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2016年8月31日 (水)

子どもの「いじめ」に思う~青森・女子生徒の遺書

今朝の朝日新聞の「天声人語」を読んで、改めてイジメについて考えた。
「(天声人語)スマホに残された言葉
 その文を打ち込んだとき、どんな絶望が彼女を覆っていたのか。青森市で先週、電車にはねられて亡くなった中学2年の女子生徒のスマホには「ストレスでもう生きていけそうにないです」との言葉があった。中学校でいじめを受けていたという▼「みんなに迷惑かけるし、悲しむ人も居ないかもしれないくらい生きる価値本当にないし、綺麗(きれい)な死に方すらできないけど、楽しい時もありました。本当に13年間ありがとうございました」。つらいが、あえて引用した▼青森県では19日にも中学1年の男子生徒がいじめを訴えるメモを残し、自ら命を絶った。あってはならないことが続いてしまった。18歳以下の子どもの自殺は長期の休み明けの前後に多く、とりわけ9月1日に集中している。見えない重荷を背負った子がいないか、心を配りたい▼「状況は厳しいかもしれない。でも、永遠には続かない」。作家の石田衣良(いら)さんが2006年の本紙に寄せた訴えを読み返したい。「死んだふりをして、苦しい時間を生きのびてください。そして、いつか笑いながら光のなかを歩いてください」▼つらい「いま」は、いつまでも続かない。同時に、「ここ」にも縛られなくていい。図書館、フリースクール……。いまある関係から離れることのできる場所はある▼学校になんて通わなくていい。そう言うのは簡単だが、子どもにとっては大変な勇気がいるかもしれない。見守る、耳を傾ける。発信されないままの言葉を少しでもすくえれば。」
(2016/08/31付「朝日新聞」「天声人語」より)

父親が公開したというスマホに残された遺書について、記事をググったら、こんな記事があった。そして「日テレNEWS24」(ここ)でも詳細に報道されていた。

「「いじめ、しないで」…遺族が中2生徒の遺書公開 複数生徒の実名も
 青森市立浪岡中2年の女子生徒(13)が列車にはねられ死亡した問題で、遺族が29日、生徒の遺書の一部を公開した。「もう生きていけそうにないです。いじめてきたやつら、自分でわかると思います。二度としないでください」といじめ被害を訴えている。いじめたとする複数の生徒の名前もあった。 
160831isyo  遺書はスマートフォンに保存されていた。家族への感謝を記した上で「生きる価値ない。本当に13年間ありがとうございました」などと書き残した。 
 同級生の話では、生徒は中学1年のころから教室にいる時や体育の授業中に、無視されたり暴言を吐かれたりしていた。1年の3学期ごろからは、週に数回しか学校に来なくなった。 生徒の父親らは29日、いじめの有無などを調査するよう学校に要請した。学校側は市教育委員会と連携して調査する。 
 生徒は1年の1学期に学年生徒会の会長を務めた。入学当初はバレーボール部で、途中で美術工芸部に移ったという。津軽民謡に合わせて踊る「手踊り」の学外チームにも所属していた。
 生徒は新学期の始業式翌日の8月25日午前、青森県藤崎町のJR北常盤駅で列車にはねられ、死亡した。ホームから飛び込んだとみられる。
 学校は29日、全校集会で生徒の死亡を報告し、1分間黙とうした。」(
こ2016/08/29付「産経ニュース」ここより)

そしてその遺書とは・・・
「遺書
突然でごめんなさい。ストレスでもう生きていけそうにないです。
●が弱いのは自分自身でも分かってるし、●が悪い所もあったのは知ってるけど、流石にもう耐えられません。東京いって全国でまた皆で優勝したかったけど、行けなくてごめんなさい、だから7人で、優勝してください。●も頑張ってね。
学校生活も散々だし、それでストレスたまって起立性なったのに、仮病とかいう人が沢山いて、説明しても、あまり信じてくれなかった。
 1、2年の時で●の噂流したりそれを信じたりいじめてきたやつら、自分でわかると思います。もう、二度といじめたりしないでください。
 (伏せ字)
家族へ。先立つ不幸を許してください。もう無理です。特別虐待があったわけでもないし、不自由な事はありませんでした。でも、何でかストレスが溜まっていくんです。家では一人の時間が1番落ち着きました。ここまで育ててくれたお母さんとお父さん、喧嘩もしたけど仲良くしてくれた●、電車事故ってお金かかるかもしれないから、ごめんなさい。今までありがとうございました

●はすぐ拗ねるし、うるさくて●が大好きで、めんどくさくなったりしました。でも、いじめられた時一緒にいてくれて。噂流された時もずっと味方でいてくれてありがとう。一人称、●に治るといいね。

●は最近なかよくなったね。小学校の時から一緒だったけど、こんなに話すようになると思わなかった。●が●の1番の相談相手になれてよかった。うつ病なおしてね。●の分まで頑張っていきて。

●、●の相談のってくれたり、たくさん笑わせたり遊んでくれたり、本当にありがとう。とても大好きです。
手踊りの人たちへ
●の所の穴を開けてごめんなさい。手踊りは楽しかったし、●とか●とかチビ達も仲良くしてくれてすごく嬉しかった。●、●、・・・さん達、先生、親の人たち、本当にありがとうございました。
学校の先生達、
沢山迷惑掛けてごめんなさい。●先生、1年の時はおせわになりました。●先生、たくさん相談乗ってくれてありがとうございました。●先生、●先生、●先生もたくさん迷惑かけたし、見ないふりしないで味方してくれて本当にありがとうございました。
●のお葬式では、来たい人をちゃんとよんであげてください。いないかも知れないけど、●と手踊りの子達には何とか来て欲しいです。
文章めちゃくちゃでごめんなさい。
みんなに迷惑かけるし、悲しむ人も居ないかもしれないくらい生きる価値本当にないし、綺麗な死に方すらできないけど、楽しい時もありました。本当に13年間ありがとうございました。いつか、来世ででも●が幸せな生活をおくれる人になれるまで、さようなら。
また、会おうね。
 2016年8月25日木曜日(am8:34)」(
原文のまま。●部分は黒塗り)

写真の通り、「もう、二度といじめたりしないでください。」の後に続く11行は伏せ字になっている。たぶんイジメに関する具体的な記述なのだろう。一般公開は無理としても、これから調査をするという学校側には、伏せ字のない原文が提示されているはず・・・。
「イジメは無かった」というのが、学校側の調査結果の定番だが、今回ばかりは、そのゴマカシは効かない。

そして、この1時間半後に、亡くなったという。
遺書を公開した父親は、こう語っていた。
「つらい悲しいというのは当然なんですけれども、二度とこういういじめを繰り返してほしくないっていう、娘の願いですね。少しでもかなえてあげたくて。本当に道具も何も使わないで人を殺せるという“言葉”。どれだけ怖ろしいか、本当に気づいてほしいです。」

遺書と言えば、マラソンの円谷幸吉の遺書を思い出した(ここ)。
死に逝く人の言葉は、なぜか似ている。

自分は、“いじめ”とか“いじわる”という言葉が大キライ。先日も、テレビドラマで、見ようかなと思って見始めたが、イジワルがの場面が出て来たので、見るのを止めてしまった。陰鬱なイジメやイジワルは、テレビドラマでもイヤ。

子どもがイジワルに遭った場合、親としては何が出来るのだろう?
思い出すと、我が家でもイジメの事件はあった。長男が中学3年の時、友だちから金をゆすられていることを知った。即、学校に相談し、相手の父親に直接電話して、中学の校長室で会った。相手の友人が言うには、「賭けで40万円勝ったので払え」。父親は、郵便配達の仕事をしており、母親はいなかった。学校は、席を用意しただけで、話し合いには参加しなかった。長男がそれまで幾ら払ったかは分からなかった。しかしケジメとして、なにがしかのお金を弁償して貰い、手打ちとした。
長男はそれ以外にも、色々な事件があったが、学校に行かない、ということは無かった。
一方、次男は、近くに住む同じ塾の友だちを、バスの中でポカン! 相手の子は泣き出したという。後から、両方の母親が仲直りさせたが、自分はそんな話を聞いて、ウチの次男は、いじめられる方ではなく、いじめる方かと、安心した!?

子どもが小学校低学年の頃、前に住んでいた団地で、隣の家のお母さんと子どもだけが引っ越した、という話を聞いた。後で聞くと、子どもが学校でイジメに遭い、転校して母親も一緒にどこかに行ったという。詳細は分からななかった。

ウチのカミさんが後で言うに、「エライ!」
いったんイジメに遭うと、なかなか止まらない。学校に行って友だちに会うのがイヤになって、2学期が始まるこの時期、自殺という悲劇を生む。
それには「逃げる」のが最良。出来れば私学に転校するのが一番。
しかし、それは親にとって、大変な難題。特に兄弟がいる場合は、2つの家計になって、食事や家事などが大変。しかし、上の天声人語にもある通り、「つらい「いま」は、いつまでも続かない。」のである。
親が、子どものために、転居や転校まで決断出来るかというと、なかなか出来るものではない。自分も、もしそうなったとしても、到底無理だったろう。
そんなとき、祖父母の応援が得られれば、可能性は高くなる。子どもだけ、しばらく祖父母の家の近くの学校に転校・・・。

ともあれ、肝心な事は、子どもに対するイジメを、親としてキャッチできるかどうか?
ちょうど思春期。子どもとの意思疎通はなかなか難しい。
しかし、子どもを守るのは親しかいない。
我が家では、とっくに終わってしまった子育て。でも、未だに様々反省する(?)子育てではある。(あ~、終わって良かった!?)

160831otona <付録>「ボケて(bokete)」より


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