盗撮事件に関与した疑いがあるとして千葉県警浦安署に任意で聴取されていた30代の男が、署員が居眠りしている隙(すき)に取調室から逃走していたことが、県警への取材で分かった。男は近くの中学校の校舎から飛び降りて腰の骨を折った状態で発見され、病院に搬送された。県警は回復を待って県迷惑防止条例違反(盗撮)容疑で事情を聴く。署員は「ウトウトしてしまった」と話しているという。
県警によると男は10月22日午後2時過ぎ、千葉県浦安市の観光施設で女性のスカート内を盗撮しようとしたとして任意同行された。事情聴取後の午後11時20分ごろ、3階の取調室に一緒にいた署員が男がいなくなったことに気付いた。約10分後に署の近くの市立美浜中のガラスが割られ警報機が作動したと110番があり、駆けつけた署員が校舎脇に倒れている男を発見した。
男が逃走したのは同署が逮捕状を取り、裁判所から戻る最中。署員が居眠りしているうちに取調室を出て、3階トイレの窓から外階段に移ったとみられる。取調室の扉に鍵はかかっていなかった。その後、中学校の3階建て校舎の屋上から飛び降りたとみている。男は入院先の病院の医師に「自殺しようと思った」と話したという。
県警は男が逃走したことを公表しておらず、毎日新聞の取材に「任意捜査の段階で、住民らに危害を加えるような凶悪犯でもない」などと理由を説明した。署員の対応については「問題がなかったか確認中。再発防止に努めたい」としている。【金森崇之】