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ただでは終わらない男、タダ

バンド/旅/釣り/バイク/ヒッチハイク/横浜国立大学/日本一周/北海道一周/愛と平和の旅

北海道出身、優しいおじさんの身におきた「蛇の祟り」

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こんにちは!めちゃ久しぶりでございます!タダです!

わしは先月はじめまで就職先を失った旅人のまま、北海道ヒッチハイク一周を敢行しました。就活しないと行けない状況でも自分の感性を信じて出た旅先で得たものは想像以上に大きかった。そして、無事就活を終えてこの記事を書いています。

 

この記事では今までヒッチハイクしてきて、土地土地でいろんな話を聞いてきた中でも、一番面白かった話、「蛇の祟り」の話について書こうと思います。

 

※この記事の中心人物、おじさんは非常にテレビに出たがっていますので、もしこの記事をおもしろい!とか、日本昔話にしてほしい!とか思われた方は是非拡散するなり、タダに連絡するなりしていただければ幸いです。笑

 

 

 

釧路で乗せていただいた怖い?おじさん

このおじさんと出会ったのは、タダが釧路で出会ったバンドのライブを見終え、数日前に弾き語り中に出会った美人さんとの飲みの約束を果たすべく、帯広へと向かっているときでした。

 

帯広でヒッチハイクをすること、約10分。

  

タダは自分の数メートル後方に停まっている車の存在に気づきました。

 

車から出てきたのは少し年配の女性。「やった!乗れる!」そう思い、おばさんの手招きに従い車の方へ走って行きました。すると突然、車のなかから大男が現れました。

体つきはまるで映画アベンジャーズなどにも出てくる怪物ハルクのような巨体。

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身長はそれほど高くはないものの、坊主の髪型と相まって醸し出す雰囲気はまるで「ヤクザ」のよう。

 

タダは以前のパキスタン人の車に乗った経験から、「おっかない人の車ではその人の背後に座れ」を徹底しています。

そうして今回も運転席のうしろに乗せていただき、車は帯広へ向け出発しました。

 

 

 

しかし、車に乗って数分、怖いと思っていたおじさんは、「おじさん、北見だけど人を助けろって子供のときから教えられてきたから、兄ちゃんの事、帯広まで送ってあげるよ!」「今度おじさんの家に停まりに来な?」などと話かけてくださる、非常にきさくで優しいおじさんでした。

 

おじさんの鍛え上げられた肉体はどうやら、昔からしているボディビルのおかげらしく、納得。笑

ヤクザじゃなくてよかった!!笑

 

 

 

異様な腕、そして指

そうこうしているうちにどんどん話は盛り上がります。タダはお2人との話をもっと近くでしたくて、顔を運転席と助手席の間から覗かせました。そうして、さらに会話が盛り上がる車内。

 

そんな中、タダはふとハンドルを握るおじさんの腕に目がいきました。そして、少しの違和感を感じました。

 

「あれ?なんか太すぎ?」

ガタイがいいとは思っていたものの、ガタイがいいの範疇を越えるほどに「太い左腕」がハンドルを握っていました。

 

「いくらボディビルで身体を鍛えているからと言っても、この腕の筋肉はおかしい。」

そう思って、右の腕をのぞくと、そこには普通に比べ少しは太いものの、特に違和感は感じない太さの腕がありました。やはり、おじさんの左腕がおかしい。

 

そう結論付け、また運転席と助手席の間に顔を出したときでした。おじさんのハンドルを握る手に衝撃を受けました。

 

「親指だけ、異常に太い」

 

実際の写真があります!おじさんに許可もらって撮らせてもらいました!

それがこちら!

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このように親指だけが異常に太く、まさに「ハンドルを握った巨人」みたいだったんです。

 

もうタダは気になって気になって仕方がなくなってしまいました。

もしかしたら病気なのかもしれない、聞いたらあかん事かもしれない、と思いつつも、気になったら止まらなくなってしまったので

「おじさん、その指どうしたんですか?」

と聞きました。

 

 

おじさん「あ、これ?蛇の祟りだよ?」

 

 

おじさんの異様な左腕は蛇の祟りによるものだったのです。タダが興味を示すと、おじさんはにっこりと笑いながらまるで「日本昔話」のような話をはじめました。

 

おじさんが語った蛇の祟り

おじさんは釧路に移住してきた家系の三男坊でした。そして、物語はおじさんのお母さんの子供時代に遡ります。だから、だいたい70年前くらい。

 

 

おじさんのお母さん(仮名:絹代さん)は、北海道釧路の雄大な自然の中で育った、おてんばな女の子でした。そんな彼女が、人と少し違ったのは「霊感が人一倍強かった事。」

その絹代さんは5歳のとき、近所の仲良しな男の子達と野山へ遊びに出かけました。当時の自然の中での遊びはどのようなものだったかわかりませんが、その遊びの途中で男の子達は白い蛇を見つけました。そうして、遊び半分に白蛇をいじめはじめました。

 

そのとき、絹代さんはただただ見ているだけでした。「かわいそう」と心の中で思いながらも、男の子達を止める事はできませんでした。そうして、ついにはその白蛇は息絶えてしまいます。絹代さんは「男の子達を止める事の出来なかった後悔」を胸に抱きながら帰宅し、寝床に入るまで後悔していました。

 

 

そうして、その日の夜。絹代さんは不思議な夢を見ました。

夢に出てきたのはなんと今日殺されてしまった白蛇でした。白蛇が夢に出てくる事は縁起のいい事と思いがちですが、絹代さんの場合は違いました。

 

白蛇は夢の中で絹代さんに話かけました。

「お前らよくも俺を殺してくれたな。俺はお前の子孫をずっと祟ってやる。」

 

 

絹代さんは、朝目が覚めて自分が見た夢の内容を恐れました。「自分が手を下した訳ではないのに、なんで私の子供が祟られるんだ。」と思いました。そうして、自分の子の身に起こる事を想像し、おびえました。

 

しかし、日々の生活になんら支障はなく、そんな白蛇の夢におびえていた日々のことも忘れ、絹代さんは大きくなりました。そして、生涯の共となる男性と出会い結婚。子供ができるかもしれないという時になって、再び絹代さんの頭に「あの夢」のことがよぎるようになりました。

 

「私とこの人との間に生まれる子供には呪いがかけられているかもしれない、祟られているかもしれない。」

 

 

そうして、月日が経ち、一人目を出産。元気な男の子でした。

「あの夢」への恐怖心があった絹代さんは生まれてきた子供の身体の隅々まで調べました。しかし、どこにも異常はなく、その後も無事に育ちました。

 

そして、二人目を出産。女の子でした。

長男同様に身体を隅々まで調べましたが、異常は見つからず。その後も元気に育ちました。

 

 

絹代さんはこの頃、こう思うようになりました。

「あのときの白蛇の夢はただの夢だったんだ」

 

 

そうして、何の不安もなく三人目を出産。この子がタダが知り合ったおじさんです。

生まれてきたとき、一応身体を全部調べましたが、異常は特になし。他の兄妹と同様に元気にすくすくと育っていきました。しかし、この子には癖がありました。それは、「左の親指をしゃぶり続けている」というものでした。その癖は2歳まで続きます。

 

 

ある日、この子はおじいちゃんの家にいく事になりました。

おじいちゃん、おばあちゃんは久々に見る孫の成長ぶりに感激し、抱きかかえました。そうして、ずっと世話するうちに、この子がしゃぶりついている左親指の異常に気づきました。そうして、無理矢理に左の親指を口から出させました。すると、その指は右手親指の3倍もの大きさにふくれあがっていました。

おじいちゃんは びっくりして家族全員にこのことを伝えました。家族のみんながはじめはなにかにさされたのかと思いましたが、この子が痛がっている様子がまったくありません。ここ数日のことを考えてもこの異常な指の太さに気づいた人はいませんでした。家族全員に思い当たる節が見つかりませんでした。お母さんである絹代さんを除いては。

 

 

絹代さんは元々霊感が強い人でした。だからこの指を見てすぐにピンと来たことがあったのです。「これがあのときの白蛇の祟りだ。。。」

 

 

絹代さんは家族にその白い蛇の話をし始めました。。。

納得する者もいれば、反発する者もいました。しかし、絹代さんには絶対的な確信がありました。そして、息子の身に実際に起こってしまったこの事態を見て、男友達を止めることができなかった5歳の自分を強く恨みました。

そうして、家族会議は夜遅くまで続き、疲れきった家族は皆寝床につき、絹代さんも息子達の寝顔を見ながら眠りにつきました。

 

 

その夜の事でした。

絹代さんの夢には再び白く長いなにかが現れました。しかし、よく見ると今回は蛇ではありませんでした。

 

 

 

「お前の子供の指を見たか。あれが俺のお前の子孫に対する祟りだ。俺は蛇の姿に変わっていたが、実際は龍だったのだ。」

 

5歳のとき、男友達が殺したのは龍の使いだったのでした。

そして、その龍は続けました。

 

「このままだと、お前のほかの息子、娘の子供達にも異常が起きるだろう。しかし、それを止める方法がある。釧路を流れる釧路川に有名な『馬で渡れる浮き島』がある。そこに俺の好物である卵と◯◯と◯◯と◯◯を一週間毎日お供えしに来い。そうすれば、祟りはこれでやめてやる。」

※おじさんは卵以外のものを忘れてしまったらしい。

 

 

そうして、絹代さんは翌朝目を覚まし、自分が再び見た夢に驚いて、急いで寝室から出ました。すると、絹代さんよりも先に目をさましている人がいました。それはおばあちゃんでした。

 

おばあちゃんは目を血走らせ、「夢の中に出てきた龍が。。。。。」と絹代さんが見た夢の内容とまったく同じ事を話はじめたのです。

 

 

絹代さんもおばあちゃんに自分も同じ夢を見たことを伝え、事の重大さを知った2人は家族全員にそのことを伝えました。そうして、馬に乗る事が出来たおばあちゃんは毎日釧路川へ通い、『馬で渡れる浮き島』にお供えをしました。中には手に入れる事が難しいものもあったと言いますが、かわいい孫のためにとおばあちゃんは毎日必死に手綱を握りました。

 

 

 

そうして、約束の一週間後。お母さんとおばあちゃんの夢にまた龍が出てきました。

 

 

「よくやってくれた。これでお前の子孫達へのこれ以上の祟りはやめる事にする。しかし、お前のかわいい息子の親指は治る事はない。それが俺を殺した報いだ。」

 

 

 

 

そう言い残して白い龍は夢の世界から消えて行きました。

 

まったく信じる事が出来なかったおじさん、そして佐藤さん

おじさんはその後、すくすくと育って行きました。しかし、若かりしおじさんを苦しめたのは『いじめ』でした。周りの友達はおじさんの左親指の異常さを攻撃し、気味悪がっていろんな暴行を加える様になりました。おじさんがボディビルをはじめたのも、そのようないじめっ子から自分の身を守るためでした。

 

おじさんは左の親指が大嫌いでした。この指さえなければ、と思うおじさんに絹代さんは「蛇の祟り」の話を聞かせました。「こんな不思議な力でお前の手はこうなってしまったんだ。だから仕方ないんだ」というように。しかし、おじさんにはその話は嘘にしか聞こえないのでした。「生まれもって指が奇形だったおじさん」のことをなんとか正当化するため、不思議な力のせいにしようとする、両親や祖父母の努力が垣間見えるようで非常に嫌だったそうです。

 

そんなおじさんも大きくなって恋に落ち、初めての恋人が出来ました。

その彼女に「あなたの指は汚くないよ、気にしないよ」と言われた事からおじさんはこのコンプレックスを克服する事が出来ました。仕事をするようになると、いつでも「あぁ!あのでかい指の!」と取引先にも覚えてもらいやすく、冬場にサイズの合う手袋がない事を除いては、自分の親指を1つのおもしろい個性だと思える様になりました。

 

しかし、親指のコンプレックスは克服したものの、小さい頃からされていたあの「蛇の祟り」の話はずっと信じていなかったのでした。

 

 

 

 

そうして、おじさんは30歳になりました。身体の強さに自信のあるおじさんは肉体労働をメインに生計をたて家族を養っていました。そんな中、ひょんなことから転職をし、新しい職場にいく事になりました。そこで上司の佐藤さんの説明をうけているとき、おじさんは佐藤さんの指の異変に気づきました。

佐藤さんも親指が太かったのです。

 

おじさんは30数年生きてきてはじめて自分と同じ指を持つ人物に出会い、妙な興奮を覚えました。説明が終わったあとにすぐ佐藤さんにはなしかけ、自分も同じ指だということを説明しました。すると、佐藤さんも自分と同じ指の人にはじめて会ったと言う事で2人の話は弾みました。幼少期にいじめられた話、指のおかげでおぼえてもらえる話、手袋が合わない話、同じ個性を持つもの同士、話は尽きませんでした。

 

そうやって話しているうちにおじさんは疑問を持ちました。「この人の指も生まれつきなのかな?」おじさんは聞いてみる事にしました。

 

「佐藤さんの指はどうしてそうなったんですか?」

 

「それがねぇ、母が小さい頃、友達と遊んでるときに、その友達が蛇を殺してねぇ、、、、、、、、」

 

 

なんとおじさんが聞いていたものとほとんど同じ話を佐藤さんは話しはじめたのでした!

おじさんの母親と佐藤さんの母親は出身が違ったため、同じ現場に居合わせた訳ではないようですが、離れた場所でほとんど同じストーリーが進行していたという話におじさんは驚き、そして、『蛇の祟り』の話を信じる様になったそうです。。。。

 

 

 

めでたし、めでたし?笑

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