【巨人・育成ナイン】〈1〉篠原慎平投手、153キロ真っすぐで狙う守護神
10~20代中心でスタートした巨人の秋季キャンプには、実に9人の育成選手がメンバー入りしている。1軍レベルの素質を認められた9人はいったい、どんな選手なのか。連載「育成ナイン」で迫る。第1回は篠原慎平投手(26)。クローザーのダークホースとも言われる右腕の魅力と課題とは―。
黙々と投げ込んだ。秋季キャンプ初日、背番号001の篠原はブルペンでいきなり100球を投げた。身長186センチから繰り出すストレートには、1軍レベルの力強さがあった。全体メニュー終了後の個別練習では一番遅くまでグラウンドに残り、尾花投手コーチと何度も投球フォームの確認を行った。首脳陣の期待度を示す光景だった。
自慢の直球は最速153キロ。育成選手ながら、来季の1軍候補が集う秋季キャンプのメンバーに選ばれ、「(目標は)支配下登録。ただそれだけです。背番号2ケタ(の支配下選手)には負けたくないし、他の育成選手にも負けたくない」と強く言った。尾花コーチが「直球は今の1軍の力(の中)では、かなり戦力」と評する逸材。来季の守護神候補の一人として、首脳陣は熱い視線を送る。
波乱万丈の野球人生を送ってきた。愛媛県の川之江高時代は2年夏に県大会4強入りに貢献。しかし、部内の不祥事に巻き込まれ中退を余儀なくされた。その後、今治精華高通信制課程松山校を経て、独立リーグの四国アイランドリーグで7年間プレー。愛媛時代の10年に右肩関節唇断裂で手術。2年間登板機会から離れたこともあった。「本当につらかったし、何度もやめようと思った。負けたくない気持ちが勝った」。モットーは「反骨心」。強い精神力で支配下登録、1軍の舞台を目指している。
今年7月末に3軍から2軍に昇格。主にリリーフで16試合に投げ、防御率は1・71。シーズン終了まで2軍に残留し続け、台湾でのウィンターリーグには育成選手として唯一、参加が決定。第1段階の支配下登録へと着実に前進しているが、「直球以外は自信がない」と自覚するように、テーマは変化球の制球。「ただ直球で150キロ以上投げても通用しないと実感した。課題は見えている」とレベルアップに励んでいる。(玉寄 穂波)
◆篠原 慎平(しのはら・しんぺい)1990年6月13日、愛媛・四国中央市生まれ。26歳。愛媛・川之江高を中退し、今治精華高通信制課程松山校を経て、08年に独立リーグ・四国IL愛媛入り。13年から同・香川でプレー。14年育成ドラフト1位で巨人入り。186センチ、97キロ。右投左打。年俸は260万円。