もう1つの第2の人生はじめました。   作:紅蓮ライ
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Turnー2 再開

デュエルアカデミア高等学校

それは優秀なデュエリストを育成する高等学校であり、伝説の決闘王の永遠のライバルで世界に4枚しかない青眼の白龍の使い手、大企業海馬コーポレーション社長、海馬瀬人がオーナを務めている また、この学園は同中等部とは違い孤島に建てられているため、完全寮制である。島へは専用のフェリーか、航空機等で行き来する。

生徒のレベルによって階級が分けられており、オシリスレッド、ラーイエロー、オベリスクブルーの順で階級が上がっていく

各寮ごとに制服が異なり、オシリスレッド、ラーイエローではそれぞれのシンボルカラーで塗られたジャケットと、ズボンを着用

オベリスクブルーの制服はジャケットの後ろが長く、ズボンが黒い。また胸のラインのデザインが違う学校の方針の為授業や行事はデュエルに関する事が多いが、高等学校に相当するのか国語や数学、物理に保健体育などの一般教科の授業も存在し、部活動や同好会なども盛んである

また、いくつか姉妹校も存在し────

読んでいた資料を閉じて

「読物はここまでにして、景色でも楽しもうか。これ以上読んでると酔うし……」

と、外の景色を楽しむ……と、言っても果てしない大空が広がってるだけだが、雲を見るのが楽しい。もう、慣れたのだがな。

実技試験こと本試験終了後のこと。僕の元に合格通知と制服が届いた。が、何故かその制服はどこの寮のものとは色もデザインもことなっていた。というか正直制服かすら怪しい……それは動きやすさとデザインに凝った改造制服。
「これで学校に行こうなら、着いた途端に即刻生徒指導室直行だよ兄さん!」と言った。でも兄さんは
「ん?でも、手紙によれば…ペガサスさんと海馬君からだよ。それに翼はどこの寮にも所属しない」
と言っていた。

話をまとめると

「特別に個人で寮というか住む所が与えられ、デュエルアカデミアの階級制度の枠から外れる」

「とどのつまり、エクストラデッキ?」

「そうだと思うよ」

兄さんは笑っていった。

――――ハッ!

と、考えていたらもう着いた。





「つーかーれーたー。もう、式典はこりごりだよ。なんで新入生代表挨拶しなきゃあならないの?あれは、編入組が……あ、そういう僕も編入組か・・・」

連絡をもらっていた僕専用の寮、というかペンション?別荘?明らかに1人で住むには広すぎる新しい住処のベットに身を投げ出し脱力する。長退屈な入学式だけならここまで心身共に疲れはしない。大勢の周りの目にさらされた。どうやら凄く注目を集めてしまったのはこの場違いな恰好だけでなく、実技試験のデュエルも一役買っているみたい?

「やり過ぎたかな?ペンデュラムデッキにマハードに」
『かっこよかったですよ。翼殿』
『ぐるっ♪』
「そういってもらえるだけで嬉しいよ。マハード、ヴェノム」

僕の精霊たちが言った。やっぱりやり過ぎな・・・まだ初日ですが。あぁだと思うと既に気が重いな。

「ペガサスさんには合格通知が来たときに連絡したし。海馬さんから頼まれてたお仕事しなきゃね」

鞄から必要な荷物を取り出して、少し離れた校舎内へ向かう。





「暗証番号を入力してロック解除。ソフトセットよし、データをインストールして・・・これで完了。これで残るは後一つか・・・」

『そうですね』

校舎にあるデュエルフィールドに、最新のデータをアップデートする作業を終えた僕は最後のバトルフィールドがある場所へと移動する。しかし、本当に簡単な作業で助かった。ソフトを差し込んでボタン一つで全て終わるし、 これだけで報酬も出るしね。KCは太っ腹だ。

そう考えていたら、最後のデュエルフィールドへ着いた時に

「デュエル中?」

オベリスクブルーの男子生徒が使っておった

「……今日はもうあまり誰かに関わりたくはないし・・・」

『翼殿、確か……各寮で新入生の歓迎会が有るのでは?』

「そうだったね……ありがとうマハード、教えてくれて(すっかり忘れてた)」

『いえ』

それまでどこかに隠れておこう。

丁度良い場所を見つけたワシはそこで待つ事にした。やがて2人のデュエルが終わり、帰るかと思えばそこに赤い制服に身を包んだ見覚えのある茶髪の生徒がやって来た。それはあの実技試験の日、僕の前にクロノス教師を倒した……十代だったね。一緒におる背の低い生徒は知らないが、仲良くなった友達かな?

「貴方、何をしているの?」
「っ!?」


突然背後から声を掛けられ、驚いて振り返るとそこには1人の女生徒がいた。長く綺麗な金髪に灰色の瞳。端整な顔立ちで、 将来は更に美人になるね。このアカデミア には女子寮は一つしかない為、皆同じで彼女もその例に漏れず所々青のラインが入った白のノースリーブと青のミニスカートのオベリスクブルーの制服に身を包んでいるにしても・・・入学式の時にも見たのだが、女子の制服は腕や足等露出度がちょっと高すぎだね。女の子の制服が来なくて良かった。本当に良かった。

「?聞いてるの?貴方……!貴方は、新入生代表で挨拶した武藤翼さん?!こんな所で何をしているの?」

「えっ?なんで知ってるの?って、あぁあれか。少し用事でね。バトルフィールドが空くまで待っていたからね。って、君は?」

「私は、天上院明日香。そう…なら何故隠れているのかしら?」
「今日は色々あって疲れてねあまり面倒な人とは関わりたくなかったしね」
「面倒な人って…あぁ、そういう事ね」

察してくれてありがとう。バトルフィールドのそばにいる者。オベリスクブルーの男子を見て納得した後、顔を僅かに歪ませるそんなやり取りをしている内にどうにも向こうも面倒な事になってる。ブルーの男子達が言うにはここはオベリスクブルー専用のデュエルフィールドだから成績最底辺のオシリスレッ ドのドロップアウトボーイは使う資格がないとかなんとか~

「ちなみに今あの人達が言っていますが実際どうなのですか?確か校則にもそのような事は明記していませんでしたが」
「勿論そんなはずはないわ。基本デュエルフィールドは共有だもの」
「そうですか。やはりですか…」

まったく、これが差別思考の一端だね。こんな奴等がゴロゴロいるとなると…大変だな。
まぁ、少なくとも全ての生徒がそうという訳ではなさそうなのが救いかな?この女子生徒は彼等の言い分に怒っていますし・・・・さて、

「仕方がない、助け船だすか」
「あら、関わるのは嫌じゃなかったのかしら?」
「目の前で見てしまってるのは……いけませんからね。それに、さっさと済ませたいですから」
「何をなの?」
「秘密です」

全くやれやれです。物陰から出て彼等の元へ向かうと僕の姿を見て驚く面々

「あぁっ!」
「お、お前は実技試験の時の・・・!」
「綺麗な人っす……」
「あっ?!翼!」
「やぁ十代、久しぶりだね。ところで君達、嘘は駄目ですよ?バトルフィールドを含め学園の設備は寮の物以外、皆が平等に使う権利を持ってます。これはバトルフィールドも含まれていますからね」
「「・・・っ!」」
「え、そうなのか?」
「う、嘘だったんスか!」

やはり十代ともう1人のレッドの生徒は知らない様だな。今度からはちゃんと校則は読んでおいた方がいいよ?でないと退学になってしまう事もありますからね。

「ほぅ、誰かと思えば試験でクロノス教官を倒した奴等か」
「ん・・・?」

突然声がして上の観客席を見れば知らないオベリスクブルーの男子生徒が此方を見下ろして、いや見下していた。

「「誰だお前?/誰ですか君?」」

僕と十代の言葉が重なる。そう言えばこの人名をなんというの?

「お前達、万丈目さんを知らないのか!?」
「中等部からトップクラスの実力でエリート街道を突き進み!」
「大会にも何度も優勝をしているまさに選ばれた御方!」
「未来のデュエルキングの呼び声高い、万丈目準さんだ!」
「フンッ・・・」

ブルーの2人の言葉に踏ん反り返る万条目。小物臭がプンプンするね。そんな彼を見て首をかしげた十代が問いかけて来る

「なぁ、翼あいつ知ってるか?」
「いや、知らないよ。そう言えばこの間の実技試験のデュエル見てたよ。と言っても最後だけですが……」 「俺もお前のデュエル見てたぜ!あのドラゴンかっこいいな!なぁ翼!俺とデュエルしようぜ!」

目をキラキラさせてそういう十代。しかし残念ながらそれは少し難しいね。

「ヴェノムのことだね。って、ごめん。生憎今デッキを部屋に置いていてね持ってないから、それはまたの機会で良い?その時は十代とのデュエルを受けるよ」
「あぁ、勿論だ!俺のヒーロー達の力を今度はちゃんと見せてやるぜ!うぉぉぉ、なんか今から燃えて来たー!」

「おい貴様等!片や手加減されていたとはいえあのクロノス教官を倒し、まぐれで打ち破ったドロップアウトとエクストラがこの俺を無視するとはいい度胸だな!どうやら調子に乗っている様だが、この俺が貴様等に礼儀を教えてやろう」

うわぁ・・・どうやら典型的な奴の様じゃのぅ。ここまで来ると寧ろ見事と思ってしまう。こういった人達をこれから相手にしていくの?と思うと・・・僕が言葉を返そうとした時、新たな乱入者が現れる

「───万条目君、あなた何をしているのかしら?」

それは先程の明日香さん。

「うわぁ・・・綺麗な人っす・・・」
「っ、天上院君!いや、なに少しこいつ等に教育をしていただけだよ・・・行くぞお前ら」

万条目と他2人を連れてまるで逃げる様に去って行った。最後にこちらに鋭い視線を送るのも忘れずに。勿論僕は無視したが…それを見送った彼女、天上院はこちら・・・正確には十代達に向き直る

「貴方達、ダメよ彼らの挑発に乗ったら。あいつ等ホントに碌でもない連中なんだから・・・!」

おぉ、物凄い嫌われ者だね。まぁ、あの人達の事も知っている様だし、仕方のない事だね

それから軽く自己紹介をしてお互いに名前で呼び合う事となり、十代ともう1人の少年、丸藤翔は歓迎会の為に自分の寮に戻って行った

「それで明日香さんは寮に戻らなくていいの?君も寮で歓迎会があるのに」
「少しくらい遅れても問題ないわよ。それに貴方が悪さをしないように見張らないとね」
「そうですか…」

肩を竦める。まぁ、さっさと終わらせる。えぇっと、暗証番号を入力して、ソフトを差し込んで、データをインストールっと・・・

「ねぇ、さっきの話───」

《アップデートが完了しました》

「よし、これで作業終了っと。お疲れさん。では、帰りますか」

「えっ?もう終わったの?」
「単純な作業だしね。さて、帰り道も一緒だし帰ろっか」

明日香さんと帰りました。

その夜に、KC社にメールと言っても海馬さんにメールを送っただけだし。さて、寝るか……もう疲れたし

『ぐるる……』

「ん?ヴェノム?お休み。あぁ、気にしなくていいよ」

『お休みなさい翼殿』

「お休み。マハード、ヴェノム」