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「家族を置いてきぼりにしない」福祉車両が紡いだ絆

NEWS ポストセブン 10/20(木) 7:00配信

 日本は4人に1人が65才以上という超高齢社会であり、在宅の身体障害者数は約350万人(2008年調査)という“要介護”大国である。しかもその数字は年々伸びている。約10年後には在宅介護が本格化すると推測される昨今、「ストレスのない移動」は重要課題であり、自動車メーカー各社も福祉車両の開発・改良に取り組んでいる。

「家族は誰ひとり置いてきぼりにしない」。福祉車両が紡いだある家族の絆を取材した。

 関哲雄さん(38才)と靖子さん(38才)夫妻の長女、歌子ちゃんが「脊髄性筋萎縮症」と診断されたのは、生後2か月の時。全身の筋力低下や筋萎縮が進む数万人に1人の難病で、今も有効な治療法は見つかっていない。呼吸筋が侵されるため、乳幼児が発症すると70~80%は1才までに死亡するといわれる病気だ。

「人工呼吸器をつけないと1才半までは生きられない」と主治医に宣告されての入院。しかし、「子供は家族と暮らすのがいちばんいい」との勧めもあって、1才の誕生日を待たずに退院、夫婦交代で歌子ちゃんを在宅介護する日々が始まった。

「その頃はまだ普通のセダンに乗っていたので、通院などの移動時にはストレッチャーを荷室に積み、歌子は後部座席でチャイルドシートに乗せて、目的地に着いたらストレッチャーを用意して…の繰り返し。でも、しばらく走ると歌子の体がずれてきて危険だし、しかも当時住んでいたのが階段しかないアパートの3階だったので、移動はかなりの重労働でした」(関さん)

 そこで、ストレッチャーごと乗せられるクルマを探し、トヨタの福祉車両「ウェルキャブ」シリーズから、ストレッチャーに横たわったまま車に乗せられる「ライトエース」のリフト車に乗り換えた。ちょうど年子である長男が誕生したこともあって、「姉弟一緒に出かけさせてやりたい」という思いもあった。

「万が一の事態を考えて慎重に行動する必要はありますが、やはり子供は子供たちと一緒に外に出て、いろんなものを見て、刺激を受けないとダメじゃないかと。だから家族4人で一緒に移動できるクルマが必要不可欠でした」(関さん)

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最終更新:10/20(木) 7:00

NEWS ポストセブン

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