空前の猫ブームらしい。
いわば、「大・猫時代」である。
ああ、どこかで聞いたようなナレーションが聞こえてきた。
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ぶち、三毛、トラ……、この世のすべての猫をひざに乗せた男、大猫王ゴールド・ロニャー。
彼の死にぎわに放った一言は、猫バカたちを海へかり立てた。
「オレのかつお節か? 欲しけりゃくれてやる。探せ! この世のすべての猫をメロメロにできるかつお節を、そこに置いてきた!」
猫バカたちは、かつお節を追い求める。
世はまさに、大猫時代!
(from『ニャン・ピ―ス』 冒頭より抜粋)
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はい、よくわからないボケはさておき、昨今の住宅事情もあってか、国内において飼われている数は、猫が犬を逆転。
商機を逃すなと、世は猫関連のビジネスが盛り上がっている。
雑誌もそのひとつ。本屋に行けば、あきらかに増えている。
犬を特集する雑誌よりも、猫を特集する雑誌のほうが、多く目につく。
いままで犬を撮影していたカメラマンも、ひっしに猫を撮っているのだろう。
こんな感じだと予想。
猫のように動かないみなさんのために、いま、どんな猫雑誌がでているか、まとめてみる。
題して――
猫の雑誌を読んで、猫を迎える日に備えよう!
え? もう飼ってるって?
………じゃあ、その猫をまったり眺めていたほうが、充実した時間になると、思います。(いいなあ…)
これが定番、猫雑誌の四天王
まずは、「表紙を飾る猫の写真」にスポットを当てて見ていこう。
カメラマンや編集部がもっともこだわる一枚であろうし、表紙のお猫様を見れば、その猫雑誌の傾向も察せるはずだ。
猫雑誌の世界にも、歴史の長いものもあれば、短いものもある。
「猫ブームだからって、突然、おれたちのシマに群がってきやがって」
そう憤っているかもしれない、老舗の猫雑誌たち。
私はかってに、猫雑誌四天王と呼んでいる。
猫雑誌、四天王1『猫びより』
気まぐれな猫の、カメラ目線をバッチリとらえている。
さすが老舗のカメラマン、猫を撮りなれているのだろう。
とはいえ、さすが猫。しゃんとはしてくれない。顔をかこうとしてるのが、微妙に態度が悪くて、いとおしい。
雑誌のキーワードは「癒し」。オシャレな大人の雑誌を目指している。
猫雑誌、四天王2『猫ぐらし』
はわわ! なにこの、お留守番してる子供のようなポーズと目線!
これはきゅんとさせる気、満々だ。
「おみやげ買ってきたよ~」とか言ってあげたい。
編集部:「“ネコ補給”してますか? 本誌は、あなたの猫ゴコロを満タンにします」
ハイオク満タンお願いします!
猫雑誌、四天王3『ねこ』
・ねこ 2016年 11月号 Vol.100【付録:パンチョとガバチョ2017年カレンダー】
エメラルド・グリィイイイイン!
まるで宝石をそのまなこに抱いているよう。
だがその宝石に手を伸ばせば、すかさず鋭い爪が襲い掛かってる。そんな挑発的な一枚だ。
雑誌のテーマは、「ねことここちよく暮らす」。
ねことってもここちよくありたい。
猫雑誌、四天王4『猫生活』
かぎりなく瞳孔を細くした、なかなかの面構え。
肩がぶつかったら、すかさず謝らねばならんような、危険なにおいも発している。
撮影場所は、どこかの庭だろうか。タイトルにもある、「和猫」にふさわしい空気。
『猫生活』はなんと、2014年に休刊となっていた。
「42年間ご愛読ありがとうございましした」の文字が切ない。
もう少しねばっていたら、一大ブームが到来していたのに!
『猫の手帖』という老舗も、2008年で休刊している。
ブームを逃すものか、猫雑誌の新興勢力、六本槍
四天王に続いては、近頃つぎつぎと誕生している、猫雑誌界における新勢力。
定期刊行されるかはわからないが、本来は別ジャンルの情報を扱っている雑誌が、その力を猫に注いだ増刊を誕生させた。
注目すべき六冊を、私は「六本槍」と呼んでいる。
一の槍『女性自身』の猫特集増刊『ねこ自身』
・ねこ自身 2匹め (光文社女性ブックス VOL. 158 女性自身MOOK)
あの女性週刊誌が、スキャンダル、ゴシップを扱うノリはそのままに、猫の雑誌を誕生させた。表紙の文字を読むだけで笑えてしまう。
猫好きの間でかなり話題になったのが、「SEXY袋とじ」
おっぱいや鈴カステラ(たまたまの俗称)が掲載されている!
もちろん、猫の。
表紙のお猫様、かなり行儀がよろしい。
でも、本当の君は、そうじゃないんでしょう?
二の槍『ザ・テレビジョン』の猫特集増刊『ザ・テレビニャン』
「テレビニャン」ってセルフパロディがナイス。
情報番組の猫ネタ、最近、本当によく見かける。
テレビをザッピングしてる最中に猫が写ったら、そりゃ観ちゃいますよね~。
「芸能人猫相関図」って企画が笑いを誘う。
週刊誌でありがちな、「〇〇会」といった若手女優の勢力図のごとし。
表紙のお猫様は、CMにも出ているモデル猫。さすがに顔だちがりりしい。
そのへんにいる猫、ではなく、スターなネコの特集をしているのが、テレビ雑誌っぽい。
三の槍『an・an』(アン・アン)の猫特集
・anan (アンアン) 2016/07/27[夏の にゃんこ LOVE]
いやいや、そこはタイトルも『an・an』から『nyan・nyan』にしないと!
「にゃんにゃん」だと、エロい感じになる?
でも、本家『an・an』も、SEX特集が恒例になってるよね?
(「猫増刊」ではなく、「猫特集」どまりなので、本のタイトルを変えることは難しいのだろう)
表紙の二匹は、まるで雌雄のライオンのごとき風格。
……あ、いや、猫をライオンにたとえるなんて、まるで猫よりもライオンのほうが格が上みたいっすよね、すんませんでした!
*
ふと、この特集号を買うのは、猫好きと、毎週『an・an』を読んでいる人、どっちなんだろうと考えていたら、Amazonにはこんな表示が……
大人買い!
どこのだれかは存じませんが、好きね~♪
まだまだある、猫増刊
四の槍『Hanako』(はなこ)の猫特集
・Hanako特別編集 猫と男が幸せを呼ぶ。 (マガジンハウスムック)
くっ、これも、『Hanako』に「y」をくわえて、『Hanyako』としてほしかった……。
表紙の「猫と男が幸せを呼ぶ。」ってなんだ。
猫は幸せを呼ぶが、男は、そうでもないぞ?
表紙、手前のメガネが、猫の小ささと、取扱注意な感じをうまく表現している。
でも見た目はこれそっくり。
・花王 新クイックルワイパー ハンディ<捕集量が約1.5倍増>
かなり重宝してます。
本当に気軽に扱えるので、掃除に対する「面倒くさい感」が激減。
とくにPC、AV関連の黒いものには必須となりました。
あれ? なんの記事だっけ。
でもクイックルワイパーハンディは、マジで使える。
五の槍『LDK』の猫特集『ネコDK』
ロゴが、いつもの『LDK』かと思ったら、「L」が猫の形になってた!
猫好きだが事情があって飼えない。
そんな人間は、猫グッズにはまることもあるだろう。
私もその一人。こういった企画はうれしいものだ。
表紙のお猫様、黒目が最大級の大きさ。なにかに大きな興味を示している。
シャッターの直後に飛びかかっていると予想。
六の槍『Get Navi』による『ゲットにゃび』
メインロゴは『Get Navi』のままだが、フリガナは『ゲットにゃび』に。
紹介する猫雑貨の数、ニャーニャーニャ―で222種!
企画した編集者は、きっとこう思ったはずだ。
「犬特集なら、ワンワンワンで111種ですんだのにな……」
ひょこっと顔を見せるハチワレ、近づいたらさっと隠れるんだろうな。
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ということで猫雑誌の、老舗四天王と新興六本槍、計10冊をご紹介した。
が、あとひとつ、おまけで紹介したいものが。
『Number』による『ヨガ猫』
・Number Do(ナンバー・ドゥ)癒やしの日めくり ヨガ猫 (Sports Graphic Number PLUS(スポーツ・グラフィック ナンバー プラス))
『Number』から『ニャンバー』……、というわけではないのだが、『Number』のサイトから、ヨガをする猫の写真をおさめたカレンダーが生まれた。
猫がヨガ? ああ、そういうことね。
以下のサイトに、読者から寄せられたキュートなヨガ猫写真がたくさん。
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こんな記事を書いていたら、猫にふれたい衝動が、かえって強くなってしまった。
猫飼いの方々が心底うらやましい、猫を抱いて暖をとりたい季節である。
猫雑誌を観たあとは、猫映画などいかがでしょう?
こんな記事も書いています。
その他の猫ネタはカテゴリー:『ぼくと透明なネコ』
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◆記事終わりの連載4コマ漫画
『ペットボトルくん』その97
いやいや、さすがに違いますよね。
しっかりしろ、容器!