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たりさんぽ

海外在住のサラリーマンの雑記

シンガポールの若者にも厳しい風は吹いている

シンガポール

こんにちは、たりです。

 

日本が若者に厳しい国という話題に対する、シンガポールのお話。

学歴重視のシンガポール

シンガポールでは学歴は、非常に重要です。小学校時点でつまずいてしまった人は、それ以降シンガポールで取り戻せないとまで言われています。ですので、みんな子供達は勉強に必死です。少しでもいい成績を取らないと大学に行くチャンスさえもらえません。

そして、待ち構える大学は、超優秀な人しか入れない、狭き門です。

www.timeshighereducation.com

アジアの大学ランキング2016では、1位、2位をシンガポールの大学で取っています。東京大学は、7位に位置しています。シンガポールの大学は、大小含めても7、8つしかありませんので、そのずば抜けっぷりがよくわかると思います。

 

日本に東大、京大しか存在していないような世界です。

 

そんな超絶優秀な大学に入れなかった学生は、海外に留学することになります。僕の感覚では、日本では優秀な人が海外留学を選択するイメージですが、シンガポールでは優秀でないから留学するという逆転現象が起きているのです。ただし、これもお金があればの話ですし、お金がなくても奨学金を借りられるほど優秀である必要があります。日本のように、とりあえず大学に行っておくという選択はできません。

 

大卒とそれ以外の職業選択肢

大学に行けなかった若者はどうするかというと、専門学校に行ったり、就職していくしかありません。大卒であれば、高度な専門職で高待遇で迎えられますが、それ以外の職業はなかなか厳しいです。高度な専門知識が不要な、タクシー運転手や清掃業、小売、飲食店の店員などになっていくようです。

そういった人生の分岐が、小学生や中学生時点の学力でほぼ決まります

(もちろん、タクシー運転手やホーカーセンターの経営など、自分の努力次第で、高給取りになっている人もいるので、一概に職業で区別することはできませんが、傾向としてはそんな感じです。)

 

外国人労働者の存在

www.telegraph.co.uk

上掲の記事のように、「外国人労働者に自分たちの仕事が奪われている!」と感じているシンガポール人もすくなくないようです。

シンガポール自身が、外国企業を誘致して、それで発展してきた国ですので、致し方ない部分もあると思うのですが、外国人労働者、および海外企業からの駐在員は、日本に限らず、あらゆる国からシンガポールに入ってきており、そういった企業が仕事を作り出している一方で、仕事を奪っているように見えます。

特にアジアの優秀な人材はシンガポールに集まります。僕が働いている会社でも、ベトナム、インドネシア、マレーシア、タイ、中国など、あらゆる国から来ている人が働いていますが、どの方も非常に優秀です。

また、シンガポール人とも一緒に働いていますが、みんなだいたい国立大学を卒業しており、超優秀です。

こんな優秀な人たちと競争して、仕事を獲得するのは至難の技だと思います。多くのシンガポールの若者はこうした競争で勝てないのです。

“Running a business is about putting the best man in the job, not fulfilling some quotas. Singapore is a great place to do business, but the people here don’t have the same level of experience in multinationals as some of the expats do. ”

(拙訳)事業を営むということは、その仕事への最高の人材を投入することであって、ただ割り当てればいいものではない。シンガポールはビジネスをする上で素晴らしい場所だが、シンガポール人は駐在員と同レベルのノウハウを持ち合わせていない。

 

親と同居が普通のライフスタイル

ただし、生活に困るレベルかというとそうではありません。シンガポール政府は、国民全ての人が家を持てるように、HDBという集合住宅を整備しており、多くの人がここに住んでいます。また、子供は大人になっても親と同居していることが多く、年収が100万であろうと、200万であろうと「住」には困らないので、どうにか生きていけるそうです。

「親と同居が嫌だ」といっても、簡単に家を借りることができないので(高いので)、同居は必須となります。

 

物価上昇

シンガポールの物価はとても高いです。海外から入って来たものは軒並み2倍の価格になっています。すき家の牛丼が1200円とか、ココイチのカレーが1500円とか。

ビールが一杯800円、レストランに行くと一人100ドル(7500円)とか普通です。

ローカルのレストランはそれなりに安く食べられますが、それでも物価上昇によって少しずつ値上げしています。

正直現地の方の給与水準も同じように上がっているのかどうかはわからないので、なんとも言えませんが、給与が上がらない人たちにとっては生きづらいと思います。

 

最後に

競争から外れてしまった人たちには厳しい世界だと思います。しかし一方で、これまで政府主導で目覚ましい発展を遂げて来たシンガポールです。

シンガポール政府はこうした問題は長年ずっと捉えていて、シンガポール人が仕事に就けるように積極的に法律を作っています。駐在員も一定給与以上でないとビザが下りないようにして、低賃金で入ってくる外国人労働者を排除しています。

小さな国家でどんな政策をするにも小回りがきいて、実行力があるので、改善されて行くのだと思います。

 

それではまた次回。