2017年に施行が見込まれる民法改正案のうち、IT開発プロジェクトに関連深いと思われるポイントを解説する3回シリーズ、第1回は消える瑕疵担保責任という考え方を、第2回は請負契約の支払いの変更点を解説した。
今回はIT関連のサービスでよく取り交わされる「準委任契約」を解説する。
現在の準委任契約は、発注者が受注者に「作業」を委託するもので、何らかの「成果物」を目的とした「請負契約」とは異なる。
受注者が発注者に約束するのは、「必要なスキル・知識を持った人間が、一定の時間、発注者から任された仕事を真摯(しんし)に行うこと」であり、原則、成果物の完成は費用支払いの条件とはならない。プログラマーであれば、「出来上がったプログラム」ではなく、「プログラミング作業」が支払いの対象となる。
請負契約と準委任契約は「指揮命令系統」も異なる。
請負契約の指揮命令は受注者、つまりIT開発でいうとベンダー内で行われる。そこで、どんな命令がどのタイミングでなされ、それに対してメンバーが、どのように応えるのかは受注者の自由だ。最終的な成果物さえ納めれば、それがどのようにして作られたものであろうと発注者の預かり知らないところである。
一方で、準委任契約の指揮命令権者は発注者だ。どのような作業の段取りで、いつまでに何をするのかを細かく指示して、予定が狂いそうなら適宜、その改善策を実施するのも発注者であり、成果物の「品質」の責任は発注者が負う(※)。
簡単にいえば、「成果物に責任は持たないものの、その専門性を生かして一生懸命仕事をする」のが準委任契約における受注者の責任だ。
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