自民党役員連絡会に臨む高村正彦副総裁(手前右)と二階俊博幹事長(同左)=国会内で2016年11月1日午前9時半、川田雅浩撮影
自民党は2日、郵政民営化に反対したため2005年に除名した綿貫民輔元衆院議長の復党を決定する。無所属議員の同党会派入りも相次いでおり、二階俊博幹事長が党内基盤固めを図っているという見方がもっぱらだ。【水脇友輔、加藤明子】
6月には綿貫氏と同じ幹事長経験者の野中広務元官房長官が復党した。野中氏は党の有力支持団体である全国土地改良事業団体連合会(全土連)の前会長。当時総務会長だった二階氏が、夏の参院選をにらんで動いたとされる。
こうした「大物」の元職だけではない。二階氏は8月の幹事長就任後、旧民主党出身の松本剛明元外相、元みんなの党代表の浅尾慶一郎氏ら、かつて自民党と距離があった無所属議員を次々に同党会派に引き込んだ。浅尾、松本両氏は14年衆院選小選挙区で自民党候補を破っている。
二階氏は1日の記者会見で「一人でも多くの優秀な政治家に自民党に参加してもらい、真剣な議論を戦わせることが重要だ」と狙いを説明した。
二階氏には、次期衆院選で自民党が議席を減らす可能性があるという危機意識がある。周囲が「選挙至上主義」と評する二階氏は、長崎幸太郎、小泉龍司両衆院議員(いずれも無所属)も近く復党させようとしている。
ただ、「膨張」路線には候補者調整という副作用がある。小泉氏の埼玉11区、長崎氏の山梨2区には比例代表で復活当選した自民党現職がいて、地元県連には不満が強い。
しかも小泉、長崎両氏はすでに自民党二階派に参加している。同派は入会者を増やし、10月に単独で党内第4派閥になった。派内からは「まだまだ入りたがっている議員はいる」「わが派は今が旬」と強気の声が上がる。
しかし、復党と同派の拡大が一体のように進むことには党内で反発も出ている。
最大派閥の細田派議員は「二階氏が自派閥を拡大していることが何より問題だ」と語る。派閥重視の旧態依然とした自民党に戻ったかのような印象を有権者に持たれることを警戒する向きもある。