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退役士官1万人が連携、北京に集結して抗議デモ

地方政府の怠慢に不満、監視かい潜る動員が当局揺らす

2016年11月4日(金)

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(写真:AP/アフロ)

 “八一大楼”は北京市“海淀区”の“復興路”に所在する。北京市の中心にある“天安門”の前を走る“長安街”を西へ進むと“復興門”に至り、その先の道路は“復興路”と名称を変えるが、しばらく進むと右手に“中国人民革命軍事博物館”(以下「軍事博物館」)が見えてくる。その軍事博物館の一つ手前、即ち軍事博物館の右隣に威風堂々とそびえ立つのが地下2階、地上12階の八一大楼である。

 8月1日は中国共産党の軍隊、“中国人民解放軍”(以下「人民解放軍」)の“建軍節(建軍記念日)”である。これは、1927年8月1日に“周恩来”、“朱徳”、“賀龍”などが率いる中国共産党の北伐軍が、江西省“南昌市”を守備する国民党軍に対し武装蜂起して大勝利を収めたことに由来するもので、一般には8月1日を略して“八一建軍節”と呼ばれている。

 八一大楼も8月1日の建軍節にちなんで命名されたもので、中国共産党の最高軍事機関である“党中央軍事委員会”の執務ビルとして建設されたが、実際には当初の目的には使われず、現在では人民解放軍最高指導部が日常の執務を行うほか、重要な軍事会議の開催や軍事関係の外国賓客の接待や外交儀礼の場所として使われている。このため、八一大楼は「人民解放軍の“人民大会堂(国会議事堂)”」とも呼ばれている。また、八一大楼の南側(復興路側)にある“八一広場”では人民解放軍の閲兵式が挙行される。要するに、八一大楼は人民解放軍の中枢が所在する象徴的なビルなのである。

「人民解放軍の中枢」を包囲

 2016年10月11日の朝早くから、八一大楼は続々と到着する緑色の迷彩服を着た軍人たちによって包囲された。目撃者によれば、軍人たちは1万人以上で、彼らの隊列は延々2kmも連なり、周辺一帯は迷彩服の軍人たちによって埋め尽くされたという。彼らは“団結就是力量(団結こそが力だ)”、“打靶帰来(射撃練習して兵舎へ帰る)”などの軍歌を高らかに歌い、「職の安定と生活保障を」などと書かれた横断幕を掲げていたが、横断幕の中には「党中央を支持する」、「習主席を支持する」などという標語も見受けられた。

 これらの軍人たちの大部分は2000年以前に退役した士官であり、過去10年以上にわたって各地方政府から何ら生活保障や就職斡旋を受けることなく放置され、自力で生計を立てることを余儀なくされたのだった。彼らが軍隊時代に身に付けたのは「敵を殺す」技であり、退役して故郷へ帰っても一般社会で役立つ専門技術を何一つ持たず、社会に適用するのが非常に難しく、本来なら生活保障や就職斡旋を行ってくれるはずの地方政府から放置されたことから窮地に追いやられ、生活に困窮しているのだ。

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「退役士官1万人が連携、北京に集結して抗議デモ」の著者

北村 豊

北村 豊(きたむら・ゆたか)

中国鑑測家

住友商事入社後アブダビ、ドバイ、北京、広州の駐在を経て、住友商事総合研究所で中国専任シニアアナリストとして活躍。2012年に住友商事を退職後、2013年からフリーランサーの中国研究者として中国鑑測家を名乗る。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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