【寄稿】苦言に耳を傾ける安倍首相、意見を求めない朴大統領

 耳障りな意見も言える参謀のいない指導者は、高慢になる。安倍首相に対し、最も頻繁に苦言を呈するのは菅義偉官房長官だ。官僚たちも鋭い彼には正確な情報を伝える。しかし、韓国の大統領府(青瓦台)や閣僚らが大統領に苦言を呈することはないようだ。参謀の多くは生き残るため黙々と大統領に従い、そうしたために生き残ることができた。苦言を呈したり、権力の秘密に手を付けようとしたりした人々が冷やかに放り出されるのを間近で見ていたせいだろう。それゆえ、参謀の意見を求めない責任も結局は指導者にある。

 対面での報告や討論は政策決定において重要だ。デリケートな、議論を呼びかねない事案を書面の報告書に盛り込む官僚はいない。習主席は強大な権力を握っているように見えるが、中国は集団指導体制で動いており、討論を経て政策を決定する。安倍首相は折に触れて官僚らを呼んで意見を交わす。良いアイデアを採用するためのプロセスだ。一方の大統領府では、閣僚級の秘書室長さえもほとんど対面報告をしていなかったとされる。首席秘書官会議や閣議で、国の懸案について熱心に討論する様子が国民に伝えられたこともない。

 国民は、参謀と討論を交わし、専門家の意見に耳を傾け、国民と率直に対話する指導者を望んでいる。苦言や自身と違う意見も素直に聞き、批判の声も参考にできるような指導者だ。何よりも、スローガンばかりが華々しい、見かけ倒しの政策ではなく、生活を安定させ、豊かにしてくれる具体的な政策を提示できる指導者を国民は望んでいる。危機に陥った指導者が自らのリーダーシップのあり方を見直さなければ、新たな指導者を望む国民の声は高まる一方だ。

パク・チョルヒ・ソウル大学国際大学院長
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