「子供の適応は早いよねーすぐに英語なんかしゃべれるようになっちゃって」




とか、嘘八百だ。

そんなの、子供の適応力と環境とで

千差万別。

少なくとも、うちは本当に厳しい時間を過ごしてきた。






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もうアメリカに来て1年9カ月。

子供が3人いる 我が家庭。

アメリカに来るとき、周りのみんなに同じ事を言われた。



「お子さんがうらやましいねー。すぐに英語なんかペラペラになりますよー」

よく知らない僕は本当にそうなるのかと思っていた。

結論から言うと、そんな甘い訳ない。

現実はおよそ3割の子供達は

現地校に適応できず、もしくはいじめられるなどの理由で

日本人学校に転校を余儀なくされる。

適応できる子供達ははっきり言って優秀な子供達だけだ。





うちの子たちは来米時、

長男が小学4年生。

次男坊が幼稚園の年長。

そして2歳半のウメ子だった。





渡米して間もなく現地校に入れる。

子供たち、何も分からない。

何言ってるか、何の文化なのかもわからない。





苦労したろう。

つらかったろう。

なにせ、うちは大きな問題があった。

僕たち両親がどちらも英語が出来ないという事だ。




普通の赴任者のご家庭でこういうことはない。

アメリカに赴任ってだけで、

通常は普通よりはかなり英語が出来る人が選ばれる。




僕たちは平均よりも英語が出来ない人間だった。

僕に至っては1月から12月まで英語で言えない人間だった。




そんな奴がアメリカ、行くな、と言われそうだが、

日本のとくダネ!という番組でリポーターとして11年。

日本のあらゆる現場を歩き、

日本のほとんどの政治現場を目の当たりにしてきた長谷川は

世界の、アメリカの大統領選挙の取材をしたいと思った。

しかし、それは僕自身の話だ。





子供達はいわば付き合わされた形。





小学4年生の長男、入学初日に学校から宿題を持って帰ってきた。

「磁石のS極とN局について」

が英語で書かれている。

つらかったろう。何が何だか分からなかったはずだ。

そんな長男も今は懸命に英語も勉強も補習校での勉強も頑張り、

もうすぐ、英検3級のテストも受ける。

しかも、リスニング、ほとんど完璧。

ほんと、偉いと思う。

しかし、

次男には気付かないところで、

大変な問題が起き始めていた。

先日、妻が学校に呼ばれた。

次男坊が相当に物覚えが悪いとのこと。

勉強ではなく、知能的な問題かもしれないとのこと。

本当だ。

いまだにアルファベットも出来ない。

なんなんだ?

でも、普通の子たちと同じように会話する。

遊んでもいる。

僕は自分の仕事や生活にかかりっきりになって、

次男坊の勉強や生活について、

しっかりとしたケアを出来ていなかった。




幼稚園の年長で来た次男坊。

この年齢で現地校に入れる以上、

本当はもっともっと、きめ細やかな準備が必要だったんだ…。