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習氏「核心」に 独裁なら先行き不安だ

 中国共産党の第18期中央委員会第6回総会(6中全会)で、習近平(しゅうきんぺい)総書記(国家主席)が党の「核心」に位置付けられた。毛沢東(もうたくとう)、トウ小平(とうしょうへい)両氏と同列の扱いで、習氏の突出した権威が確立されたことになる。

     共産党の団結を守り、内外の難題を克服するためには強いリーダーが必要というのが「核心」とする理由だ。しかし、独裁に陥れば、政策が硬直化する危険性もある。隣国の政治の行方を慎重に見守りたい。

     江沢民(こうたくみん)元国家主席まで3代の最高指導者は「核心」とされたが、胡錦濤(こきんとう)前国家主席は公式に「核心」と呼ばれることはなかった。江氏が引退後も影響力を保っていたからだ。

     習氏は反腐敗運動を通じて権力基盤を固め、江、胡氏ら長老らの影響力を排除してきた。「核心」の位置づけは権力掌握の完成を意味する。来年の第19回党大会では指導部の大幅な入れ替えが行われるが、習氏が人事の主導権を握ることになる。

     李克強(りこくきょう)首相ら他の指導部メンバーとは別格の地位で、経済、外交など政策全般にも決定的な発言力を持つ。今は集団指導体制の中の「核心」だが、個人独裁的な色彩が強まる危険性もある。共産党体制は三権分立など権力を制御する制度を持たない。ライバルがいなくなれば、権力を抑制する手段がなくなるのだ。

     日本や欧米諸国は、中国の経済発展が進めば、いずれはより民主的な政治制度への改革が進むと期待してきた。しかし、習体制は民主主義や三権分立などの普遍的価値を拒否し、独自の道を進んでいる。

     6中全会では共産党の管理を強め、腐敗をなくして統治能力を高めることを目指す方針が決まった。民衆の知恵に頼るのではなく、共産党というエリート集団を再生し、さらなる発展に導こうという発想だ。だが、独裁色が強まれば、多様な意見の吸い上げは難しくなるだろう。

     中国は経済成長鈍化で産業構造の高度化を求められている。既得権益層を切り崩すために権力が必要だという議論もあるが、新たな産業を起こし、技術革新を進めるには自由な議論、研究ができる環境も必要だ。

     習政権発足後、人権擁護の弁護士や活動家が取り締まられ、改革派の出版社やネット論壇が弾圧されている。習氏が権力基盤を確立した上で政治、経済両面の改革に乗り出すことに期待していた知識人の間には失望感が広がっている。

     習政権は海洋進出などで強硬な対外姿勢を示してきたが、権力が確立されたことで国内の民族主義的主張を抑えて現実的に対応することも可能になる。過剰な期待は禁物だが、日本としても「核心」体制発足後の変化を見極めたい。

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