トルコ、親クルド野党政治家らを拘束
- 2016年11月4日
トルコ当局は3日、クルド人を主な支持基盤とする国民民主主義党(HDP)の共同党首2人と、少なくとも9人の議員を拘束した。
現地メディアによると、治安当局は対テロ捜査の一環としてHDPの共同党首のセラハッティン・デミルタシュ、フィゲン・ユクセクダー両氏をそれぞれの自宅で拘束した。
数時間後には、デミルタシュ氏が拘束された同じ場所、トルコ南東部ディヤルバクルで大規模な爆発が起きた。1人が死亡し20人が負傷したとの情報がある。現場は警察の建物に近くで、自動車爆弾による攻撃の疑いがある。
一方、ユクセクダー氏は首都アンカラで拘束された。
トルコでは今年7月にクーデター未遂事件が発生して以来、非常事態宣言下にある。このためレジェップ・タイイップ・エルドアン大統領と内閣には、議会の承認なしの立法や、権利や自由を制限する権限が与えられている。
「完全に不法」
非合法化されている反政府武装組織「クルド労働者党」(PKK)が4日の爆発に関与した疑いが掛けられている。今回拘束されたHDP議員らは、PKKの宣伝活動に関わったとされているが、HDPは強く否定している。
警察は首都アンカラにあるHDP党本部を捜索しており、逮捕者が出ている。
米政府や欧州連合(EU)、トルコ政府は、PKKをテロ組織に認定している。
トルコ国内では現在、ソーシャルメディアにアクセスができない状態になっている。野党政治家らの拘束から間もなく、ツイッターやフェイスブック、ユーチューブ、ワッツアップが使えなり、VPN(仮想専用網)による国内の規制を回避する手段も使えないという。
デミルタシュは、ソーシャルメディアへの規制がかかる前にツイッターに自らの拘束されたことを投稿していた。
現在、海外に滞在中のHDP議員、エルトゥールル・クルクジュ氏はBBCに対し、デミルタシュ氏らの拘束は「完全に不法だ」と語った。「今夜の取り締まりは、手続き法や犯罪法、そのほかどんな法にも、もしくは憲法にも、全くのっとっていない。HDPの国会議員に対する不法なハイジャックだ」。
「トルコ政府はナチのような独裁を始めつつある。要するに、国際的に認められた議会制民主主義の基準を順守するのかどうかが、トルコ政府に問われている」
先月には、クルド人が多数を占める都市としてはトルコ最大のディヤルバクルの共同市長らがテロ捜査を名目に拘束されている。
取り締まり
これまでに公務員約10万人が、クーデター未遂の黒幕といわれる米在住のイスラム指導者ギュレン師とのつながりを疑われ、解職された。
HDPは昨年初めて国会に議員を送り出した。議席数は59で、国内3番目の党となっている。
デミルタシュ氏は、与党が国家主義者による攻撃を組織的に行っていると非難している。
トルコの政治家は通常、訴追から守られているが、HDP議員の免責特権は今年になって撤廃された。
(英語記事 Turkey HDP: Blast after pro-Kurdish leaders Demirtas and Yuksekdag detained)