友人の漫画家がいった。
「犬はデフォルメすることで、実物以上にかわいく描ける時があるが、猫はそのままの姿のよさを、絶対に超えられない」
賛否あるだろうが、同感である。
猫をかわいく描こうとすると、猫らしさが損なわれてしまう。
なぜか。
「かわいく描く=見る人に媚びる」だとすると、私は猫のよさを、「媚びないところ」と考えているので、媚びさせようとすれば、それは猫ではなくなっていくのだ。
リアルネコ・イズ・ザ・ベスト。
ぎゃっ!
ちょっといろいろ練習しておりまして……。
*
ああ、リアルにゃんこをおさわりしたい。
さわりすぎて怒られたい。
……だが、うちに猫は、おらん。
代替行為として、いままでに観た猫の映画を振り返り、脳内でもふもふするとするか。
ということで――
猫の映画をランキング形式でオススメしてみる
◆選出のルール
- 実写に限る:リアルネコ・イズ・ザ・ベスト。
- 国内作品に限る:日本の風景に、猫。この組み合わせも魅力のひとつ。
- あまりに古いものはパス。画質は大事。
では第10位から、カウントダウン。
(画像はAmazonへのリンクとなっています)
猫の映画、第10位『グーグーだって猫である』
主演猫優:グーグー(アメショ)
主演女優:小泉今日子
大島弓子先生の漫画を犬童一心監督が映画化。
(とはいっても、ほとんど別物)
溺愛していた猫が他界し、漫画が描けなくなった人気作家。
そこに、一匹の猫との出会いが――
とある流れから、先代の猫と話をする場面がある。
そういった演出に抵抗感が持つ人は、いるだろう。
私も、猫は猫であってほしいので、ちと違うかなと感じた。
テレビドラマ版は宮沢りえが主演。
猫の映画、第9位『ねこばん3D』
主演猫優:いろいろ
主演男優:伊武雅刀
定年退職した元鉄道員は、不器用なため、どこにも身の置き所がないような日々を過ごしていた。
そこに、つぎつぎと見知らぬ猫がやってくるようになり――
3Dです。
でも、もっとも飛び出してくるのは、猫ではなく……、伊武雅刀!
テレビドラマ版アリ。
猫の映画、第8位『キミとボク』
主演猫優:銀王号(アメショ)
主演男優:中村蒼
ネットで話題になったFlashアニメを映像化。
漫画家を目指す青年は、一匹の猫と出会い、10年をともに過ごした。
猫の視点からのナレーションを、アリとするかナシとするか。
セリフではなくナレーションだったからか、私はアリだった。
猫の映画、第7位『ネコナデ』
主演猫優:トラ(スコティッシュフォールド)
主演男優:大杉漣
冷静沈着な人事部長は、じつは仕事に大きなストレスを感じていた。
彼はある夜、一匹の子猫と出会う。そしてウィークリーマンションでこっそり飼うことにした。
この作品の撮影後、トラは本当に、大杉漣の家に引き取られた。
大杉漣の株、アップ!
テレビドラマ版アリ。
猫の映画、第6位『先生と迷い猫』
主演猫優:ミィ(三毛)
主演男優:イッセー尾形
頑固者の元校長先生は、相手をしてくれる存在が、一匹のノラだけになっていた。
だが、ある日を境に、その猫も来なくなり、気になった彼は――
猫映画の法則「孤独なおっさんの元には、猫が現れる」
うちには来ないのだろうか。
猫の映画、ランク外作品
ここでトップ10に入らなかった作品の、いくつかにふれておこう。
◆『レンタネコ』
主演猫優:いろいろ
主演女優:市川実日子
猫のレンタル屋さんの話。
猫好きでも知られる荻上直子監督作だが、正直、猫を貸し出すという発想が、どうしても受け入れられなかった。
猫、絶対に嫌でしょ……?
猫自体にも、あまりスポットが当てられてない作りで、物足りなかった。
◆『猫侍 南の島へ行く』
主演猫優:玉之丞(白)
主演男優:北村一輝
猫萌え属性を持つ侍が、流されて南の島に行き着いた。
そこには白猫を神と崇める原住民が住んでいて――
猫の映画は、猫がかわいければそれでいいという見方をしているのだが、これは、おふざけが過ぎている印象があり、観ていてつらくなってきた。
猫が神だという発想は、従う。
テレビドラマ版アリ。
◆『ねこにみかん』
主演猫優:茶トラ
主演男優:黒川芽以
彼氏の実家に行った。
そこは、父親に、内縁の妻が三人いるという、あまりに複雑な家庭だった。
ローカル色の強いヒューマンドラマ。いい映画でした。
でも、私が求めているのは、ゆる~い癒し。
猫はいたけど、タイトルの「猫」は、「猫のように独立した人たち」という意味でありました。
◆『猫と電車』
主演猫優:白黒のがいた
主演女優:篠原ともえ
猫映画じゃなかった!
猫はいたけど、「猫ガール」というふわふわした女の子の話だった。
猫ガールってそんなタイプのことをいうのか、な……?
◆『陽だまりの彼女』
主演猫優:どう書けばいいのか……
主演男優:松本潤
この記事に載せること自体が決定的なネタバレという、まことに申し訳ない感じ。
猫好きのための映画では、ない。
せめてこれ以上は口をふさごう……。
*
さて、ランキングに戻って第5位から。
猫の映画、第5位『猫侍』
主演猫優:玉之丞(白)
主演男優:北村一輝
強面の浪人侍が、犬派と猫派の争いに巻き込まれ、ある猫の暗殺を依頼される。
不殺を身上とする彼は、猫なら、切れるのか。
既述の劇場版二作目とはことなり、一作目のこっちは、猫関係なしに、いい出来の映画だった。
猫を役者と考えたとして、まったくやる気がないように見えたのが、得点アップ。
テレビドラマ版アリ。
猫の映画、第4位『ねこタクシー』
主演猫優:御子神さん(ぶち)コムギ(マンチカン)
主演男優:カンニング竹山
さえない中年男はタクシー運転手。
ある時、出会った猫に心を奪われ、飼うことになったが、仕事用のタクシーにも乗せることにした。
客の反応は上々で――
竹山は本当にいい役者だと思う。
猫に癒されてくれ、と思ってしまう。
こんなタクシー、あったらなあ。
バスでもいい。
でもそれだと、「ネコバス」ってタイトルになってしまうかな……。
テレビドラマ版アリ
猫の映画、第3位『私は猫ストーカー』
主演猫優:いろいろ
主演女優:星野真里
猫を見ると、追いかけずにはいられないイラストレーターと、追いかけられる猫たちの、ありふれてはいるが、かけがえのない日常。
猫好きが撮ったホームビデオのような映像を、アリとするかナシとするか。
猫好きは、だれもが猫ストーカーですよね? おさわりできないかコンタクトを計りますよね?
猫の映画、第2位『くろねこルーシー』
主演猫優:ルー(黒)シー(黒)
主演男優:塚地武雅(ドランクドラゴン)
キャラが立ってこその占い師の世界で、キャラ無しの、まったくさえないおっさん。
彼は、二匹の黒猫と出会い、「くろねこ占い」なんてものを始めてみる。
猫は、占いなどせず、客寄せとして、ただいるだけ。
だから、いい。
竹山に負けず劣らず、塚地のさえないおっさんっぷりがいい。
テレビドラマ版アリ
猫のドラマ、他部門のナンバーワン
第1位の発表の前に、「洋画」と「オリジナルビデオ」の猫ネタ作品の、第1位を。
◆猫の洋画、第1位『こねこ』
主演猫優:チグラーシャ(サバトラ)
主演男優:アンドレイ・クズネツォフ
冬のモスクワで、アパートの窓から子猫たちが転落した。
トラックの屋根に着地したものの、そのまま見知らぬ場所へ――
古い映画は対象外としていたが、これは猫映画界における、永遠のスタンダード作品である。
1996年のロシア映画だが、2016年、ブルーレイ化。
愛されている!
演技をする猫はよくない、と考えている私だが、この作品だけは、見逃してくんさい。
達者です。名優たちです。
これを観てないあなたは、犬派。
◆オリジナルビデオ部門、第1位『ぬくぬく』
主演猫優:しま(薄茶)
主演男優:温水洋一
おっさんが、の~んびり生きています。
猫と。
理想のゆるドラマ、ゆる人生。
まさか自分の人生で、温水洋一になりたいと思うことがあるとは。
*
さあ、ランキングに戻って本編、猫の映画、第1位の発表であります。
猫の映画、第1位『猫なんかよんでもこない』
主演猫優:クロ(黒)チン(ハチワレ)
主演男優:風間俊介
兄が拾ってきた子猫を、一人で育てることになったボクサー。
犬派の彼が、猫とともに歩んでいくそれぞれの道。
彼は漫画家を目指すようになり、猫は地域のボスを目指す。
青年とともに、猫もいっしょに成長(肉体だけでなく)していくのが、とてもいい。
猫がしっかり猫らしかった。
猫の映画、まとめ
猫の映画あるある。
- 物語も、制作姿勢も、ゆるい。
- 猫は、演技(芸)などしない。
- 猫は、孤独なおっさんの元に現れやすい。
- 猫は、漫画家のもとにも現れやすい。
- 猫は、いるだけで間がもつ。
- 猫は、かわいい。
- 猫を、飼いたい。
あ、私情が入ってしまった。
興味がわく作品はあったでしょうか。
話題作ながら、以下の作品は、私自身がまだ観ていないので対象外。
まもなくソフト化されるので、見たらば、ランクのどこかに入れるつもり。
『世界から猫が消えたなら』
主演猫優:キャベツ(サバトラ)
主演男優:佐藤健
しっかり作ってる分、癒されるノリではないのだろうと予想。
そもそも、猫、あまり重要ではなさそうな気が。
だが、観る。
世界から猫が消えたら、どうする?
うーん、うーん……。
(想像して、あまりの虚無感にしょんぼり)
*
朗報。
『猫侍』のスタッフが、あらたな猫作品を制作中。その名も――
『猫忍』(ねこにん)
2017年1月、連続テレビドラマとしてスタートのこと。
「ニンニン」ではなく、「ニャンニャン」っていうかも(安易な発想)
必見の猫本『ねこシネマ。』
猫映画マニアに、たまらないガイドブックが出ているのをご存知だろうか。
洋邦の映画を問わず、アニメ、ドキュメンタリーをも含めた85作品が、多めの写真とともに紹介されいてる。
たまらんことに、「猫の登場分数」なんてものまで記録されている。
作品のクオリティは、猫の出番が多ければ多いほど上がる、というわけではないが、まあ、あれだ、多いほうが……、うれしいです!
みなさんも、ぜひ素敵な猫映画と出会ってくださいませ。
*
◆記事終わりの連載4コマ『ペットボトルくん』
・その96
ハロウィン、もう終わってた…。
正式には10月31日限定イベントなんですね。