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【東京】

「五日市憲法草案」知って あきる野市中央図書館で特別展

特別展の会場で、五日市憲法草案の原本を説明する松島満館長=あきる野市で

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 明治時代初期に自由民権運動が広がる中、あきる野市五日市地域でつくられた「五日市憲法草案」の意義を伝える特別展が二十九日、市中央図書館(秋川一)で始まった。国民の権利を重視し、当時としては画期的と評価される原本の一部など約二十点を展示。特色や成り立ち、起草に向けた若者らの情熱をパネルで紹介する。十一月六日まで。 (村松権主麿)

 草案は一九六八年、東京経済大学のゼミが旧五日市町の旧家・深沢家を調査し、発見した。二百四条からなり、基本的人権の尊重、法の下の平等、言論の自由などが盛り込まれている。完成したとされる一八八一(明治十四)年ごろは、全国の民権派結社が国会開設と憲法制定を政府に強く求め、憲法私案が各地で作られた。

 都指定有形文化財(古文書)になっている原本は二十四枚あり、同図書館の書庫に保管されている。その一部などを展示する特別展は毎年この時期に開かれ、九回目の今回は「五日市憲法草案と起草の息吹」がテーマ。国民の権利を手厚く規定する条文などが書かれた原本八枚が並ぶ。

 他にも、地域の若者らがコメの輸出の問題点や死刑廃止の是非などを議論したことを示す文書や、民権家と交わした書簡、参考とした他の憲法草案、勉強に使われた書籍のリストなどを展示。起草した五日市町勧能学校(現・市立五日市小学校)教員の千葉卓三郎の肖像写真と、医学、浄土真宗、ギリシャ正教などを学び、一八八三年に三十一歳で死去するまでの略歴も紹介する。

 市図書館の松島満館長は「五日市憲法草案の先進性は現行憲法に通じる。起草される過程で、地域の若者らが先進の書物を読んで勉強し、他の結社などとも交流して切磋琢磨(せっさたくま)した情熱を感じてほしい」と話している。

 午前十〜午後五時で入場無料。十一月四日は休館。三、五日の午前十一時と午後二時から、企画した職員が展示内容を説明する。問い合わせは中央図書館=電042(558)1108=へ。

 

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