黄禹錫(ファン・ウソク)元ソウル大教授は31日、2006年に韓国で出願したヒトの胚性幹細胞(ES細胞)に関する特許を取得した。黄教授は今回の特許登録を機に研究再開を狙っているが、学界からは研究がねつ造だったとの結論が出ており、国内外で黄教授よりも進んだ研究が行われていることから、学術的、経済的な意味はないと冷ややかだ。
ES細胞は受精卵から人体のあらゆる細胞に分化する原始細胞だ。今回特許を受けたあのは黄元教授が04年に核を除去した卵子と培養した細胞を融合したクローン受精卵からES細胞が得られたとして、国際学術誌「サイエンス」に発表したものだ。ソウル大はこの論文がねつ造だったとする結論を下し、論文も撤回した。
特許庁バイオ審査課のシン・ギョンア課長は「ソウル大医学部に寄託されたES細胞とそこから分化した神経細胞、それに栄養分を与えた培地に新規性、独創性が認められ、特許登録の要件を満たしたと判断したものだとし、「審査過程で技術検証まで行ったものではない」と説明した。黄元教授の主張をそのまま認める形でES細胞に対する独占権を付与したものであって、客観的な検証を行ったものではないという意味だ。これに先立ち、米国、カナダの特許当局も黄元教授のES細胞技術に特許を付与している。
科学界は2013年に米オレゴン保健科学大のミタリポフ教授の研究チームが世界で初めてヒトのクローン胚からES細胞を作ることに成功したと認めている。韓国では車病院の研究陣が14年、別の方法によるヒトのES細胞生成に成功している。特許庁は今回、審査過程でES細胞の製造法に関する特許申請を退けており、他の研究に支障を与えることはない。