どうも。3度の飯より音楽ブロガーやすぴろです。
突然ですが、僕はTHE BACK HORNの大ファンです。
THE BACK HORNは、インディーズ時代を含めると13枚ものアルバムをリリースしています(ベストなどは除く)。
彼らに興味はあるけど、どのアルバムから聞けばいいのか悩んでいる方も多いはず。
ということで、これからTHE BACK HORNを聞き始める人の道しるべになるように、全アルバムレビューをしたいと思います。
すでにファンの人達は、「あっ、俺と感想が似てる!」とか「俺と好みが違うなぁ」とか思いながら見てもらえれば幸いです。
それでは、さっそくはじめでいきましょう!
- 結論
- 01.『何処へ行く』(1999)
- 02.『甦る陽』(2000)
- 03.『人間プログラム』(2001)
- 04.『心臓オーケストラ』(2002)
- 05.『イキルサイノウ』(2003)
- 06.『ヘッドフォンチルドレン』(2005)
- 07.『太陽の中の生活』
結論
さっそくですが、せっかちなあなたのために、まず「結論」から書いてしまいます。
時間がない人は、ここだけささっと見てください。
万人におすすめ
05.『イキルサイノウ』
06.『ヘッドフォンチルドレン』
09.『パルス』
重くて暗いアルバムが聴きたい人向け
03.『人間プログラム』
演奏が激しいアルバムを聴きたい人向け
10.『アサイラム』
まずは聞きやすいアルバムから!向け
08.『THE BACK HORN』
13.『運命開花』
では、ここから詳しい個別レビューにはいります。
01.『何処へ行く』(1999)
聴きやすさ =☆☆
芸術性 =☆☆☆
個人的おすすめ度=☆☆☆☆
特に好きな曲:「ピンクソーダ」「カラス」「冬のミルク」「怪しき雲行き」
記念すべき、THE BACK HORNの始まりの作品。
突然ですが、1stアルバムの名盤って、2パターンあると思ってます。
①1stアルバムなのに異様に完成度が高い達観した作品
②完成度は低いが、そのときにしか鳴らせない初期衝動に満ちた作品
そして、このアルバムは②タイプの名盤です。
例えるなら、レシピを知らない状態で料理をつくっていたら、ものすごくおいしい男料理ができちゃった!みたいなアルバム。
この作品を漢字二字で表すなら「衝動」で、録音環境・音作り・アレンジのどれをとってもとにかく荒々しい。演奏能力も乏しい。
でも、それがいいのだ。
このアルバムは、バンドの経験値が上がることによって、逆につくることができなくなる作品だと思う。若い時にしか鳴らせない「初期衝動」を閉じ込めた作品だからだ。
楽曲自体は多様性に富んでおり、大げさではなく名曲のオンパレード。
「ピンクソーダ」「カラス」「魚雷」のような初期衝動に満ちたグランジーな楽曲から、「冬のミルク」「晩秋」「何処へ行く」のような普遍的で美しいミディアムナンバーまで収録されている。
最近のTHE BACK HORNの曲が好きな人にとっては、まるで違うバンドだと感じるくらい汚く、重い作品かもしれない。
しかし、曲自体は名曲だらけだし、のちの彼らにつながる大事な作品なので、ファンならばマストで聞いてほしい作品だ。
(『何処へ行く』の音源がこれしか見つからなかったので、ライブ版です)
02.『甦る陽』(2000)
聞きやすさ =☆
芸術性 =☆☆
個人的おすすめ度=☆☆☆
特に好きな曲:「サーカス」「走る丘」「無限の荒野」「さらば、あの日」
このアルバムを漢字二字で表すならば、「混沌」。
方向性を模索しているのがわかる作品で、その証拠に、「新世界」では松田(Dr)がラップを披露したりしている。
楽曲の多様性はさらに増しており、同じバンドがつくったとは思えないほどに様々なタイプの楽曲が並んでいる。
『何処へ行く』を引き継いだようなグランジーな楽曲もあるが、湿り気が感じられないあっけらかんとしたロックンロールナンバー「リムジンドライブ」「無限の荒野」、レゲェの要素を取り入れた「甦る陽」、路上で弾き語っているような「泣いている人」などが収録されており、非常にバラエティーに富んだ作品となっている。
良くいえばバラエティーに富んだ作品。
悪くいえばまとまりがない作品。
一般受けしないアルバムだとは思うが、過度期特有のドロッドロの濃い個性をこれでもかと見せつけてくれる作品なので、ハマる人にはめちゃくちゃハマるだろう。
(これまたライブ版しか見つからず)
03.『人間プログラム』(2001)
- アーティスト: THE BACK HORN
- 出版社/メーカー: ビクターエンタテインメント
- 発売日: 2001/10/17
- メディア: CD
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聴きやすさ =☆☆
芸術性 =☆☆☆☆
個人的おすすめ度=☆☆☆☆☆
特に好きな曲 :「幾千光年の孤独」「サニー」「8月の秘密」「アカイヤミ」「雨」
記念すべきメジャー1stアルバム。そして、名盤。
メジャーデビュー作品だが、ポップ寄りになることもなく、むしろ彼らのキャリア史上1番「暴力的」で重たい作品となった。とても血なまぐさい作品で、ホラー映画を見ているかのような感覚に陥る作品。
しかし、負の感情しか歌われていないことにより、結果として非常に統一感のあるアルバムになっている。
暗い楽曲を9曲続けて聞いたあとに「空、星、海の夜」「夕焼けマーチ」が流れる構成も最高で、アルバムの流れがよく、芸術点も高い。カタルシスを得られる。
ポップな音楽が好きな人にはおすすめできないアルバムだが、「暴力的なまでの爆音に身を包みたい人」「不満がある人」「なにかを壊してしまいたい気分の人」にとっては、最高のアルバムになると思います。
04.『心臓オーケストラ』(2002)
- アーティスト: THE BACK HORN
- 出版社/メーカー: ビクターエンタテインメント
- 発売日: 2002/11/13
- メディア: CD
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聴きやすさ =☆☆☆
芸術性 =☆☆☆
個人的おすすめ度=☆☆☆☆
特に好きな曲 :「涙がこぼれたら」「夏草の揺れる丘」「マテリア」「ディナー」
人間らしい情緒がクローズアップされた作品だと思う。
『人間プログラム』が血なまぐさい廃墟の風景だとすると、この作品は秋の田園風景というイメージ。
それが顕著に表れているのが「ワタボウシ」「夏草の揺れる丘」「夕暮れ」等の楽曲で、これまでのアルバムでは見られなかった日常的な風景描写が光る。
過激で大げさな曲が減ったぶん、等身大寄りの聞きやすいアルバムとなった。
その一方で、「マテリア」「ディナー」「野生の太陽」など、彼らにしか作れない怪しさ満点の楽曲も収録されており、従来のファンも満足できる作品となっている。
05.『イキルサイノウ』(2003)
- アーティスト: THE BACK HORN
- 出版社/メーカー: ビクターエンタテインメント
- 発売日: 2005/08/24
- メディア: CD
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聴きやすさ =☆☆☆
芸術性 =☆☆☆☆
個人的おすすめ度=☆☆☆☆☆
特に好きな曲 :「惑星メランコリー」「孤独な戦場」「生命線」「ジョーカー」「未来」
「アルバム再現ライブ」のファン投票で1位に輝いた作品で、ファンからの人気は非常に高い。
このアルバムのすごいところは、とにかく「情緒不安定」なところ。
『人間プログラム』が一貫した「鬱」を詰め込んだ名盤だとすると、このアルバムは喜怒哀楽すべてを詰め込んだ「躁鬱」的な名盤。
1曲1曲に込められた感情の振れ幅が異様に大きく、同じバンドがつくった曲とは思えない。花びらが舞う姿に感動していたかと思えば、生きる意味がわからず戦争に行きたがるような、そういうアルバムなのだ。
その点、統一感があるアルバムではないのだが、たった4人の人間からここまでたくさんの感情が溢れ出してくる様子は、ある種の芸術性を感じる。
彼らの魅力の1つは、リアルな人間描写にある。このアルバムは、彼らの魅力を存分に味わうことができる名盤だ。おすすめです。
06.『ヘッドフォンチルドレン』(2005)
聴きやすさ =☆☆☆☆
芸術性 =☆☆☆
個人的おすすめ度=☆☆☆☆
特に好きな曲 :「運命複雑骨折」「コバルトブルー」「墓石フィーバー」「夢の花」「ヘッドフォンチルドレン」
これまだとても人気の高い作品。
超ライブ定番曲「コバルトブルー」が収録されている作品。
僕は、THE BACK HORNをはじめて聞く人には、このアルバムをおすすめすることにしています。
これでもか!というくらい様々な楽曲が揃っている作品なので、明るい音楽が好きな人も、暗い音楽が好きな人も、うるさい音楽が好きな人も、静かな音楽が好きな人も、必ず「大好きな1曲」が見つかる作品だと思うからだ。
「運命複雑骨折」「墓石フィーバー」などの狂気じみた曲が好きな人は過去作品に遡ればいいし、「夢の花」「キズナソング」などのしっとりとした曲が好きな人は新しいアルバムに進んでいけばいい。
とういう風に、手っ取り早く彼らの自己紹介ができるアルバムだと思う。魅力がたっぷりパッケージされているのです。
マイナス点を挙げると、アルバムを通して聞くと少し「だれる」印象。1曲1曲の存在感があまりに強すぎて、「耳もたれ」する。
インタールード的な、力の抜けた曲があった方が流れが良かったのかなと思います。
07.『太陽の中の生活』
- アーティスト: THE BACK HORN
- 出版社/メーカー: ビクターエンタテインメント
- 発売日: 2006/04/19
- メディア: CD
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聴きやすさ =☆☆☆☆☆
芸術性 =☆☆
個人的おすすめ度=☆☆
特に好きな曲 :「ホワイトノイズ」「ファイティングマンブルース」「ブラックホールバースデイ」
おそらく、彼らのキャリア史上最も不人気な作品。
THE BACK HORNのこれまでの楽曲は、とにかく感情も音楽性もあらぶっていて、情緒が大きく揺さぶれられることに魅力があったと思う。
しかし、このアルバムはやけに「あっさり」していて、癖がない。
「THE BACK HORNがやる必要性に乏しい」曲が多いことは確かで、個性や主張は控えめだ。これが、このアルバムが不人気である由縁だろう。
しかし、僕はこのアルバムを聞くことがけっこう多い。
この作品は「生活」というコンセプトを掲げてつくられた作品で、統一感があって、「あっさり」しているから、非常に聞きやすいのだ。
これまでのTHE BACK HORNのアルバムは、こてこてのとんこつ味のラーメンのように、濃い個性が爆発していた。だから、ハマる人は抜け出せなくなる。
でも、体の調子が悪いとき、こてこての濃いラーメンは食べたくならないですよね。
それに反し、このアルバムは彼らにしては珍しい、あっさりした塩味のラーメンのようなアルバムなのだ。
疲れているときでも、スッと聞くことができる。
「THE BACK HORNが出す必要があるアルバム」ではないという点で、おすすめ度は低い。が、こういう「あっさり」したアルバムも1枚くらいは必要だと思うし、僕は好きです。
今回はここまで!!!