黒田といっても今年限りで引退を表明したカープの黒田博樹投手のことではありません。
週刊誌の見出しのようで申し訳ありませんでした(笑)。
おととい、2%の物価上昇目標が黒田東彦総裁の任期中に達成できない見通しになったと。
日銀の金融政策決定会合後の記者会見で明らかになりました。
強気の目標をぶち上げて人々のデフレ意識払拭を目指した黒田総裁の敗北宣言でした。
迷走を極めた脱デフレ対策が、名実共に壁に突き当たったことを意味します。
もともと経済の本質からすれば、
「物価が上がることによって、景気が良くなったり生活が豊かになったりする」
のではありません。
「経済が成長する結果として、物価が上がる」
というものでなければならないはずです。
黒田総裁は心のうちでは「もうダメだ」と思っていたのではないでしょうか。
日銀は大幅な金融政策の見直しによって、国債の購入を3%程度減らす予定といいました。
しかし、それでも今のペースで量的緩和の継続をするのは、せいぜいあと2年が限界。
多くのエコノミストがいっています。
そのうえ、マイナス金利の副作用がじわじわと日本経済をむしばみ始めています。
なぜなら、金融機関の収益が利ザヤの縮小により悪化するのは当然です。
悪化した利ザヤにより、運用が困難な状況に陥ることで年金制度が危機に陥ろうとしています。
ただでさえ国民には年金不安があります。
この運用の不振により年金不安はいっそう高まってきています。
結果、日本人の貯蓄性向をより高めることになりました。
マイナス金利政策でまず期待されていたのは・・・
低金利でデベロッパーやREIT(不動産投資信託)などの収益が向上。
それにより、不動産市況が活性化するシナリオでしたが、これはほとんど期待できないません。
というのも、マイナス金利以前から低金利は長く続いていました。
なので、デベロッパーなどの借入金利は政策以前からすでに低水準。
さらなる下げ余地は少ないので、市況を上向きに転換させるほどの効果はほとんどありません。
銀行から低金利で借金をした不動産業者による開発ラッシュがこれから始まり・・・。
不動産業界は大盛況へ。
そんな夢物語は、まったく起きそうにありません。
「しかし、住宅ローン市場は盛り上がっていますよ」。
たしかに金融機関のローン窓口やネット系銀行の問合せには、客が殺到しているようです。
マイナス金利政策の導入以降、住宅ローン市場が盛り上がっているのは事実。
しかし、知られていないのが窓口に殺到している人のほとんどは、新規借り入れではありません。
というのも新規借り入れ客は、不動産仲介業者や販売業者が持ち込むことがほとんど。
なので、個人が窓口に相談行くケースはあまりありません。
実は、借り換えの客です。
これまで借りていたローンを別の銀行で借り換えているだけ。
なので、市場全体のパイは膨れ上がっていません。
むしろ、銀行からすればもともと薄かった利幅が、マイナス金利でさらに下がりました。
金融機関の経営には悪影響が出ている状況は続いています。
なので、マイナス金利政策が不動産市場全体の活性化につながっているかといえば・・・
それはないといわざるを得ません。
実は4月から住宅ローン金利が、三菱東京UFJ銀行や三井住友銀行で0.1%。
みずほ銀行やりそな銀行は0.05%引き上げられています。
もしこの地価高騰が実需(実際に住むために購入した)ユーザーによるのであれば・・・
住宅ローンを払いながら、住んでいればいいのですから・・・
円高や金利、物価指数などは関係ありません。
しかし、現在の不動産市況の好景気を支えているのは、海外をはじめたとした投資家。
その不動産に縁もゆかりもない所有者なので、値崩れする前に手放してしまおうという人が急増。
値崩れするのは、何もマンションだけではありません。
住宅地でも地価下落が始まっています。
マイナス金利なのに不動産はどんどん下がりはじめました。
この流れはもう止められない状況です。
黒田総裁は玉砕前に任期満了となります。
早くどこかで量的緩和とマイナス金利を止めなければならないわけですが・・・。
それは黒田総裁が辞めた後に、新しい総裁が決断することになるのでしょうか。
ツケを後回しにしていく・・・。
ますます来年の不動産市況が読めなくなってきました。
(延時=文)
建売用地・戸建・マンション買取のご相談お待ちしています
〒550-0011 大阪市西区阿波座一丁目6番1号MID西本町ビル9階
TEL:06-4391-3331 FAX:06-6534-5518
MAIL:fudosan@group-rising.co.jp