朴槿恵(パク・クンヘ)大統領の友人女性で国政に介入していた疑いが持たれている崔順実(チェ・スンシル)氏が、長期にわたる海外逃亡生活の末、10月30日に韓国に帰国し、31日に検察に出頭した。帰国してから出頭するまでの31時間30分、崔氏はどこで何をしていたのか、「空白の時間」に注目が集まっている。
崔氏は一連の疑惑が報じられ始めると、9月3日にドイツに向けて出国し、2か月近く逃亡生活を続けていたが、10月30日午前7時30分に仁川国際空港から韓国に入国した。
崔氏の弁護を担当するイ・ギョンジェ弁護士によると、崔氏は仁川空港を出た後、自宅ではなくソウル市内のホテルに向かい、検察に出頭する直前まで31時間30分にわたりホテルに滞在していたという。
イ弁護士は、崔氏は心臓など健康上の問題や時差ボケ解消のためにホテルで休んでいた説明している。
通常であれば重大な事件の被疑者は、検察に呼ばれる前日には休息など取らず、弁護人と夜遅くまで捜査に関する想定問答や提出資料を準備するなど、捜査に徹底的に備えるのが「常識」だ。
崔氏の帰国は予想より早く突然だった上、帰国することが外部に知らされず、こっそり入国していた。また帰国後、崔氏の身柄を検察が確保するという努力も見られなかった。
このため検察の内外では、証拠隠滅の可能性や、青瓦台(大統領府)を含む事件関係者らの口裏合わせの可能性がささやかれている。
前日にあらかじめ崔氏が帰国することが知らされ、青瓦台と検察、崔氏の間で事前に調整が行われたとの説も流れている。
この事態に「海外に逃亡していた被疑者の身柄を検察が入国直後に確保しないのはおかしい」との批判が噴出している。
法曹界の関係者は「(セウォル号沈没事故当時は)朴槿恵大統領の『空白の7時間』が問題になったことがあったが、今度は崔順実氏の『31時間30分』が問題になっている。なぜ初めから身柄を確保せず、このようなくだらない論争を招くのか、理解できない」と指摘した。