とくべつ企画「できたて原稿大会」
2016年11月3日
以前、屋上にある神社が気になると記事にしたが、その際に読者の方に情報をいただき、ずっと「行かなければ」と思っていた神社がある。なんでも、その神社は銀座にあり、ビル一部の1階・2階を吹き抜け拝殿として、屋上の本殿に通じているという変わった構造になっているという。
毎年10月下旬から11月初旬にかけ開催されている「銀座八丁神社めぐり」の時期に合わせて、行ってみることにした。
井口エリ(いぐちえり)
1986年生。大人げない大人を目指し、日夜くだらないことを考えています。ちぷたそ名義でも活動しています。歩行者天国の銀座
というわけで文化の日真っただ中の、休日の銀座にやってきました。普段はあまり来ない、休日の銀座の人の多さに圧倒される。
本当にこんな場所に神社があるんですかね?
銀座の街を歩いていると「本当にこんな町中に神社が……?」と半信半疑の気持ちになってくる。
あの赤いのぼりは……
銀座駅を出て数分ほどしかたっていませんが、遠目に赤いのぼりを発見しました。
屋上にも赤いのぼりが見える
同じ建物の屋上に赤いのぼりが見える。そう、ここが目指していた「朝日稲荷神社」。
朝日稲荷神社朝日稲荷神社
朝日稲荷神社は古来からこの地に鎮座する神社だが、安政の大地震で社殿が倒壊、関東大震災で転地を余儀なくされ、その後戦災に見舞われる……などの数々のピンチに見舞われて、そのたびに復活してきた神社なのだ。商売繁盛、家内安全にご利益があるらしい。
地面につながるパイプ
今のように拝殿と本殿が分かれたのは約30年前だそう。神社は青空が無くては、と屋上に本殿を安置し、なおかつ神社は土の上に建ってなければ、ということで屋上へ通じるパイプで土につながっている。そしてつながっているだけではなく、パイプの中には土が入っているのだそうだ。先人たちの工夫、すごい。
屋上へ通じているのはここよ! と教えてくれた
屋上へ通じるマイクは一体どこに!? と思ったら、マイクは拝殿の中に設置されているのだそうだ。このマイクにより1階で参拝しても、しっかり屋上の神様に届くというのだ。
エレベーターで本殿に向かいます
では、本殿へ向かいます。本殿へは8階までエレベーターで上がり、外階段で本殿へ向かいます。
屋上に立ち並ぶ真っ赤なのぼり!
手水もある
小さいながらもしっかり手水舎もあります。
銀座の街を一望できる
屋上からは銀座の街を一望できます。赤い鳥居が景色に映えますね〜。
スピーカーはどこに?スピーカーを探してみると……
さて、下の音は一体どこから聞こえてくるのだろうか。耳を澄ませて探してみると……。
あった!
植込みの向こうにスピーカーを見つけることができた。以下、編集部の橋田さんに手伝っていただいて録音した音声データをどうぞ。
下の音が聞こえている。
編集部の橋田さんが屋上で撮ってくれた動画だ。私がぼそぼそ言ってるのが聞こえてくる。
意識してみると、屋上にいると終始下の往来の話し声や拍手の音が聞こえてきていた。ちなみに屋上で1階の音は聞こえるが、1階からは屋上の音は聞こえないようになっている。
ハイテクな神様だった
こちらは「銀座八丁神社めぐり」以外の期間も、普段から拝殿(夜間は閉まっている)も屋上の本殿も入ることができる。土地に合わせて工夫を凝らした神社をぜひ実際に見てみてほしい。
銀座の屋上の神社仏閣三越の上にも神社がある
ちなみに、朝日稲荷神社以外にも近くに屋上に神社がある場所があったので、そちらにも行ってみることにした。まずは銀座三越。
神社と地蔵尊がある。
銀座三越の屋上には三囲神社と地蔵尊がある。しかも屋上の神社には珍しくお守りを売っているほかおみくじも引くことができる。
銀座出世地蔵尊
銀座三越の上には大きなお地蔵さまがいた。出世地蔵は明治初期に掘り出されたものだそうですが、その由来には不明な点が多いとか。そして銀座八丁神社めぐりの期間、写真右側のご本尊が御開帳していました。
周囲のお地蔵さんもかわいい
銀座出世地蔵尊の縁日の賑わいは大変なもので、明治・大正・昭和初期にかけて夜店とともに銀座を代表する風俗だったのだそう。そして現在もなお人々に愛される出世地蔵尊は、明治からの面影を今に伝える貴重なものとして中央区有形民俗文化財にも指定されている。
松屋銀座
最後に訪れたのは松屋銀座。
龍光不動尊
松屋銀座の屋上にあるのは龍光不動尊。ちなみに「りゅうこう」のその名前の通り「流行」にも通じるといわれています。百貨店の屋上にぴったりなネーミング!
カルティエのビルと不動明王ののぼりが一気に見られるのは銀座だけ! たぶん。
銀座のおしゃれで最先端なビルの屋上に古風な空間が存在する……そうした新しいものと古いものが共存しているのはさすが日本という感じがした。
銀座はビル内に神社がたくさん存在するエリアだった
今回は時間的にすべて回ることは叶わなかったが、銀座の決して広くはないエリアの中には11社もの神社があるそうだ。
今回まわることができた3社も、空間をうまく活用して神社が入居していて、それを見て回るだけでもとても楽しかった。 「銀座八丁神社めぐり」のラインナップの中には普段は公開していない神社もあるので、来年こそはコンプリートを目指したいと思う。
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