【トリーチャーコリンズ症候群】顔の奇形が主な症状のトリーチャーコリンズ症候群。原因や治療法について

なかなか聞きなれない病気、トリーチャーコリンズ症候群。染色体の異常によって生まれつき顔に奇形が出てしまう病気です。日本では5万人あたりにひとりといわれる珍しい病気です。詳しい原因や症状などをしっかりと理解しましょう。

トリーチャーコリンズ症候群とは?

先天性の顔の骨の奇形のこと

トリーチャーコリンズ症候群は、エドワード・トリーチャー・コリンズが発見したためにその名がついた病名です。奇形症候群(ナーガー症候群、ネイガー症候群)の一種とされているようで、奇形症候群とされる病気は他にもいくつかあります。

トリーチャーコリンズ症候群は顔の頬骨、顎骨がない病気で、骨が歪んでいたり、欠損しているために顔が歪んだように見える病気だそうで、聴覚障害や呼吸障害などのいろんな症状が併発する場合もあるそうです。

発症率は家系に発症者がいなかった場合は孤発性と言われ、日本では5万人に1人の確率で生まれると言われていて、家系に発症者がいる場合は遺伝性で2分の1の確率で生まれるそうです。

トリーチャーコリンズ症候群の症状とは?

1.下顎の形成不全

下顎がない、または小さいために歯並びが乱れてしまう傾向があります。

2.言葉の発音がうまくできない、喋れない

口の中に十分な空間がなかったりする場合は言葉が舌ったらずのように聞こえたり、上手く発音できない場合があるようです。

重度の症状で、顎の骨がほぼ形成されていない場合は手話での会話が一般的です。

3.口唇裂、口蓋裂

口唇裂は、上唇から鼻の穴にかけて裂けてしまっている先天性の疾患です。口蓋裂は、上の歯茎や口腔内上辺が裂けている場合をいうようです。

4.外耳奇形

耳が潰れているように見えたり、きちんと耳たぶの形をしていない場合があるようです。ふさがっている場合は耳が聞こえない場合もあるそうです。

この病気に多いのが難聴を一緒に併発する事だそうです。

5.下眼瞼欠損、下睫毛欠損

下まぶた、下まつげがない状態だそうで、目が垂れ下がっているように見えるようです。

6.後鼻孔狭窄

鼻が押し潰れたような形で、鼻の穴がふさがっている場合もあるようです。両方の穴が塞がっていたり、鼻がきちんとない場合は呼吸を最優先するので喉に穴を開けるそうです。

成長とともに手術できる年齢になったと判断されてから鼻の形成をするようです。後鼻孔狭窄は犬や猫などでもみられます。

7.耳介前毛髪変位

ほおのあたりまで髪の毛が生えたり、髪の生え際が変位している場合があるようです。

8.頬骨がない

通常では外に少し突き出している頬骨がない事で眼球が垂れ下がり、目が外に広がったような見た目になるそうです。

トリーチャーコリンズ症候群の原因とは?

1.染色体の遺伝子異常が原因

TCOF1、POLR1C 、POLR1Dという染色体の変異が原因とされるそうで、TCOF1染色体が最も多いようです。

2.異常染色体の保有者からの遺伝が原因

TCOF1、POLR1C 、POLR1Dの変異染色体を持っていて発症していない場合でも、親族の中にトリーチャーコリンズ症候群を発症しているものがいる場合は、子供や孫が発症するリスクがあるほか、発症者が子供を産んだ場合も、子供、または孫、ひ孫がトリーチャーコリンズ症候群を発症する事があるそうです。

トリーチャーコリンズ症候群の治療・対策って?

1.喉に呼吸穴を開ける

鼻の穴が塞がっていたり、呼吸軌道が塞がっている場合は喉に穴を開けて呼吸器官を確保するそうです。これは、生まれてすぐに病院で処置される事が多いようです。

病状の程度にもよるそうですが、だいたい2歳までにこの手術はされるそうです。程度が重たい場合は口からの栄養摂取ができずにチューブで食事を取ることになります。

気道が塞がっていいない場合はこの手術をすることはありません。

Juliana Wetmore is continuing to undergo extensive, complex and risky cranio-facial surgery in an attempt to rebuild her face.

2.形成外科手術

トリーチャーコリンズ症候群のような症状には形成外科での形成手術が必要となるそうです。体の健康な部分の骨を移植するなどして、ない部分の骨を形成します。骨を伸ばす伸骨手術というやり方もあります。

3.歯列矯正

トリーチャーコリンズ症候群の治療は、歯列矯正が必要なようです。治療給付の対象となっている病名に入っているので、保険治療できるほか、場合により給付を受けられるようになっているようです。

一度では完治しない例が多いので頬や顎の整形と共に、何度かに分けて矯正することになります。

「患者さんに優しい医療と先進医療との調和を目指した病院」という基本理念の下、特定機能病院として難病に積極的に取り組み、移植医療をはじめとする高度医療を実践しています。

4.言語療法

3歳から12歳までは言語療法も一緒に行うことが多いそうです。下顎に十分な広さがないと、舌が邪魔をしてうまく言葉を喋れなかったり、喋れない場合があるからです。

言語聴覚士は、言葉や食事の飲み込み、聞こえ方なども一緒に訓練や指導をするそうです。言葉を喋るときに、聞こえやすくなります。

補聴器

耳が聞こえない場合、また聞こえずらい場合は補聴器を付けるようです。体に埋めるタイプのものなど様々な補聴器があり、トリーチャーコリンズ症候群の患者には骨伝導タイプがよく使われています。

障害者手帳

トリーチャーコリンズ症候群は障害者認定はされない疾患ですが、耳が両耳聞こえない場合(聴覚障害)や、食べ物が食べれない場合(そしゃく機能障害4級)などは障害者手帳を申請することで補聴器などの購入が補助など金銭的な援助が受けられます。

自治体によれば15歳までは補助が出る場合もあり、それ以降は障害者申請した方が良いという考えもひとつです。これは住んでいる場所にもよるので、お住いの自治体に確認してください。

あえて障害者手帳を持たない患者さんもいますが、補聴器を付ける場合など様々なことで役立ちます。

身体障害者手帳(障害者手帳)についての情報ページです。身体障害者手帳(障害者手帳)は福祉サービスの利用に必ず必要です。その 身体障害者手帳(障害者手帳)の取得方法や利用できるサービス等が分かります。

トリーチャーコリンズ症候群の予防法とは?

1.遺伝のリスクを考える

トリーチャーコリンズ症候群の当事者は、子供ができた場合50パーセントの、約半分の確率でトリーチャーコリンズ症候群として生まれてくるそうです。

実際に親子でトリーチャーコリンズ症候群になっている例もあり、親がトリーチャーコリンズで子供が発症しない場合、孫やひ孫などに発症する場合もあるといわれています。

しかし、遺伝性ではない孤発性の場合は予防という視点は難しいのが現状です。

2.出生前診断

家族や親族内、家系図にトリーチャーコリンズ症候群を発症している者がいる場合は出生前診断で確認をすることができるそうです。

NIPTともいわれ、羊水を調べる方法や、MRI、母親の血液検査で調べる血液血清マーカーなどの方法があるようで、羊水を注射器で抜き取る方法は、もともと流産リスクがある場合は適さない検査です。

MRIなども、骨の歪みの症状が軽い場合は見落とされることもあるようなので、100パーセント確実にわかる方法はありません。

トリーチャーコリンズ症候群は形成外科、歯科

トリーチャーコリンズ症候群は保険適用で治療が受けられるようになっているため、自治体によっては治療費を負担してくれるところがあります。

お子さんがトリーチャーコリンズ症候群の場合は自治体に確認している保護者の方は少なくありません。形成外科での手術は何度かに分けて行われるそうで、骨などを削り、移植することになります。

耳の形成は6歳過ぎてから、下顎矯正は13歳からなど、年齢によって成長するので、手術の目安があるそうですが、呼吸器など命に関わるものの場合は2歳までに行われています。

ケースによっては生まれてすぐ手術の場合もあるそうです。この形成手術は技術的に進んで行っているそうですが、病気とわからないような完璧なレベルにするには難しいともされているようです。

手術の痛みと、自分自身の理想と、どこに折り合いをつけるかも、患者自身が決めていかなければならないようです。

トリーチャーコリンズ症候群 まとめ

日本では情報が少ないトリーチャーコリンズ症候群

トリーチャーコリンズ症候群について調べて驚いたのが、情報の少なさです。5万人に1人の発症率と言われているためか、保険対象としてトリーチャーコリンズ症候群の病名を明記している病院はたくさんあったのですが、トリーチャーコリンズ症候群について医学的な事が書かれている記事や病院はほとんどなく、実際の病状を伝えているのはトリーチャーコリンズ症候群になった当事者のブログなどが多いようでした。

この情報の少なさは、まずトリーチャーコリンズ症候群の症状が、顔の骨の奇形のみで(耳、口、鼻や口などの呼吸器官を塞がない場合)死に至るような、命に関わる危険な病気ではない事、また患者の少なさや、遺伝のリスク、見た目についての事柄は日本ではセンシティブに扱われやすい事や、センシティブに扱わなければならない問題だからこそなようです。

しかし、いろんなリスクを理解の上、普通に家庭を持っている患者さんもいらっしゃいます。

ジュリアナウェットモアさん(Juliana Wetmore)

トリーチャーコリンズ症候群での重症な例として、有名になったジュリアナウェットモアさんという少女が、いろんな場所で取り上げられたそうです。

彼女は重度の症状と言われ、生まれてから何十回も顔の形成手術をしてきましたが、現在では自分の顔に満足をしていると、顔の手術をやめているそうです。

トリーチャーコリンズ症候群の方は学生時などは容姿をからかわれたり、世間の病気の認知度が低いために、当事者が傷つけられる事がとても多いそうですが、ジュリアナさんは喋れないにも関わらず、成績も良く、すぐ友人を作るそうです。

明るく前向きに生きるジュリアナさんの姿は現在も話題を呼んでいるようで、世界中から応援されているそう。ジュリアナさんは海外のニュースでも話題になっており、フェイスブックなどもやっているようです。

海外のニュースを下に紹介します。

A rare genetic craniofacial disorder known as Treacher Collins Syndrome has left Juliana Wetmore badly disfigured and in need of much surgery.

Jacksonville, FL - An update on Juliana Wetmore, known globally as 'The Girl Born Without a Face.' Her story went viral 11 years ago, after her birth

トリーチャーコリンズ症候群を公表する当事者は、日本人も

見た目の問題を取り扱う、NPO法人の方のインターネット番組で、トリーチャーコリンズ症候群を公表し、当事者として経験談を語っている方がいるそうです。

ありのままに、リラックスした雰囲気で語られているので、トリーチャーコリンズ症候群を知っている方も知らない方も、どんな病気なのか知れるきっかけになるかもしれません。

番組のリンクがあったので下に紹介します。

「見た目問題」を解決し、誰もが自分らしい顔で、自分らしい生き方を楽しめる社会をめざしています。

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トリーチャーコリンズ症候群のコミュニティ

トリーチャーコリンズ症候群は発症率が低い病気のため、なかなか発症者同士がばったり会う事はないそうです。しかし、トリーチャーコリンズ症候群の子供を持った親同士や、当事者同士が会えるコミュニティがあるそうです。

こういったトリーチャーコリンズを含むネイガー症候群は、当事者のみではなく、その両親や家族も中傷に傷ついたりする場合もあるようで、家族の不安解消や情報交換にも役立っているそうです。

下に紹介したひまわりの会は60人もの会員数がいるそうです。稀な疾患といえど、意外に日本でも人数の多い病なのかもしれませんね。

平成11年7月にトリチャーコリンズ症候群、ネイガー症候群、もしくは同じ様な病状の本人及びその家族の会・ひまわりの会です。

【トリーチャーコリンズ症候群】のmixiコミュニティ。トリーチャーコリンズ症候群は 下顎や頬骨の低形成や気管切開、口蓋裂、小耳症、聴覚障害などさまざまな症状があります。 トリーチャーコリンズ症候群のお子さんを持つ親や当事者が自由に意見交換・交流で...

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