パク大統領 国民に謝罪し検察捜査の受け入れ表明

パク大統領 国民に謝罪し検察捜査の受け入れ表明
韓国のパク・クネ(朴槿恵)大統領は、知人の女性実業家が職権乱用の共犯などの疑いで逮捕されたことを受けて、4日、改めて国民に謝罪したうえで、現職の大統領として初めて検察の捜査に応じる考えを明らかにしましたが、最大野党は批判の手を緩めておらず、事態が収束に向かうかどうかは不透明なままです。
韓国のパク・クネ大統領の40年来の知人で女性実業家のチェ・スンシル(崔順実)容疑者は、大統領の最側近の一人、アン・ジョンボム(安鍾範)前首席秘書官と共謀して企業に圧力をかけ、2つの財団に資金を拠出させた職権乱用の共犯の疑いと、財団の資金、日本円でおよそ6300万円をだまし取ろうとした詐欺未遂の疑いで3日夜遅く、検察に逮捕されました。

これを受けてパク大統領は4日午前、国民に向けた談話を発表し、「国民を失望させたことを、もう一度、心からおわびする」と述べて改めて謝罪したうえで、「必要ならば、私も検察の調べに誠実に臨む覚悟だ」として、現職の大統領として初めて検察の捜査に応じる考えを明らかにしました。今後の国政については、安全保障や経済の厳しさを挙げ、「国政は一刻も中断されてはならない」として退陣は否定し、与野党に政権運営への協力を呼びかけました。

これに対し、最大野党「共に民主党」のチュ・ミエ(秋美愛)代表は声明を発表し、「大統領の状況認識は絶望的だ。謝罪は個人的な反省文にすぎなかった」と厳しく批判して、国政運営から手を引くよう求めました。一方、第2野党「国民の党」は、「大統領の謝罪と検察の捜査受け入れの表明は遅かったが、肯定的に評価する」という声明を発表しました。

大統領府の関係者は、「今後、パク大統領は与野党の指導部と会い、野党に近い新たな首相に権限の一部を委ねることを説明して理解を得る努力をするだろう」と話しています。

ただ、世論調査機関の「韓国ギャラップ」は4日、パク大統領の支持率が5%にまで下がったと発表しました。これは、韓国の民主化以降、大統領の支持率としては最も低いということで、4日の談話を契機に、パク大統領と、国会で多数を占める野党側との話し合いが進み、事態が収束に向かうかどうかは不透明なままです。

韓国メディアの反応は

パク大統領が発表した国民向けの談話について、韓国メディアは、大統領が改めて謝罪したものの、今後いかにして事態を収束させるのか説明が不十分だったと伝えています。

このうち、公共放送のKBSは、臨時のニュース枠を設けて、談話の発表の様子を生中継で放送しました。この中でキャスターが「今後の国政運営をどのように進めるか言及があると思ったが予想と違った」と述べたほか、出演した専門家も「深く謝罪したように感じたが、次に何をするかという内容が足りなかった。与野党の対立をどのように解消するかや、新たに指名した首相の役割について言及がなかった」と指摘しました。

また、通信社の連合ニュースは、「大統領はまたしても、記者からの質問を受け付けなかった」と話す市民の声を紹介したほか、有力紙「朝鮮日報」の電子版は「パク大統領は談話の発表を終えたあと、わざわざ記者に近づいて、『ご心配をおかけして本当に申し訳ない気持ちだ』と述べたが、前回の謝罪が不十分だったという指摘を意識したのではないか」と伝えています。