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詳報:封印を解かれた「キリストの墓」の新事実

ナショナル ジオグラフィック日本版 11/4(金) 7:20配信

イエスはどこに眠るか――キリスト教最大の謎に科学が迫る

 イスラエルのエルサレム旧市街にある聖墳墓教会で、イエス・キリストの遺体が埋葬されていると伝えられる墓の調査が行われた。墓を覆い包むように建っているこの教会は、何世紀にもわたって破壊や修復が繰り返されてきたが、これまでに判明した調査結果からは、本来の墓の一部が今も残っているらしいことがわかってきた。

【動画】封印を解かれた「キリストの墓」の新事実

 この墓はキリスト教世界で最も神聖な場所で、石灰岩の洞窟の壁を削って作られたもので、「石墓」と呼ばれている。石墓の上には、遅くとも西暦1555年、あるいはそれよりも数世紀前から、大理石の板がかぶせられていた。この覆いが設置されたのは、熱狂的な巡礼者が墓から石の欠片を記念品として持ち去るのを防ぐためだと言われている。

 大理石の覆いが外された10月26日の夜、ギリシャのアテネ国立技術大学の保存担当チームが行った最初の調査では、覆いの下に敷かれていた充填材の層までしかたどり着けなかった。しかしその後、60時間にわたって休みなく作業が続けられ、表面に十字架が彫り込まれたもう一枚の大理石の板が見つかった。そして10月28日の夜、墓を再度封印するまであと数時間というとき、ついに本来の石灰岩の石墓が無傷のまま姿を現した。

「本当に驚いています。膝が震えていますよ。こんな結果は予想していませんでした」とナショナル ジオグラフィック協会付きの考古学者フレデリック・ヒーバート氏は言う。「100%確実とは言えませんが、これは墓の場所がはるか昔から移動していないことを示す証拠のように思えます」

 研究者らはまた、石墓を囲む形で18世紀に作られた「エディクラ」と呼ばれる小さな聖堂の内部に、本来の墓である石灰岩洞窟の壁が存在していることを確かめた。聖堂の南側の内壁に窓が切られており、そこから洞窟の壁が見えているという。

「これは何世紀にもわたって崇拝を集めてきた『聖なる岩』ですが、今ようやく、実際に人の目に触れたのです」。エディクラの保存と修復を監督するアントニア・モロポーロー教授はそう語る。

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最終更新:11/4(金) 7:20

ナショナル ジオグラフィック日本版

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