崔順実(チェ・スンシル)氏による政権私物化疑惑と関連して、朴槿恵(パク・クンヘ)大統領に対する検察の取り調べが避けられない状況へと流れが変わりつつある。韓国法務部(省に相当)の金賢雄(キム・ヒョンウン)長官は3日、国会で「真相究明のために必要なら(大統領に対する)捜査の必要性と可能性を検討した上で要請する」と答弁した。憲法には「現職大統領の不訴追」が定められているため、金長官はこれまで大統領に対する取り調べについて「大統領は捜査対象にならない」として慎重な姿勢を示してきたが、この日はそれまでとは違った考えを示した。与党セヌリ党執行部の中でも「朴大統領に検察の取り調べを受け入れるよう求めるべき」との考えが形成されつつあるという。
事件の全貌解明は大統領の取り調べなしには不可能だ。検察が崔順実氏や安鍾範(アン・ジョンボム)元大統領府政策調整主席秘書官に適用している容疑は、大企業に圧力を加え、ミル財団とKスポーツ財団のために774億ウォン(現在のレートで約70億円)を事実上強制的に徴収した職権乱用で、二人は共犯ということになっている。ところが安元主席は検察で「朴大統領の指示を受けてやった」と証言しているという。これが事実だとすれば、法的には朴大統領に職権乱用の大きな責任があることになり、安元主席はあくまで従犯となってしまう。
崔順実氏は側近を両財団の理事長に据えることで影響力を行使し、両財団を私物化していた疑いが強いが、もし朴大統領がこれら一連の流れに関与していたとなれば、朴大統領には「第三者供賄罪」が適用される可能性もある。大統領の演説文草案や秘書らの人事関連資料など、大統領府の文書が崔氏に流出していた問題についても、公務上機密漏えいや大統領府記録物管理法違反などが適用されるかもしれない。