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アバウト映画公園

最新作から旧作まで映画の感想をゆるくアバウトに書き綴る映画ブログ!たまに気になるドラマも!

溺れるナイフ【ネタバレ/映画感想/評価】薄っぺらい内容に胸糞悪い結末!悪い予感が的中!

邦画 【ア行】 2016:劇場鑑賞 邦画 評価:★★

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あらすじ:東京で雑誌モデルを務める望月夏芽(小松菜奈)は、急に父親の郷里である浮雲町に転居することになる。彼女は都会とはかけ離れた田舎での地味な生活に幻滅してしまうが、長谷川航一朗(菅田将暉)と出会ったことで人生が一変する。彼は田舎町で有名な神主の一族の出身で、夏芽はひねくれ者で一風変わった航一朗に強く惹き付けられる。(シネマトゥデイ)

 

製作国:日本 上映時間:111分 製作年:2016年

監督:山戸結希 脚本:井戸紀州 / 山戸結希

キャスト:小松菜奈 / 菅田将暉 / 重岡大毅 / 上白石萌音 / 志磨遼平 / 峯豪一 / ミッキー・カーチス / 市川実和子 / 斉藤陽一郎 / 伊藤歩夢 / 堀内正美 等

 

記号的で薄っぺらい恋愛映画 

今最も個人的に睨まれた後に微笑まれたい女優の小松菜奈と、今最も勢いのある俳優の菅田将暉2人を主演に向かえ、同名漫画を期待の若手監督との呼び声のある山戸結希が実写化した【溺れるナイフ】を観て来ました。

個人的には全然オススメしないので、結末は隠してますが途中の展開などネタバレしてます。ちなみに原作漫画は未読。あくまでも映画だけを観た感想は、

 

えぇ〜、つまらねぇ〜〜!

アラサー男が『学生の恋愛映画』を観るっていう作品のチョイスミスのような好みの問題ではなく、単純に作品として不出来だなって印象が強かったですね。

ここ最近の邦画の良作が続いてたのもあるし、期待の若手監督というハードルが上がってたのもあって、楽しみしていた分の落差も大きかった。あの【デスノート】の新作が「なんかあれはあれで楽しかったな〜!」と思えてくるような残念な作品でした。

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シンプルに『薄っぺらい恋愛映画』という言葉がシックリ来る。田舎の良さげなロケーションの中でいかに2人を『イイ感じ』に撮れるかに注力して見える山戸監督の今回の作風に、

大枠として原作漫画の恋愛ストーリーを当て込んだ結果なのか、あくまでもザックリとした『記号的な行動の羅列』で2人の恋愛模様が描かれていく。

『ビビビと来た一目惚れ』『片想い』『初めてのキス』『自転車2人乗り』『浴衣デート』みたいなあくまでも記号的な行動だけを繋ぎ合わせ、過程を見せないダイジェスト映像のような構成に、

「あれ、いつの間に自転車2人乗りして、笑い合うようなラブラブな関係になったの?」とか「いつの間に夏芽はこんなコウちゃん(菅田将暉)にドハマりしてんの?」と、駆け足な話運びに戸惑う。

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キラキラした映像の『良さげ感』は伝わって来るものの、人の気持ちの移り変わりが唐突だったり、2人の関係がなんかぼや〜としたまま進むので、前半は特にミュージックビデオを観ている感覚に。2人が映っているだけで特に何にも起こってないように見えた。

 

レイプ男と大友がダブるホラー展開

そんな距離感が謎な2人に悲劇が訪れる。浮雲町の伝統的な『火付け祭り』の夜に夏芽がファンの男にレイプされそうになってしまう。レイプは未遂に終わるが、その時コウちゃんは夏芽を助ける事が出来ず、グレてしまい2人の関係は終わってしまう。

このレイプシーンも記号的。男が小松菜々の上にモジモジと被さってるだけなんだよね。胸揉むとかコウちゃんと同じように顔舐めるとか、浴衣をはぎ取るとか一切しない。

男は取り押さえられるのをモジモジしながら待ってるみたいだし、夏芽も早い段階で抵抗を諦めちゃうし。監督は広瀬すずが出てた【怒り】観てないのか!あれ観ちゃうとこの形だけのレイプシーンが恥ずかしく見えて来る。

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後半から、コウちゃんに代わりジャニーズWESTの重岡大毅くん演じる男友達の大友が、落ち込む夏芽を支え、良い感じの仲なる展開があるだけど、この大友がなんとも気持ち悪るかった!

「俺は友達でええから」「友達として」と、心身ともに弱っている夏芽に表向きは友達として近づき、あわよくばコウちゃんの代わりに彼氏になろうとする大友。

笑いながら徐々に近づいてキスとか気持ち悪っ!まず好きなら好きって言えや!関西ジャニーズ譲りのカラッとしたキャラなのかと思たら、恋愛面はかなりねちっこい。陰湿なレイプ男とそう変わらないなと思って見ていると、

次第に大友の行動がエスカレートして、暗めの自宅兼スナックみいな場所で、泣く夏芽を押し倒し「ねぇ笑ってよ」と完全にレイプ男と同じセリフを吐く始末。これが意図してレイプ男と大友を重ねているのか、図らずも重なっちゃったのかは、見せ方が下手なので残念ながら読み取れない…

その後、大友が気不味い空気を誤摩化すために吉幾三の『おら東京さ行くだ』をカラオケで熱唱するシーンまで、鳥肌立つくらい寒かった。しかもこのカラオケシーンがやたら長い!

大友は『恋愛は成就しないけど良い奴キャラ』なだけに、ねちっこい空気感が気持ち悪かったですね。そんなんで恋愛成就するかっ! 

 

ラストの胸糞展開

レイプ未遂の一件に縛られる夏芽とグレたコウちゃん。この一件を乗り切らないと2人は前に進めないなと思っていると、翌年の火祭りにご丁寧にもまたあのレイプ男が姿を現わす…

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▼胸糞なラストは一応隠しておきます

そして祭りの翌日、夏芽・コウちゃん・コウちゃんに密かに想いを寄せる上白石萌音演じるカナの3人はある重大な罪を背負うことになる。『溺れるナイフ』じゃなくて『沈めた男』。 

そして場面は東京。夏芽は芸能活動を再開し映画に出演、見事新人賞を取ってめでたしめでたし。 

…っておい!夏芽、何テメェだけ東京で成功して喝采浴びてんだよ!あの2人にも罪を背負わせおいて、お前は何も無かったかのように東京に逃げて来て御の字ってか。胸糞悪っ。死体遺棄だぞ… 脳内のコウちゃんは笑ってくれてるってどんな着地だよ。

トータルすると、付かず離れずの2人のウダウダした恋愛関係に、2度のレイプ未遂が入るだけの話でした。どんな話だよ。

 

『山戸監督あるある』が作れそう

とにかく本作、無駄に音楽がうるさかった!大した場面じゃないのに、今っぽい軽快な音楽だったり感動気な音楽を多用し過ぎで鬱陶しい。

音楽が流れてないと不安なのか?音楽鳴らさないと間が保たないと思ってるのか?全編クライマックス的な見せ方にしたいのか?は分からないけど、メリハリも無く終始垂れ流し。

編集もちゃかちゃかと目まぐるしく展開したかと思えば、役者が噛んだ長回しを使ってたりと大学生の卒業制作を観てるようで。 期待の若手監督ってこんな感じなんだ…と勝手にハードル上げちゃった自分が悪いですね。

小松菜奈と菅田将暉だからもってるようなもんで、2人の存在感にだいぶ助けられている。

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ある意味作家性の強い監督なのかな。芸人RGのネタか、岡崎体育の『ミュージックビデオあるある』の歌みたいに『山戸監督のあるある』が作れそうだなと。

『やたら音楽流す』『顔のアップ多過ぎ』『鞄放りがち』『足もたれがち』『取り敢えず小松菜奈は濡れさせる』『頑張って撮った水中映像使い過ぎ』『大事な場面で家族居なすぎ』『エロい描写見せなさすぎ』『カメラぶらし過ぎ』『何を言ってるか分からないセリフ多過ぎ』などなど。

あと観ていて中島哲也監督っぽさもあるなと。CMのような画作りが特徴的で、画面で起こってることの割に内容が薄いところは、奇しくも小松菜奈出演の中島監督作【渇き。】に通じるものがありました。

 

結局これを『若手監督だから』『短期間で予算の少ない撮影だから』『所詮は学生の恋愛だから』『漫画原作だから』って逃げられちゃうのもまたズルいな〜。これ込みで好きにやっちゃってる感じもあるけど。

「菅田将暉くんのツンデレぶりさえ見れれば、他は何もいらないー!」みたいな人が楽しめれば良いんだろうな。個人的には全然面白くなかったです。

 

まとめ

評価:★★  うーん、イマイチ...

思ったことをバーっと書いたら長くなってしまいました、まだドレスコーズの志磨遼平が演じたカメラマンの件とか書き足りないけど。

本編が始まる前の予告編で、いかにも若者向けの『オラオラ男子に翻弄される恋愛映画』の予告が連発した段階で、悪い予感はしたんだけどそれが現実のモノに…

『世間からチヤホヤされてた元モデルの女が田舎に引越して来て、唯一ツンデレを食らった男を猛烈に好きになる』って予告で受ける印象から一歩も枠組みをはみ出ないって逆に凄いな、2時間弱何やってた!?

 

観終わった後に「なんか分からなかったぁ〜」「2回観たら私分かるかも〜」って若い女の子の声がチラホラ聞こえてきたけど、あってないような薄いストーリーなのに画としてはそれなりに目まぐるしく展開されるので、人によっては逆に難解な作品に見えちゃってるじゃないか!?「難解な話じゃないよ!2回観ても多分変わらないよ。」と言ってあげたかった。

良かったのは市川実和子の浴衣姿と、垢抜ける前の上白石萌音ちゃんが可愛かったくらいですかね。やっぱり彼女は声が良いですね!垢抜けてからの人の変わりように少しショックを受けた。

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[ 予告編 ]

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渇き。

怒り

今回の感想で入らなかったひと言:

コウちゃんの神主の一族出身の設定は特にいらないよね。