【ソウル=加藤宏一】韓国の朴槿恵(パク・クネ)大統領は2日、電撃的な内閣改造に踏みきった。首相ら3人を更迭し、新首相に盧武鉉(ノ・ムヒョン)政権で要職を歴任した現大学教授の金秉準(キム・ビョンジュン)氏を指名した。朴氏の支持率急落を受け、野党からの支持を取りつけることを狙ったが、野党は一斉に反発しており、実現は不透明だ。
保守政治家の朴大統領が野党に近い学者を新首相に起用する異例の人事で、友人の崔順実(チェ・スンシル)氏の国政介入疑惑で追いつめられた局面の打開を狙った。
大統領府はこの日、首相人事に加えて、経済副首相兼企画財政相に任鍾龍(イム・ジョンリョン)金融委員長、災害対策などを担う国民安全処長官に朴昇柱(パク・スンジュ)元女性家族省次官を充てる閣僚人事も併せて発表した。
韓国国会では朴氏に対し、与野党の合議による「挙国中立(一致)内閣」を求める声が広がっていたが、朴氏は政権の求心力維持へ新首相をはじめとする内閣改造を自ら断行した。新首相に指名された金氏は盧武鉉元大統領のもとで大統領府政策室長や副首相を歴任した元ブレーン。
野党の共に民主党の秋美愛(チュ・ミエ)代表は今回の内閣改造を批判。首相人事は国会の聴聞会を経て過半数の同意が必要だが、国会の過半数の議席を野党が占める。聯合ニュースによると、野党3党は聴聞会を拒否する方針で一致した。
韓国検察は2日、身柄を拘束した崔順実氏の事情聴取を続け、同日中に逮捕状を請求する見通しだ。