【ブリュッセル=森本学】欧州連合(EU)の欧州委員会は28日、中国の国有化学大手、中国化工集団(ケムチャイナ)による農薬世界最大手シンジェンタ(スイス)の買収について、EU競争法(独占禁止法)に基づく本格調査に入ったと発表した。予定していた年内の買収完了はずれこむことが必至となった。
EUの競争政策を担うベステアー欧州委員は28日に公表した声明で「製品価格の上昇や農家の選択肢の減少につながらないか、慎重に評価する必要がある」と指摘。買収でEU域内で競争が働かなくなる懸念があるとの認識を示した。
ケムチャイナは2月に買収を発表。中国企業による国外企業買収として過去最大の430億ドル(約4兆5000億円)に達したことなどから注目されていた。欧州委の発表を受け、両社は「できるだけ早期の結論を得るため、EU当局と建設的な議論を続けていく」とコメントした。