真面目な人ほど無理をしてしまう傾向にあるそう。周囲が早めに気付き、話を聞いてあげることが必要だ 写真:foly / PIXTA(ピクスタ)

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労働環境の改善が叫ばれる昨今だが、残念ながらビジネスパーソンの過労やうつは無くなってはいない。最近では「SNSに過労やうつの兆候が出ていた」ということもあるので、自らはもちろんだが、友人知人の“サイン”をしっかりキャッチしたいもの。では、具体的にどういった内容の投稿が過労やうつの兆候と捉えられるのか? 新潟青陵大学大学院教授(社会心理学)の碓井真史さんに、「こんな投稿をしていたら過労やうつの疑いあり」という“危険なSNS投稿”を聞いた。

●過労やうつの疑いがある“危険なSNS投稿”チェックリスト

□1)深夜・早朝の投稿
□2)他者に対する攻撃的な投稿
□3)原因が不明な体調不良の投稿
□4)「遠くに行きたい」「旅に出たい」などの投稿
□5)死に対する哲学的な問いをする投稿
□6)自己否定をする投稿
□7)これまでの趣味などに関する無関心を示す投稿

項目のような投稿の傾向がひとつでも出始めると、過労やうつの兆候を示すサインとなっている可能性があるとのこと。碓井さんにそれぞれどのような理由があるのか解説してもらった。

1)深夜・早朝の投稿
「過労の場合、仕事中は他のことをする余裕が持てないので、投稿が勤務後の深夜や出社前の早朝に偏る傾向があります。また、『眠れない』などの内容の投稿が深夜や早朝に多い場合、不眠や早朝覚醒などの睡眠障害の可能性があります。うつ病の人は、睡眠の問題を抱えていることが多いです」

2)他者に対する攻撃的な投稿
「うつの症状として、気分の落ち込みだけでなく、イライラしたり怒りっぽくなったりすることが挙げられます。そのような内容の投稿をするようになった人には注意が必要です」

3)原因が不明な体調不良の投稿
「食欲減退、体重減少、だるさ、頭痛などの原因がわからない体調不良は危険なサインです。過労やうつの症状は、最初に身体症状として表れます」

4)「遠くに行きたい」「旅に出たい」などの投稿
5)死に対する哲学的な問いをする投稿
「4は『現状から逃げたい』意思の表れ、5は健康時なら頭に浮かばない『死』について考えるほど追いつめられている可能性があります。どちらも自殺のサインとして気をつける必要があります」

6)自己否定をする投稿
7)これまでの趣味などに対する無関心を示す投稿
「6のように『自分は要らない人間だ』など、自分を否定する内容を書くことや、7のような、以前は好きだったものや趣味に無関心になることは、どれもうつの症状といえます」

自分の投稿にも思い当たる節がある人は要注意だが、知人のこのような投稿を見かけたとき、最悪の事態を防ぐためには何をしてあげたらよいのだろうか?

「無視せず、『どうしたの? 話を聞こうか?』など、ちょっとおせっかいすぎると思っても、自分から関心を示してあげましょう。『大丈夫?』と聞くだけでは、『大丈夫』という返答になるだけであまり意味がありません。そこから一歩踏み込んで、相手が『大丈夫』と言っても積極的に話を聞いてあげましょう」

うつの抑うつ感はなかなか自覚できないものなので、心身の体調不良を感じながらも、無理をしてしまいがちだという。友人の「サイン」を見逃さないよう、しっかり心に留めて欲しい。

(村山 伸/H14)
(R25編集部)

※コラムの内容は、R25から一部抜粋したものです
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