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改選3に立候補者2 議員なり手がいない 長野

職員がぽつねんと待機する村議補選の受付会場=長野県高山村役場で2016年11月1日、川辺和将撮影

1日告示 長野・高山村議補選 13年村議選に続く無投票

 1日に告示された長野県の高山村議補選は、改選数3に対して立候補者が2人にとどまり、欠員を1残したまま、2013年の村議選に続く無投票になった。昨年の県内市町村議選の無投票は北海道に次いで全国2番目に多い20件(補選含む)に上り、議員の「なり手」不足が深刻化している。専門家は「多様な立場の人が議員を目指せるよう、抜本的に仕組みを見直す時期に来ている」と指摘する。【川辺和将】

 高山村は人口7246人(10月1日現在)。議員定数は1985年に20から16へと削減され、2005年に現在の12になった。来年ある村議選も無投票になれば、さらなる定数削減の声が上がる可能性もあり、議長経験のある男性村議は「定数がこれ以上減れば、首長に対するチェック機能が果たせない」と頭を抱える。

 議会関係者によると、村議補選では当選した2人の他にも複数の立候補者擁立の動きがあったが、打診を受けた人が経済的な理由などで辞退したという。同村の議員報酬は月約16万9000円。全国平均より約4万円安いが、地方政治に詳しい堤英敬・香川大教授(政治過程論)は「報酬を上げるだけでは根本的な解決にならない」と指摘する。

 堤教授によると、全国の町村議の職業は、会社員に比べて時間的制約の少ない農業や自営業が大半で、高山村議も大半が農業や自営業だ。ところが、その「議員の担い手」は減っている。村の農業などの1次産業従事者は1965年が2302人(全就労者の61.6%)だったが、2005年には964人(同21.8%)と40年間で大幅に減った。農業をしながらの議員活動どころか、本業も担い手不足になりつつある。

 同様の構造は県内に広がっており、昨年4月の統一地方選であった34市町村議員選挙では11市町村で無投票だった。南牧村では定数8に7人しか立候補せず、欠員が出た。

 一方で、高山村では会社員などの3次産業従事者が40年間で715人(同19.1%)から1943人(同43.8%)に増えた。だが、会社員をしながら村議に就く人はいない。多くの会社員は周辺の市などで働いているとみられ、堤教授は「一般的には現役会社員の立候補は上司の理解を得づらくて非現実的。(定年などで)退職後も元の勤め先が村外の都市部だった場合、地縁に乏しく立候補しづらいのでは」と推測する。その上で「議員の仕事の軽減や議会日程の柔軟化などで、主婦や会社員、若者ら多様な立場から立候補できるよう工夫が必要だ」と話し、どんな人でも議員活動のできる環境づくりを提案する。

 今回の村議補選で無投票当選した無所属新人の沢井好子氏(78)は、夫と2人暮らしをしていた13年にも知人から村議選出馬を打診されたが、会期中の家事労働に不安を感じ、辞退した。その後、長男家族と同居を始めて負担が減ったため、立候補を決意したという。「今の議会は(家事との両立が難しく)女性が参加しづらいが、意見を述べる機会を得たので、議会が活発化することを願って積極的に発言したい」と話している。

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