政府が働き方改革の柱の一つにしている「テレワーク」について、総務省が中央省庁などの実施状況を調べたところ、首相官邸を除く22の政府機関のうち、ルールを決めて本格導入したのは13機関だった。9機関は試行段階にとどまっている。持ち帰り可能なパソコンの不足などが原因とみられ、このままでは「かけ声倒れ」になりかねない。
端末不足など課題山積
テレワークはインターネットなどを活用し、場所にとらわれずに働く手法。子育てや介護と仕事を両立しやすくなり、政府は「2020年までに労働者の10%強がテレワークを利用する」という目標を掲げている。これを踏まえて総務省が9~10月に調査した。
国家公務員(本省勤務)約4万8000人のうち、15年度の利用者は3%程度の1592人。閣僚の国会答弁の準備などで深夜まで役所に残っていた職員が、制度を利用して自宅に仕事を持ち帰るケースは多くはないようだ。
調査では各府省から「情報セキュリティー対策や、持ち帰りが可能な端末の台数確保」「職場の理解」など課題を指摘する声が相次いだ。総務省行政評価局は「導入に成功している府省の取り組みを参考に、一層の推進を図りたい」と各府省に奮起を促している。【光田宗義】