(cache) ウェイン・ルーニーの18番 : コラム

プレミアリーグコラム

2016年10月14日17:30

ウェイン・ルーニーの18番

文字サイズ

しかし、このシステムだと、無論のこと、スタメンであるかどうかにかかわらず誰々は自動的に何番みたいな不文律は成立しないので、代表の顔ともいうべき選手がスタメン落ちをすると、普段はつけない大きな番号を背負ったりする。先日のスロベニア戦では、代表に招集されながらもスタメン落ちしたウェイン・ルーニーが背番号18をつけて途中出場していたが、それは見慣れないというよりは、斜陽を思わせる光景であり、何となく儚い。しかし、10番をつけたままベンチを温めるのも、それはそれでやるせないことであり、今回のルーニーの18番にぼくは複雑な思いがした。

現在のルーニーが一時的なコンディション不良の状態にあるのか、あるいは彼の全盛期は既に歴史のなかでしか振り返ることのできないものになってしまったのか、それは時が経ってみなければ分からないけれど、マンデーナイトに開催されるリヴァプールとの大一番は、そんなルーニーにとっての今後を左右する大きな意味合いを持つことになるかもしれない。モウリーニョはこれまでクロップと5回対戦し、1勝1分3敗と、大柄で底抜けに陽気なドイツ人監督を苦手としているが、そんな監督が率いる歴史的なライバルとの重要な一戦に際し、モウリーニョがルーニーのキャプテンシーと経験値をベンチに置く判断を下すのであれば、赤い悪魔の背番号10番にとって状況は剣呑であると言わなければなるまい。

平床大輔
1976年生まれ。東京都出身。雑文家。1990年代の多くを「サッカー不毛の地」アメリカで過ごすも、1994年のアメリカW杯でサッカーと邂逅。以降、徹頭徹尾、視聴者・観戦者の立場を貫いてきたが、2008年ペン（キーボード）をとる。現在はJ SPORTSにプレミアリーグ関連のコラムを寄稿。