映画『アイアムアヒーロー』観まして。
「あ〜、こりゃ面白かったな〜」と思ってなんとなく「アイアムアヒーロー」で検索かけたらハラワタ煮えくり返った。
・「ZQN(ゾンビ)がなぜ生まれたのか説明がない ☆3」
うるせぇよ。ゾンビ映画に細けえことぁいらねぇんだよ。怖いバケモンが突然現れて、人が襲われ、殺され、逃げ惑う、そのサマをポップコーン片手にワーキャー言いながらみるもんなんだよ。仮にそれ知ってお前どうすんだよ。じゃあお前はテトリスやってて「なぜブロックを積み上げては消さなければならないのか、その説明がない」とか言うのか?言えよ?絶対に言えよ?
・「もっと男女の恋愛を絡めていたらよかった ☆3」
てめぇはAV観て「男女の関係性がよくわからない。簡単に身体を許しすぎ。もっと女性支店での心情の移り変わりが描けていればよかった。」とか言うのか?ケースバイケースってもんがあるだろうが。この映画に限っては余計な恋愛描写をなくしたからこそ疾走感のある映画に仕上がったんだろうが。てめぇは甘〜い性活シリーズでも観てろ。
・「ゾンビを鉄砲で撃つだけの映画 ☆2」
あ?うだつの上がらなかった英雄が極限状態に巻き込まれ、日常生活では何の役にも立たない銃を偶然持っていたことで自分の中の変えたい、変わりたいという想いがやっと形になったことの現れとしてのあの終盤の銃撃シーンだろうが。物語内でギリギリまで、そう最後の最後まで銃を使わなかったことで募るこっち側の「早く使えよ!」「いや!使わんのかい!」「先に使われとるやんけ!」っていうイライラがあそこで一気に吹き飛ぶんじゃねぇか。何言ってんだこいつ。
てめぇらは今までなに観てたんだよ。ほんとにアイアムアヒーロー観たのか?
そもそも俺は映画観て☆とか点数で評価するやつが親の仇よりも嫌いじゃボケカス。
このアイアムアヒーローはな、突如ゾンビ化した人間たちが次々と他の人間たちを襲い、襲われた人間たちがゾンビとなり、そしてまた他の人間たちを襲うという連鎖を描いたパニック映画で、ゾンビ(ZQN)のキモさ、恐ろしさを際限なく表現し、極限状態で生き残った人間たちの思惑、裏切り、随所に挟まれる緩和剤の役割を担うギャグ、それらがノンストップで絶え間なく俺たちの目に飛び込んできて一瞬たりとも目を離すことのできない疾走感、わけもわからぬまま生きるか死ぬかのサバイバルに巻き込まれるという日常から非日常に突然落とされる絶望感、その最中で主人公・鈴木英雄の葛藤、そして成長が描かれるからこそ、あのラストシーンでの英雄のセリフに極上のカタルシスを感じられる。さらに、主演の大泉洋さんの持ち味である、静と動、緊張と緩和の演技、ヒロイン役である有村架純さんの天真爛漫で瑞々しい演技、長澤まさみさんの凛とした表情の中に見せる暖かさ、強さ、しかし女性としての弱さ、脆さも垣間見える演技。この三人でなければそもそもこの映画は成立しなかったと言ってもいい。これらの要素が絶妙な塩梅で合わさって、観るものを最後の最後まで飽きさせることなく楽しませてくれる、まるで目を覚ましたら裸でジェットコースターに乗っていたかのような至極のパニック映画なんだよ。
評価:傑作が多いと言われてる2016年邦画の中でも屈指の出来だと感じた。1点、もっと登場人物一人ひとりの人物描写がしっかり描かれていると尚良かった。
★★★★☆ 4.0
89点