あるWeb開発者が、開発のためにchromeで通信内容をキャプチャしたいと考えchrome.webRequestを使ったが、WebSocket経由の通信は得られないことを発見した。さっそくこれをバグ報告した。
その後、インターネット上でわいせつ動画を頒布する大手Webサイトとして有名なPornhubの運営会社であるMindGeek社の社員がこのバグを修正しないようコメントした。
不思議に思って調べてみると、PornhubはWebSocketを使って広告データをやり取りすることで、AdBlock系のブラウザー拡張による広告除去を回避していることが判明した。
なお、この記事を公開して程なくして、AdBlock PlusとuBlock OriginはPornhubに対するWebSocket経由の広告除去も実装した。
技術的に可能であることを示すことと、実際に労力を割いてまで実用的に実装するということの間には、大きな苦労の差があるが、そこまでするとは。
Pornhub Bypasses Ad Blockers with WebSockets | Hacker News
このことについて、Hacker Newsのコメントにコメントを寄せたある人物は、実際にポルノ業界で働いていた人間が、ポルノ業界には世界でも一流の技術者と広告人がいるそうだ。ポルノ業界では、ある技術がトラフィックを増やしたり、トラフィックの品質を上げたりする可能性がわずかでもあるならば、その技術を試みるのだという。この人物は、今は世界的な大企業で働いているそうだが、ポルノ業界に比べてなんと保守的でつまらない開発サイクルであり、技術者に裁量が与えられていないかということを嘆いている。この人物はまたあの技術的に魅力的なポルノ業界に戻りたいとは思っているが、ポルノ業界の秘密的でマフィア的な部分には嫌気が差しているとのことだ。
少し前、まだWebサイト上で動画を提供するにはほとんどがFlash Playerを使っていて、YouTubeもサムネイルを実装していなかった時代、なぜYouTubeなどの大手動画サイトはFlashを使いプレイヤー実装も貧弱なのに、ポルノサイトの提供する動画プレイヤーは、いち早くHTML5も提供し、サムネイルも提供し、動画のシークも完璧に動き(当時、YouTubeなどでは動画のシークはあまりよく動かなかった)、画質もよく、その他あらゆる点で優れているのかという疑問がネット上で話題になっていたこともあった。その時は、ポルノ業界は激しい競争に晒されているので市場の原理によりそうなるのだという回答が一番納得の行くものであった。また、ネット上でクレジットカードによる支払いにいち早く対応したのはポルノ業界であるという。
なお、chrome.webRequestがWebSocket経由の通信を補足しないという問題は、すでにパッチが書かれ、いずれ修正される見込みだそうだ。
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