民の理解は得られまい。
国会でも、政治資金パーティーで自民や民進の議員が白紙領収書を受け取っていたことが発覚した。こうした領収書の開示を求める制度はあるが、相当な手間と時間がかかる。
公金は正しく使い、使途はわかりやすく示す。議員に求めたいのはごく常識的な感覚だ。「我々は特別」といわんばかりに、時代が求める改革を怠れば、政治不信が深まるだけだ。