子どもをダメにする最も効果的な方法、それは欲しいものを何でも買ってあげること。英国を代表するミュージシャン、スティングもそのことをよく知っているようだ。
Text: Masako Iwasaki
海外ドラマを見ていると、よく「親からの信託財産が○万ドルあるから……」「20歳になったから信託財産が受け取れるの」といったフレーズを耳にする。欧米では、ある程度の財産を持つ親は子どものためにまとまった金額を銀行に預け、いざというときのために資産形成しておくケースが多い。しかし、億万長者であるにもかかわらず「子どもには一切の財産を渡さない」と宣言したセレブリティがいる。その名もスティング。ポリスの元フロントマンにして、グラミー賞受賞回数16回、才能と実力で1億8000万ポンド(約312億円)の資産を築き上げた音楽界の大立者だ。
1976年に結婚した最初の妻フランシス・トメルティとの間に2人、現在の妻トゥルーディ・スタイラーとの間に4人の子をもうけたが、偉大なる父スティングは「うちの子たちは銀のスプーンをくわえて生まれてきたと思うだろ? でも俺はまったく甘やかしてこなかった。財産を残すつもりもない。なぜなら俺たちが全部使うからさ!」と断言。その言葉通り、6人の子供たちに信託財産はおろか、遺産さえも相続させるつもりはないという。しかし、この発言の裏には「きちんと働いて金を稼いでほしい」という親心があるようだ。
「彼らは働くべきなんだ。俺の子ども達はみんなそれをわかっていて、頼み事も滅多にしてこない。俺はそんな子ども達を尊重しているし、高く評価しているよ。もし、誰が見ても困っているようなら手は差し伸べるさ。でも、そんな必要はないだろうね。みんなそれぞれ、自分たちを成功に導くための労働倫理を持っているんだ」
このように、自らの子どもを金銭面で甘やかさないことを信条としている有名人は意外と多い。テレビ番組でも人気の料理研究家ナイジェラ・ローソンは、「自分でお金を稼ぐ必要がないという状況は、その人を破滅させます」という持論の元に、自分の子どもには財産を一切遺さないと宣言している。また、イギリスを代表する億万長者デイヴィッド&ヴィクトリア・ベッカム夫妻の長男ブルックリン(15)も、ロンドンのコーヒーショップで時給2.68ポンド(約465円)のアルバイトを始めたという。
親の金で生かされているうちは一人前ではない。出そうと思えばいくらでも子どものために金を出せる成功者が、努力した報酬として金を得る喜びを子どもに教える。それこそが何よりの財産と言えるのではないだろうか。
スティングのパーソナル・スタイル。ポリス時代から現在に至るまで、知的でリアルな歌詞が時代を超えて共感を集めている。 Photo:ロイター / AFLO(2012年7月撮影)
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