2016年11月2日のニコ生で、山田太郎前議員が「アニメーションの火が日本から消えないように」ということで、政府が募集中の下請法に関するパブリックコメントの提出を呼びかけました。

文字起こしをする動画:
http://live.nicovideo.jp/watch/lv279484237
(このニコ生の39:00付近から文字起こし)

山田前議員の有料メルマガとの兼ね合いもありますので、この文字起こしの公開にあたっては、山田前議員にメールで問い合わせを行い許可を頂いています。多くのパブリックコメントが寄せられれば、政府が動いてくれる可能性も高まります。よって、このパブコメに関する山田さんの発言は広く公開される必要があるのではないかと考え、山田さん側に打診を行い、許可を頂きました。

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山田太郎前議員
「さて、次はですね、下請法のパブコメ。これは何かというとですね、アニメーションのいわゆる『動画』の人達の待遇が非常に厳しい状態であると。(『動画』の)年収の平均が111万円だっていうのがJAniCA(日本アニメーター・演出協会)さんと国の調査で出ていて、このままでは日本からアニメはなくなってしまうと。これは(エヴァンゲリオンの)庵野監督なんかもそんなことを主張しているという話も私はしたと思うんですが

これに対してですね、下請代金支払遅延等防止法に関する運用基準というものを見直すということになりました。これは法律改正というよりも運用基準の通達の中で『こういうものはダメだよ』『ああいうものはダメだよ』ということを官が発するということで。それに関して、パブリックコメント、一般からの意見を求めたいということで、これは短い間なんですけど、今、ちょうど意見募集中になっています

で、私自身は公取(公正取引委員会)に対して相当主張してきまして。前言ったと思うんですけど、どうして下請法に引っかからないかというと。実は安い賃金で働かせると、本来であれば労働基準法の方で引っかかっちゃうんですよね。最低賃金っていうのがありまして、東京都の場合は920円ぐらいなんですが、年収が111万円っていうのはそれ以下なんですよ、どう計算しても。『おかしいじゃないか』というのを国会でやったんですが。

実はこれは、会社に所属してなきゃ最低賃金は関係ないわけですよ。で、7割から8割はアニメの制作現場っていうのは、いわゆる1人でやっているというかですね、個人契約みたいな形で、フリーランスというかですね、まあさせられてると言ったほうが正しい。なぜかというと、それでも95%は会社に席を持って働いてるから。

それって実質の社員と同じだから、派遣または請負法違反に問われかねない。実際には請け負ってるわけだから、個人が。たぶん請負法違反になっちゃう。というのは、請負っていうのは本来は元々契約で決められた業務の外をやってはいけないということになってるんだけど、たぶん指導されているから。指導されると請負じゃなくなっちゃうので請負法違反なんですよね。という疑いがあるんですが、それはそういうこともありえるってことで厚労省が『調査する』ということを、私の答弁に対して厚労副大臣が認めたんだけれども、その後どうなってるのか私も国会議員じゃないので監視ができないと、こういうことなんですけれども、強く本当はそれを主張していきたいと思ってるんですが。

一方でですね、下請法というのもあって、公正取引委員会がもってる下請法というのがあります。これは何かというと、継続的に食べられないような下請けをやっていると、それはダメだよっていう――」

坂井前秘書
「不当に安い値段で――」

山田太郎前議員
「ダメだよってことなんですが、それって実は親会社というか発注している側が、資本金一千万円以下だと対象にならない。実際には資本金一千万円以下の制作会社が多くて、法の穴をくぐり抜けちゃってるということがあるので、この下請代金遅延防止等に関する運用基準の中に、実際にはそういう不当に食べられないような安い形での取引はダメだということを書くべきだということで、それによって、まず。法律改正っていうのは重たいから、実運用上の通達でもって何とかできないのかといったこと

これは経産省側としても、下請けに関する見直しが行われるようにってことで、ガイドラインを出してみたりということがあって、法律文書、契約書を雛形で作ってるなんて話もあるんですけれども。これが通達になれば守られるので、行政指導ということで。

で、テレビのほうはあるんだよね。テレビの下請会社に対して――」

坂井前秘書
「今、ツイートをしたのでこれを見て下さい」


坂井前秘書
ここにurlがあるので、ここに応募フォームみたいなものがあるんです。アニメの制作会社と個人のアニメーターとの関係についての違反事例を載せて下さいというような文言ですね。それを載せてもらえれば、たぶん載ると思います。今回、これだ――(注:ここでニコ生の回線不調により音声途絶)」

(注:回線が復帰してから説明を仕切り直し)

坂井前秘書
「ここからぜひ、下請法の代金の支払いについてはアニメ制作会社とアニメーターの関係についても違反だよという事例を載せて下さいと、こういうのは違反だからやっちゃダメだよという事例として載せてくださいという趣旨をですね、この意見募集のページからぜひしていただければ、多くの人から集まればですね、これは公正取引委員会の方も動かなきゃいけなくなりますので、ぜひ皆さん、ご協力をよろしくお願いします

山田前議員
「それで、11月24日までですので。10月26日にですね、意見受付が開始されて、たったの1ヶ月間。これ言ったんですよ。『まさかこれ1日とかじゃないだろうな』と。やるんですよ、連中は平気で、言っとかないと。『じゃあ1ヶ月やりましょう』ということになりまして、1ヶ月。

(ニコ生のコメントに答える形で)そうなんですよ。京都アニメーションなんかを見習おうっていうのは非常にしっかりやってるわけですよね」

坂井前秘書
「あそこは内製率が高いんですよね」

山田前議員
「ということで、ここは皆さんでパブコメをやってですね、アニメーションが日本から火が消えないようにですね、やりましょうと」

(中略)

山田前議員
「ちょっとさっきのテレビのほうについては書かれてるけどっていうのはちょっと参考にして。で、恐れることなく一般の意見の募集ですから、どんどん稚拙だったとしてもですね、皆さんの言葉で。我々強要するわけにもいきませんので

坂井前秘書
「みんな強要するんですよね。言葉をこういうふうに書いて送って下さいみたいに」

山田前議員
「でも、それをやっちゃうとですね、結局そういうふうにしてやらされたということになりますから。一般のみなさんの声としてですね、寄せてもらえれば官僚のほうは(無視ができなくなる)」

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山田前議員
「で、(『下請代金支払遅延等防止法に関する運用基準』の改正案の『情報成果物作成委託における違反行為事例』)の8-7(2)のほうなんですけれども、『親事業者は,テレビ番組の制作を委託していた下請事業者に対して,いったん親事業者のプロデューサーの審査を受けて受領された番組について,これの試写を見た親事業者の役員の意見により,下請事業者に撮り直しをさせたにもかかわらず,撮り直しに要した下請事業者の費用を負担しなかった』っていうケースがあって。

アニメはこれ、全てが当てはまるわけじゃないんですけれども、安く不当な形でですね、下請であるにも関わらず、契約の範疇を超えて安く使うとか、社員のように使っているのはおかしいじゃないかとか。そういうことはしないようにというような内容を、ここで書いてもらえればいいかなと思っています。どこかで私どもが出したものを――」

坂井前秘書
みんなコピペしちゃいますよ

山田前議員
それはね、マズイんですね。そうすると、山田元議員が強要してるってことになってしまうと問題なので、まあ、ご自身の言葉で書いてもらわないとパブコメにならないので、ぜひそのあたりですね、思う所があればいろいろ調べてですね、自分の言葉でパブコメを寄せてもらえればと

坂井前秘書
ちょっとヒントを言っておくと、今の(事例に)似た形だと、勝手にシナリオが変わっちゃう、とかね

(中略)

山田前議員
「(パブコメに書くべき内容に)介入しちゃうとですね、これはパブコメとしては問題がありますので、ぜひ皆さんでオススメをそれぞれ考えていただくというのがいいのかなと思ってます」

(中略)

山田前議員
「自分たちの言葉でそれを書いてもらいたいということなんですよ」

坂井前秘書
できたらそれをTwitterとかFacebookに載せてくれるとうれしいですね。パブコメのurlと一緒に

山田前議員
そうするとみんなでですね、こういったものが集まってくるということで、実際に政治と言うかですね、通達を動かすことができますので。そこは私が援護射撃でもって公正取引委員会の担当官には、直接これを担当してる人には全部入れてありますから。ぜひですね、そういう形で、世の中をみなさんとともに動かしていこうと

坂井前秘書
「そうですね。これは実際に変わりますからね」

山田前議員
「変わります。これは大きいと思います、このことは。パブコメでどういったものが来たのかということは公開されるはずですから(注:パブコメの募集ページには「寄せられた意見につきましては,住所,氏名,電話番号,FAX番号及び電子メールアドレスを除き,公表することがあります」との記述がありますこういういいチャンスですので、世の中変えようと思ったら、私だけの力ではどうしようもないので、皆さんができるだけですね、自分たちの想いと現場を書いてもらえればと思ってます


文字起こしは以上です。山田さんの仰るように、自分の言葉でパブリックコメントを書いて送るのが大切です。コピペは山田さんに迷惑がかかるのでやめましょう。



【パブリックコメントに関する参考リンク】
「下請代金支払遅延等防止法に関する運用基準」の改正(案)に対する意見募集について
http://search.e-gov.go.jp/servlet/Public?CLASSNAME=PCMMSTDETAIL&id=110300030&Mode=0

下請法とは-親事業者の禁止行為(公正取引委員会HP)
http://www.jftc.go.jp/shitauke/shitaukegaiyo/oyakinsi.html

フリーランスで働く人は「下請法」で守られている――おさえておくべきポイントとは? - 弁護士ドットコム
https://www.bengo4.com/other/1146/1288/n_1858/  

アニメーション制作業界における下請適正取引等の推進のためのガイドライン(経済産業省)
http://www.chusho.meti.go.jp/keiei/torihiki/2014/140313shitaukeGL9.pdf

平成27年度コンテンツ産業強化対策支援事業 (アニメ下請ガイドラインフォローアップ等調査事業)報告書
http://www.meti.go.jp/policy/mono_info_service/contents/downloadfiles/houkokusyo.pdf


【参考リンク】

前参議院議員・山田太郎 ニコニコチャンネル

山田太郎前参議院議員ツイッター

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