滋賀銀行が滋賀大学と包括提携 (ビッグデータで地域経済活性化) 金融経済新聞の平成28年10月17日付記事です。滋賀銀行が滋賀大学と包括協定を結んで、ビッグデータの分析を通じて、地域経済活性化を図るという内容です。滋賀大学は来年4月にデータサイエンス学部を創設しますが、滋賀銀の持つビッグデータをデータサイエンス部が、教材として利用しながら解析し、滋賀銀の新商品開発などに活用する計画だそうです。 9月14日には、京都銀行がやはり滋賀大データサイエンス部との包括的提携をしたと報道がありました。こちらもビッグデータを活用して地域的課題に対する支援を行なう趣旨の提携です。同データサイエンス部はわが国で初のデータサイエンス専門の学部です。学生は1学年100名を募集予定で、教師陣は教授、准教授あわせて14名が既に在籍しています。ビッグデータがブームの昨今、多方面から注目されている学部です。 それにしても、京都銀、滋賀銀と相次いで同学部と提携するというのは、たいした人気であります。大学側にとっては、カリキュラムを作り、教授陣を揃え、学生を集めても、実学の為にはビッグデータ分析の為のツールが必要です。ITインフラと分析対象のデータです。インフラ装置やソフトは予算さえあれば何とでもなりますが、問題はデータでしょう。パブリック・データは際限なくありますが、量があればよいかというと、全くそういうことではありません。質が不可欠であり、それも、経済活動など生きたデータが必要です。地元地銀と提携できれば、データの入手が可能となります。それも地域に貢献するという目的が一緒であれば、より効率的な分析ができます。銀行としては、大学に分析してもらって、何か良いアイデアがでてくればベストです。学生と協業することで、卒業後、優秀な学生が自行に就職してくれれば、更にありがたい。 滋賀大と滋賀銀は組合せとしては、わかりますが、隣の京都銀が何故出てくるのかと思いました。滋賀と京都は、互いに地元の若者が隣県の大学に通うことが多いそうです。筆者の出身の群馬県では、隣県の大学に行く若者は極めて少なく、このようなクロスの進学は発想にありませんでした。実際、滋賀銀に京都の大学卒業生は多いですし、京都銀には滋賀大出身者が多い。香川県と岡山県がそうだったので、驚いた覚えがあります。 滋賀銀は、取引先企業をも巻き込んでコンソーシアムを組成し、地域振興策の提言なども行なっていく考えです。滋賀県や市町村をも含めた産官学連携が機能すれば、とても面白いことが起きそうです。これは、京都銀行の提携発表の中にはない発想です。ただ、産官学が集まるだけでは、何も起こらないと思います。そこに、産業コンサルや中小企業支援機構などの業種別専門家も含めて、企業目線、産業目線、地域目線でデータの活用方法を知る人材が不可欠です。 最近、国の機関が主導して金融機関の送金情報と企業の財務データを分析して、地域間と企業間の価値連鎖を分析することが流行っています。なんどか説明を受けるのですが、言われるほど具体的なソリューションが見えてきません。何か経済活動の繋がりはあることはわかるのですが、それ以上のブレイクダウンができない。やはり活動の素データが欲しい、それもリアルタイムで、より上流工程の素データが欲しい。 経産省は、銀行界が送金付随情報をXML化することを想定して、企業間の商流EDIのフォーマットを統一する方針です。それはそれで役立ちますが、財務データは、活動が終わってからしばらく後のデータです。できれば、より上流のデータが欲しい。例えばERPからデータを取り出せれば、在庫や注文などの情報が入手できるでしょう、素データであれば、更に良いですが、ベンチマーク・データだけでも大変な価値になるでしょう。更にいえば、企業が生産や営業などをIoT化したとして、そのデータを分析できれば、更に速く、より詳細な解析が可能となる。デジタル経済における競争力の源泉は、経済源流データにあります。その奪い合いがグローバル・レベルで行なわれているのが、現在ですが、それをまとめて確保しようとするのが、プラットフォーム戦略です。 米系企業には、こうした戦略を長期的視点で、着実にそれも素早く実行するディープ・シンキング、ストラテジック・シンキングを行なう体質があります。その点、日本はイベントドリブンです。包括提携の協定を結んだと発表しても、問題はその後です、だれが、具体的にそれを進めるか。それを銀行として、どこまで支援できるか。直接の担当者だけでなく、組織としての推進態勢が不可欠です。毎日のように提携話が新聞を賑わせます。しかし、それが、どのような結果、成果を生み出したかと言う発表は、殆どありませんし、メディアもフォローしません。時々、当事者にあの提携はその後、どうです?と質問すると、聞かれた方が、すっかり忘れているなんてことがしばしばです。 今回の提携発表は、良い役者がそろったのですから、良いシナリオを作り、良い監督の下、良い観客を動員して、超高速で進めて欲しいものです。地域振興に直結するような施策がみつかれば、それを他地域に教えることも良いでしょう。すると、こんなことができないか?と新しいアイデアを貰えます。それが、また、新しい施策となります。知識やアイデアは、オープンにすることが重要です。そこに、新しい情報、アイデアが集まってきます。銀行文化としては、馴染まないかもしれませんが、それを破ることで、新たなビジネスモデルが見える筈です。 |