とはいえ、親が逮捕されて平気でいられる子供はいない。メガバンクの中堅行員であれば、普通に働くだけで、十分子供の教育費は賄えたはず。「身から出たさび」という言葉は南橋容疑者のためにある。
システムの不備を突いた刑事事件は後を絶たない。今年6月には、三菱電機社員が同様に会計システムの不備をついて現金を詐取したとして、警視庁捜査2課が逮捕。計4億円以上を詐取したとみられる。
昨年7月には仮想通貨「ビットコイン」の取引システムの不備を悪用して3億円以上を着服したとして、取引所CEOが逮捕された事件もあった。
金融業界を筆頭に、国内では不正融資問題や不良債権問題を受けてコーポレートガバナンスとコンプライアンスの強化をうたい、システムの改定などを進めてきた。だが、「新しいシステムには必ず新しい不備がある」と金融関係者は指摘する。
三井住友銀行は南橋容疑者の手口が通用しないシステムに変更。他に被害が発生していないことは確認したというが、金融関係者は「今後も不断の努力を続けなければ、第二の被害が発生する」と警鐘を鳴らしている。
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