すべてのテレビ番組をパソコンやスマートフォンで同時に見られるようにする「ネット同時配信」に向けた課題を話し合う総務省の有識者会議が4日、始まった。まず2020年までに同時配信の本格実現をめざす方向性を確認。配信の壁になっている著作権の処理や、技術面の問題点などが主な議題になる。

 冒頭、総務省の南俊行・情報流通行政局長が「五輪がある20年を見据え、どう本格普及させていくか。課題解決の道筋をお願いしたい」と要請。主査(座長)に就いた村井純・慶応大環境情報学部長は「環境をどう整えるかが、会議の役割だ」と応じた。

 会議では、東京メトロポリタンテレビジョン(MXテレビ)が「放送用の著作権処理をしていれば同時配信もできるように」と要望した。民放テレビ局は同時配信を制限されていないが、芸能事務所や音楽関連の著作権団体などと結んでいる著作権契約は放送に限定されていることが多く、ネットで番組を流すには別に契約が必要になる。

 総務省は19年にも、NHKと民放を合わせたネット配信の全面解禁にこぎ着ける方針。会議で著作権などの新ルールを整備しつつ、NHKの同時配信を制限している放送法も改正する考えだ。会議は来年6月に中間答申、18年6月に最終答申を出す。(上栗崇)