理由2:他の追随を許さない圧倒的なたれ込み数
文春には毎日のように内部リーク、いわゆる「たれ込み」情報がもたらされています。今週号の3大スクープにしても、甘利明大臣の件とベッキーさんの件は間違いなく「たれ込み」情報です。
これには二つの理由があるようです。
ひとつは情報に対するマージン、たれ込み料が他誌に比べて割高であることがあります。
文春はその豊富な資金力によって他誌に比べて情報提供に対する返礼が割高なのであります、もちろん情報の希少性や時事性などでマージンは時価なのですが、独占スクープの場合などでは高額の情報料が支払われることは業界では知れ渡っています。
そして文春に他の追随を許さない圧倒的なたれ込み数があるもうひとつの理由はその影響力にあります。たれ込む側からしてみれば、もし一誌に独占スクープさせるとしたら、間違いなく影響力のある発行部数一位の週刊文春を選択することでしょう。
単に金銭ではなく少なからずの「たれ込み」情報は、その伏せられた事実を世に知らしめることでターゲットの人物にダメージを与えることを目的にしていることが多いからです。
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理由3:記者クラブに加盟してない出版系の強み
そして週刊文春の最大の強みは、なんといっても日本記者クラブに加盟していないことにあります。
今回の甘利明大臣賄賂疑惑の実名告発スクープ記事も、間違っても新聞社系の週刊朝日やサンデー毎日には掲載されることは不可能だったでしょう。
もう一度週刊誌の発行部数ランキングを確認しておきましょう。
■一般週刊誌発行部数 日本雑誌協会
ご覧の通り、週刊文春(文藝春秋)、週刊新潮(新潮社)、週刊現代(講談社)、週刊ポスト(小学館)、週刊大衆(双葉社)、週刊実話(日本ジャーナル出版)、週刊プレイボーイ(集英社)、週刊アサヒ芸能(徳間書店)と、ベスト8までがすべて出版社系週刊誌で占められています。
文春だけではないですが、彼らはすべて日本記者クラブには加盟していません。より正確に言えば、加盟したくても、朝日新聞に代表される既存マスメディアから加入を拒否されているのです。
従って、週刊文春に代表される出版系週刊誌は、権力に迎合することなく政治家のスキャンダルをすっぱ抜くことに、なんの躊躇もなく、実践していくことができます。
特に週刊文春の発行元の文藝春秋は、その長い歴史の中で、保守系ではありながら、ときの権力者に対して絶えず厳しく対峙することをモットーとしてきております。
1974年10月9日に発売された雑誌『文藝春秋』11月号で田中角栄に関する特集が組まれました。立花隆の「田中角栄研究―その金脈と人脈」は1969年から1970年にかけて田中ファミリー企業群が信濃川河川敷における約4億円で買収した土地が直後に建設省の工事によって時価数百億円となった信濃川河川敷問題等の資産形成を暴きます。
やがてロッキード事件として田中逮捕へとつながるこの歴史的スクープも文藝春秋がもたらしたのでした。
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今回は、独自スクープ連発&独り勝ち状態、まさに『文春無双』状態の理由について、当ブログなりに掘り下げてみました。本エントリーが読者の参考になれば幸いです。