【北京=山田周平】中国政府は3日、新型の大型ロケット「長征5号」を文昌航空宇宙発射場(海南省)から初めて打ち上げ、予定の軌道に乗せることに成功した。長征5号は胴体を太くし、中国の既存ロケットの2.5倍の打ち上げ能力を持たせた。2020年ごろの運用開始を目指す中国独自の宇宙ステーション建設などで主力の運搬手段とする意向だ。
長征5号は3日午後8時43分(日本時間同9時43分)ごろ、同発射場から打ち上げられた。国営中央テレビによると、約40分後に予定の軌道に乗ったことが確認された。
長征5号は胴体が直径5メートルと従来の長征ロケットの1.5倍の太さがある。燃料を大量に搭載でき、低周回軌道に最大25トンと従来の2.5倍の宇宙機器を投入できる。世界各国のロケットと比べてもトップ級の能力だ。
今年6月に本格稼働した文昌航空宇宙発射場は中国南部の島、海南島に位置し、ロケットなどを工場から海上輸送できる。内陸にある既存3カ所の打ち上げ基地はロケットを鉄道で運ぶため、胴体の直径が3.35メートル程度に制限されていた。