「パリ協定」きょう採決なら承認の見通し
地球温暖化対策を進める国際的な枠組み、「パリ協定」の締結に必要な議案は4日、衆議院本会議で採決が行われれば、承認される見通しで、日本は今月開かれる第1回の締約国会合には、オブザーバーとしての参加となりますが、今後の交渉では、中心的な役割を担いたいとしています。
パリ協定は地球温暖化対策を進めるため、2020年以降の温室効果ガス排出量の削減に努めるよう定めた国際的な枠組みで、日本が協定を締結するために必要な議案は先週、参議院を通過して衆議院に送られ、2日、衆議院外務委員会で全会一致で可決されました。
そして、4日午後、予定どおり衆議院本会議が開かれ、採決が行われれば、承認される見通しです。
パリ協定は主な排出国のアメリカや中国、インドなどがすでに締結しており、発効に必要な条件を満たしていることから、日本時間の4日午後1時に発効します。
そして、今月、モロッコで、第1回の締約国会合が開かれますが、日本は締結の手続きが期限に間に合わなかったため、オブザーバーとしての参加となります。
政府は国会で承認が得られたあと、速やかに手続きを行って、協定を締結する方針で、今後、締約国会合での交渉に加わり、詳しいルール作りで中心的な役割を担いたいとしています。
そして、4日午後、予定どおり衆議院本会議が開かれ、採決が行われれば、承認される見通しです。
パリ協定は主な排出国のアメリカや中国、インドなどがすでに締結しており、発効に必要な条件を満たしていることから、日本時間の4日午後1時に発効します。
そして、今月、モロッコで、第1回の締約国会合が開かれますが、日本は締結の手続きが期限に間に合わなかったため、オブザーバーとしての参加となります。
政府は国会で承認が得られたあと、速やかに手続きを行って、協定を締結する方針で、今後、締約国会合での交渉に加わり、詳しいルール作りで中心的な役割を担いたいとしています。
パリ協定 途上国にも削減義務づける
パリ協定は去年12月にフランスのパリで開かれた国際会議、COP21で採択された、2020年以降の地球温暖化対策についての国際的な新しい枠組みです。
先進国だけに温室効果ガスの排出の削減を義務づけた「京都議定書」とは異なり、発展途上国を含む、すべての国が温室効果ガスの削減に取り組むことを定めていて、各国が5年ごとに削減目標を国連に提出し、対策を進めることが義務づけられています。
そして、世界の平均気温の上昇を産業革命前に比べ、2度未満からできるだけ1.5度までに抑えるよう努力するとし、そのために世界全体の温室効果ガスの排出量を今世紀後半に実質的にゼロにするとしています。
このパリ協定に実効性を持たせるための具体的なルール作りに向けた議論は、今月7日から北アフリカのモロッコで開かれる「COP22」で行われます。
先進国だけに温室効果ガスの排出の削減を義務づけた「京都議定書」とは異なり、発展途上国を含む、すべての国が温室効果ガスの削減に取り組むことを定めていて、各国が5年ごとに削減目標を国連に提出し、対策を進めることが義務づけられています。
そして、世界の平均気温の上昇を産業革命前に比べ、2度未満からできるだけ1.5度までに抑えるよう努力するとし、そのために世界全体の温室効果ガスの排出量を今世紀後半に実質的にゼロにするとしています。
このパリ協定に実効性を持たせるための具体的なルール作りに向けた議論は、今月7日から北アフリカのモロッコで開かれる「COP22」で行われます。
日本に求められる対策は
パリ協定が発効し、法的な拘束力が生じることで、各国は国連に提出した2020年以降の温室効果ガスの削減目標の達成に向けた対策を義務づけられることになります。
日本政府は2030年に2013年と比べて、温室効果ガスの排出を26%削減する目標で、ことし5月に目標達成への計画を盛り込んだ「地球温暖化対策計画」を閣議決定しています。
この計画では会社や学校などの業務分野が39.7%、家庭分野が39.3%、発電などエネルギー分野が27.7%と、大幅な削減を求めています。
家庭分野では、2030年までに照明をすべてLEDに取り替えること、家庭用燃料電池を530万台導入すること、既存の住宅の窓などの改修を進めて断熱性を高めること、新築住宅の省エネ基準の義務化、それにエネルギーの使用状況を表示して適切な状態に管理するシステムを、ほぼすべての住宅に普及させるなどとしています。
運輸部門でも新車販売に占める電気自動車などの割合を50%から70%にまで拡大させるなど、生活や消費を大きく変えることを求めています。
さらにパリ協定では、今世紀後半に実質的な排出をゼロにするという長期目標に向けて、削減目標を5年ごとに更新し、さらなる削減を行うことや、長期的な戦略を策定することを定めています。
このため、日本政府は4年後の2020年までに現在の削減目標に替わる新たな目標の提出や、長期的な戦略の策定を行うことが求められ、関係各省での議論や調整などの対応が必要となります。
しかし、現在示している削減目標を達成することは、そう簡単ではありません。
家庭分野では核家族化による世帯数の増加や、電化製品の普及などから電力の消費が増える傾向にあり、排出の削減が思うように進んでいません。
また、エネルギー分野では2030年度の時点で電力需要を賄う電源の割合について、再生可能エネルギーを「22%から24%」、原発を「20%から22%」としたうえで、排出が多い石炭などの火力発電の割合を下げることを目指しています。
しかし、ことし4月に始まった電力自由化による価格競争などの影響で、比較的コストが安い石炭火力発電所を建設する計画が各地で相次いでいるため、こうした割合を達成できるかは不透明です。
アメリカや中国、インドなどの主要排出国に比べ、協定の締結が大きく遅れたことで国際交渉での発言力の低下が懸念される中、日本は当面の目標をまずは着実に達成することが求められています。
日本政府は2030年に2013年と比べて、温室効果ガスの排出を26%削減する目標で、ことし5月に目標達成への計画を盛り込んだ「地球温暖化対策計画」を閣議決定しています。
この計画では会社や学校などの業務分野が39.7%、家庭分野が39.3%、発電などエネルギー分野が27.7%と、大幅な削減を求めています。
家庭分野では、2030年までに照明をすべてLEDに取り替えること、家庭用燃料電池を530万台導入すること、既存の住宅の窓などの改修を進めて断熱性を高めること、新築住宅の省エネ基準の義務化、それにエネルギーの使用状況を表示して適切な状態に管理するシステムを、ほぼすべての住宅に普及させるなどとしています。
運輸部門でも新車販売に占める電気自動車などの割合を50%から70%にまで拡大させるなど、生活や消費を大きく変えることを求めています。
さらにパリ協定では、今世紀後半に実質的な排出をゼロにするという長期目標に向けて、削減目標を5年ごとに更新し、さらなる削減を行うことや、長期的な戦略を策定することを定めています。
このため、日本政府は4年後の2020年までに現在の削減目標に替わる新たな目標の提出や、長期的な戦略の策定を行うことが求められ、関係各省での議論や調整などの対応が必要となります。
しかし、現在示している削減目標を達成することは、そう簡単ではありません。
家庭分野では核家族化による世帯数の増加や、電化製品の普及などから電力の消費が増える傾向にあり、排出の削減が思うように進んでいません。
また、エネルギー分野では2030年度の時点で電力需要を賄う電源の割合について、再生可能エネルギーを「22%から24%」、原発を「20%から22%」としたうえで、排出が多い石炭などの火力発電の割合を下げることを目指しています。
しかし、ことし4月に始まった電力自由化による価格競争などの影響で、比較的コストが安い石炭火力発電所を建設する計画が各地で相次いでいるため、こうした割合を達成できるかは不透明です。
アメリカや中国、インドなどの主要排出国に比べ、協定の締結が大きく遅れたことで国際交渉での発言力の低下が懸念される中、日本は当面の目標をまずは着実に達成することが求められています。
専門家「家庭や企業などは着実に対策の実施を」
パリ協定が発効することを受けて、温暖化対策の国際交渉が専門で名古屋大学大学院の高村ゆかり教授は「日本が目標としている温室効果ガスの排出を26%削減するうえで、いちばん大きな懸念材料は、石炭火力発電所の問題だと思っている。政府は2030年に全電力のうち、石炭火力発電が占める割合を26%程度にするとしているが、現在はそれを大きく超える建設計画があり、これをきちんと抑制するなどコントロールできないと目標の達成は難しくなる」と話しています。
そのうえで「家庭や市民、消費者はことし4月の電力自由化を受けて、二酸化炭素を排出しない電気を選ぶことが大事になる。また、最近は二酸化炭素を排出しない住宅や効率のよい家電なども販売されていて、そうした住宅や機器を選ぶことも大きな貢献になると思う」と述べ、日本でも家庭や企業などが対策を着実に実施することが重要だと指摘しています。
そのうえで「家庭や市民、消費者はことし4月の電力自由化を受けて、二酸化炭素を排出しない電気を選ぶことが大事になる。また、最近は二酸化炭素を排出しない住宅や効率のよい家電なども販売されていて、そうした住宅や機器を選ぶことも大きな貢献になると思う」と述べ、日本でも家庭や企業などが対策を着実に実施することが重要だと指摘しています。