蹴球探訪
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【首都スポ】関東大学ラグビー 明大の新スーパーブーツ SO堀米 必殺キック!2016年11月5日 紙面から
大学日本一へ、スーパーブーツがさえ渡る! 関東大学ラグビーはいよいよ上位チームが直接対決する後半戦に突入。対抗戦グループでは大学選手権8連覇を目指す帝京大の充実が目立つ一方で、対抗馬として評判が高いのが明大だ。特に、SO堀米航平(3年・流通経大柏)は、3戦目の青学大戦の途中から3試合にわたってゴールキックを17連続成功中。勝負を分けるキッカー戦線に名乗りを上げた新スーパーブーツに話を聞いた。6日は秩父宮ラグビー場で明大VS慶大、帝京大VS早大という注目カードがダブルヘッダーで行われる。 (大友信彦) 右足から放たれたボールは、糸でたぐり寄せられたようにHポストの真ん中に吸い込まれた。やや上目遣いでその様を確認すると、表情も変えずに自陣へと戻っていく。 「すごいね」 「全部決めてるね」 スタンドからささやきが聞こえる。10月23日、上柚木陸上競技場で行われた明大−成蹊大戦で、明大SO堀米航平は、後半23分に退くまで7度のコンバージョンゴール(G)をすべて成功。6G2PGをすべて成功させた前週の筑波大戦に続き、2週連続のパーフェクトキックだ。2週前の青学大戦で決めた、最後の2本のキックから数えれば17連続プレースキック成功だ。 「キックは毎日練習してますから、自信を持って蹴りました」 堀米は胸を張った。こうなると、11本蹴って成功5本と成功率5割にも届かなかった青学大戦が不思議に思えてくるが……。 「あの日は久しぶりの試合で、緊張しすぎていたみたいです。自分でビデオを見返しても動きが硬かった」 堀米は苦笑すると、こう続けた。 「緊張でフォームが崩れていただけなので、ビデオを見てすぐに修正できました。自信を失うことはなかったですね」 おとなしそうな表情から、自信にあふれた言葉が出てくる。 「昔からそうなんです。キックは中学生の時から蹴ってますが、誰かに助言をもらうんじゃなく、自分で蹴り込んで固めたフォームだし、調子が落ちたときは自分で原因を探して修正しています」 支えているのは上級生の自覚だ。 「昨年までは下級生で、上級生に頼る意識があった。今年は上級生になったので、自分が引っ張るつもりで取り組んでいます」 昨年の4年生には、BKにFB田村煕(現・東芝)、FWにはナンバー8松橋周平(現・リコー)という絶対的なエースがいた。その2人は1年目からトップリーグで活躍し、日本代表候補合宿にも招集され、松橋は日本代表としてきょう5日のアルゼンチン戦でリザーブ入りした。 「すごく励みになりました。去年まで一緒にやっていた先輩がジャパンを争っている。自分も頑張れば、日本代表も遠くない。すごくモチベーションになっています」 もちろん、自信は思い込みだけで生まれるものではない。 堀米は今年3月にニュージーランド(NZ)のハミルトンに約1カ月間留学。日本代表前主将リーチマイケルも在籍するスーパーラグビー・チーフスのアカデミーで練習し、週末は地元のメルビルというローカルクラブで試合を重ねた。 「留学期間は短かったけど、いろんな意味で勉強になりました。コミュニケーション。ウエートトレーニングで自分からとことん追い込む姿勢。あとはフィジカルの激しさ。向こうの選手はみんな、激しくぶつかるのが大好き。そこに1カ月いたから、帰ってきたら、チームメートがみんな小さく思えた」 留学費用は自費だったというが、投資に見合っただけの収穫はあったようだ。 帰国後は、5月の春季大会で左手首を骨折し(骨折した後も試合を続け、トライもしたという)、4カ月にわたりチームを離脱。それが復帰戦での過緊張に繋がりもしたが、そこから自力で復調を勝ち取り、ゴールキック連続成功を続けているのは紹介した通り。今後、20日の帝京大戦、12月4日の早大戦と続く上位との対決では、さらにキックの重要性が増してくるはずだ。 「たまたまだったと言われないように、これからも決めていきたいですね。期待されてると思うし、それを自分の力にしたい」 控えめな言葉に自信がにじむ。静かなるスナイパーが、大学戦線に嵐を呼ぶ! <堀米航平(ほりごめ・こうへい)> 1995(平成7)年9月18日生まれ、埼玉県所沢市出身。明大商学部3年。ポジションはSO。小4のとき、3歳上の兄・大地が通っていた練馬ラグビースクールでラグビーを始める。流通経大柏高3年で高校日本代表。明大では1年からSOで対抗戦に出場。177センチ89キロ。 ◇ 首都圏のアスリートを全力で応援する「首都スポ」。トーチュウ紙面で連日展開中。 PR情報
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